2010年08月31日

週刊フランス情報 29 - 22 AOUT

石打ち刑のイラン女性救済運動へ
■フランスのサルコジ大統領は、イランで姦通罪に問われ2006年に石打ちによる死刑を宣告された女性、サキネ・モハマディ・アシュティアニさん(43)について、「フランスは責任がある」と述べ、救済運動に乗り出すことを宣言した。25日に行われた大使会議の演説で述べたもので、大統領は、イランの体制を「圧力と唾棄すべき石打ちを含む大量の死刑によって統御している」と非難した。
(8月27日、産経新聞)
★日本では千葉法相によって刑場が公開されたが、フランスではイランの石打ちの刑が議論になっている。石打ちの刑に処せられるイランの女性に対する支持がフランスで広がっている。エッフェル塔前でもデモ集会が。カーラ夫人も声明を出した。「私の夫があなたの側についているし、フランスはあなたのことを見捨てないということを知ってください」と。石打ちの刑って聖書にも出くる。あれも姦通罪。「あなたがたの中で罪のないものが最初に彼女に石を投げなさい」とキリストが言い、誰も石を投げずにその場を立ち去るという場面。一方、イランのハタミ大統領はフランスはこれを政治的に利用しているに過ぎない、最近、進められているイラン包囲網の一環だと反発。



ロマ国外送還に内外から批判強まる 右派も反発
■「欧州連合(EU、加盟27カ国)域内最大の少数民族」と呼ばれるロマの国外送還を推し進めるフランスのサルコジ大統領への風当たりが内外で強まっている。国内では野党の左派陣営だけでなく、右派の首相経験者からも反発が噴出し始めた。
■仏政府報道官によると、サルコジ大統領は夏休み明けの閣議(25日)でロマなどの送還を継続する方針を表明した。ベッソン移民相は25日、AFP通信に 対し、今年に入ってから同日までに8030人の不法滞在者をルーマニアとブルガリアに送還したと明らかにした。送還された者の大半はロマ。26日にはさら に283人が送還されるという。
■だが、送還への海外での反発拡大を受け、国内右派陣営からも批判の声が上がっている。12年の大統領選挙を視野に中道右派新党「共和国連帯」を旗揚げしたドビルパン前首相は仏紙ルモンドへの寄稿で「仏国旗の汚点」とサルコジ政権の対応を糾弾し、ラファラン元首相も「行き過ぎだ」と同調した。
■26日付仏紙パリジャンの世論調査によると、送還賛成は48%で反対(42%)を上回っており、強硬路線は「サルコジ大統領の選挙攻勢」(スペイン紙エ ルパイス)との指摘もある。12年大統領選に向けた支持率世論調査によると、現時点では左派野党の社会党候補がサルコジ大統領をリードしている。
■一方、EUの行政府・欧州委員会のレディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は25日、「フランスでの出来事を注意深く、懸念も抱きつつ見守っている」との声明を発表。「何人といえどもロマという理由だけで追放されてはならない」として、仏政府に「人の移動の自由、無差別、少数民族の基本的権利」の順守を求めた。欧州委は来週、仏政府の対応に関し報告書をまとめ、公表する。
■欧州連合(EU、加盟27カ国)の行政府・欧州委員会によると、欧州に暮らすロマの人口は推定1000万〜1200万人。欧州評議会(加盟47カ国)の 各国別推計によると、ルーマニア185万人、ブルガリア75万人、スペイン72万5000人、ハンガリー70万人、スロバキア49万人、フランス40万 人、ギリシャ26万5000人、チェコ22万5000人、イタリア14万人など。EU加盟国に暮らすロマは「欧州市民」であり、欧州委員会は各加盟国に対 してロマの権利を尊重し、差別撤廃に努めるよう呼びかけている。
(8月26日、毎日新聞)

ゴダール監督にアカデミー名誉賞
■米国の映画芸術科学アカデミーは25日、フランスの映画監督ジャンリュック・ゴダール氏にアカデミー名誉賞を授与すると発表した。「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」などの作品で知られる同監督についてアカデミーは、「氏は50年間の間、挑戦的で、時には物議を醸し出す作品を撮り 続け、映画史の中で一時代を画するモダニストの1人としての名声を確立した」と評している。ゴダール監督はフランソワ・トリュフォー監督とともに、古い伝 統を打破する1950−60年代のヌーベルバーグ運動の基礎を築いた。授賞式は11月13日にハリウッドで行われるが、同監督が式に出席するかどうかは不明。同監督は公の場に出ることを避けており、最近もカンヌ国際映画祭への出席をキャンセルしている。米俳優のイーライ・ウォラックさんらも同時に名誉賞を受賞する。
(8月26日、時事通信)
★しかしアカデミー協会はゴダール監督とまだ連絡を取れず、困っているようだ。協会のエグゼクティブ・ディレクターであるブルース・デイヴィス氏は「電話やファックス、E-メール、友人や知り合いを当たっているし、公式な手紙も配送した。しかし今の時点で式に出席してくれるか確認がとれない」と語っている。

「休日分散化」の先進地域、欧州のバカンス事情を見る
■夏のバカンスシーズンは6月下旬から9月上旬まで実に3カ月半も続き、勤労者はその間に交代で休暇を取ることになる。ただ、夏のバカンスシーズンだから といって会社や工場がすべて休業し、街から人影が一斉に消えてしまうわけではない。確かに小売店など2〜3週間の夏休みを取るところは多いが、バカンスシーズン中に社会機能が停止するほど極端なことは起きない。
■この長いバカンスシーズンの背景にあるのが、いわゆる「休日分散化」の仕組みだ。基本的にドイツの16州はすべて夏休み時期が異なり、先頭を切るブレー メン州は6月24日から8月4日まで、最後のバイエルン州は8月2日から9月13日までとなる。ちなみにここでいう夏休みとは「小中高などの学校の夏休み」を意味する。ドイツの夏休み開始日には40日近くもの開きがあり「ブレーメン州の夏休みが終わってからバイエルン州の夏休みが始まる」という日本では ちょっと考えられない状況が生まれる。
■なお、州によって異なるのは夏休みにとどまらず、(学校の)秋休み・冬休み・春休み、法定の祝日にまで及び、カレンダーを見ると16州がまるで別の国のようだ。分散化には人為的な都合だけでなく宗教上の理由もあり、カトリックの盛んな州はその祭日、プロテスタントの盛んな州はその祭日をそれぞれ休日としている。ドイツは連邦制度をとっており各州が準国家並みの権限を持つため、こういうことが可能になる。
■休日分散化の感想をごく簡単に書くと「仕事上は少々不便だが、休暇を快適に過ごすという点ではたいへん有効」。これが生活者としての実感だ。例えば夏のバカンスを考えてみると、休日分散化により「高速道路の渋滞緩和」、「列車・飛行機の混雑緩和」「宿泊施設の予約が取りやすくなる」「割高な 各種バカンス料金の値下がり」といったメリットが期待できる。一方の観光産業にとっても「40日間のみ極端に混む」より「3カ月半コンスタントな集客が見 込める」ことの効果は大きいだろう。
■このような効果を期待し、日本の観光庁でも2012年を目処にゴールデンウイークの分散化を計画しているが、何しろ初めての試みでありこちらは反対意見も強い。例えば「帰省しても帰省先が休日でない」「会社の取引先が他地域の場合はどうする?」、さらには「遠距離恋愛や単身赴任家族は」といった問題 をどうすればいいのか。中央集権型社会の日本と地方分権の進んだドイツを直接比較することの難しさもある。
■欧州のほかの国に目を向けると、例えば、EU(欧州連合)でドイツ(人口8200万人)に次ぐ人口を持つフランス(人口6500万人)も分散休日を取り 入れている。ドイツと比べ中央集権の強いフランスの方が、何かと日本と比較しやすいと思うが、こちらは全国を3つに分割し、2月の2週間の休日と、4月の 2週間の休日を1週間ずつずらしている。
■ただし、この連休はあくまで「学校カレンダー上の連休」であり「会社や役所も休みとなる法定の休日や祝日」とは異なる点に留意されたい。つまり、分散休 日中も会社は営業し、役所は窓口を開けるというように、日本のゴールデンウイークとは内容が異なるということだ。就学年代の子どもがいる世帯はこの時期に 休みを取らなければ旅行できないが、そうでない世帯はこの時期にこだわることなく自由に休みを取ることができる。
■ドイツやフランスと、日本の休暇の取り方を比較すると、結局のところ「休暇の自由度」の問題に行き着く。ドイツやフランスのように一般労働者が(職場の 事情が許す範囲内で)自由に1〜3週間の休暇をとることができるのが、先進国と呼ばれる国々の常識と言っていい。本来は日本もそうなってから休日分散化を 考えるべきなのだが、いずれにしろゴールデンウイーク分散化の話題はさまざまな意味で日本人の休暇の取り方を再考する好機になるのではないだろうか。
■ちなみにロイターと調査会社イプソスが世界24ヵ国の労働者の有給休暇消化率を調査したところ、トップはフランス89%でドイツは75%。さらに中国 65%、インド59%、米国57%などと続き、日本は断トツの最下位33%だった。豊かさとはいったい何なのか、つくづく考えさせられる数字である。
(8月24日、Business Media 誠)
 
Twitterより
★フランスの鬼才ジャン=ピエール・ジュネ監督が手がけた、5年ぶり最新作「ミックマック」が9月4日から公開となる(動画↑)。「アメリ」の大ヒットで知られるジュネ 監督だが、「ミックマック」を手がける以前、「ハリー・ポッター」シリーズの監督を断っていたことが分かった。[映画.com ニュース] 
□「ミックマック」公式サイト http://www.micmacs.jp/
★カーラ・ブルーニが9月6日にリリースされるデヴィッド・ボウイのトリビュートアルバム「We Were So Turned on
で「アブソリュート・ビギナーズ」をカバーしている。ボウイの86年の曲。ミック・カーン、デュラン・デュラン、ケレン・アンも参加。
★フィンランドで恒例の「エアギター世界選手権」、金色のパンツをはいたフランス人男性が2009年に続き連覇。http://utun.jp/SsQ/
★Twitterで出会ったアホ動画。 http://bit.ly/blRhX1
★豪華な仕掛絵本に『星の王子さま』一冊すべてをとじこめた完全愛蔵版 サンテグジュペリの「星の王子さま ポップアップ絵本・完全翻訳版」が出ています。元のフランス語版の Amazon のページで中身が見れます。http://utun.jp/Sl5/

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posted by cyberbloom at 10:36 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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