今回ご紹介するのは1999年に公開されたソフィア・コッポラ監督の「ヴァージン・スーサイズ」です。舞台は1970年代のアメリカ、ミシガン州。厳格な両親に育てられたリズボン家の5人姉妹(注1)の日常を、当時彼女たちに憧れていた少年が回想する、というものです。末の妹セシリアの謎の自殺未遂というショッキングな出来事を体験した姉妹たちは、学校生活を再開しますが、どことなく退廃的な雰囲気が漂うようになります。セシリアのために開かれたパーティーもむなしく、彼女は理由を明らかにしないまま再度自らの命を絶ちます。その後親の監視がますます厳しくなり、ほとんど軟禁状態になった4人の姉妹は、ある日次々とセシリアの後を追うことになります。
と、ストーリーをかいつまんでお話しするとものすごく暗い映画のように思えますが、実際はそれほど重苦しい感じはありません。20年くらい前の写真アルバムを覗いているような、少し色褪せたノスタルジックな映像のなかで、彼女たちにまつわるエピソードは、のんびりと、場合によってはユーモラスに語られていて、内容とのアンバランスさに観る側は不思議な感覚に包まれます。それは女性監督ならではの発想なのでしょうか・・セシリアがなぜ自殺を図ったのか精神分析医に問われたとき、「先生は13歳の少女だったことがないでしょう」と言い返す場面がありますが、「13歳の少女」だったことがない男性の方々は、この映画を観てどんな感想を持たれるのか、聞いてみたいなあ。この映画を監督したソフィア・コッポラはアメリカの巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘で、X-Girl や Milk Fed というファッションブランドを立ち上げたり、写真家として活動したり、多方面で活躍してきました。この作品は彼女の初監督作品ですが、映画の分野においてもその才能は発揮され、次作の「ロスト・イン・トランスレーション」(2003)(注2)ではアカデミー賞脚本賞を受賞しました。
さて、ここからがフランス関連の話。「ヴァージン・スーサイズ」でサントラを担当しているのは、ソフィア・コッポラが自ら依頼したという、Air(エール)というフランスの2人組(注3)。エレクトロニックなサウンドをベースに、アコースティックギターやピアノ、時にホーンセクションがからみ、物憂い、でもどこか懐かしく思える音となって映像に実にマッチしています。サントラアルバムでは、彼らの気怠いヴォーカルも聴かれ、単独で聴いてもじゅうぶん楽しめる完成度の高い作品になっています。エールの音楽に興味を持たれた方には、まずは彼らが1998年に発表したデビューアルバム "Moon Safari" をおすすめします。アンビエント・テクノ、クラブ・ミュージックといったジャンルにとどまらない、「エール・サウンド」というべき独自の作風は、聴いていると宇宙のどこかを浮遊しているような、脳内トリップ感覚を味わえます。
注1:四女を演じているキルスティン・ダンストは、今では「スパイダーマン」のMJ役など、ハリウッドのトップ・スター街道を歩んでいます。
注2:今をときめくマシュー南も出演しているこの作品で、音楽を担当しているのはケヴィン・シールズ。90年代UKロックシーンに詳しい方には、元マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィンといったらピンと来るでしょうか。エールの2人もこの映画に1曲提供しています。日本の往年の名バンド、はっぴいえんどの「風をあつめて」も聴くことができます。
注3:1985年結成。彼らの活動はフランスにとどまらず、ベック、バッファロー・ドーター、コーネリアスなど海外のアーティストたちとも積極的にコラボレートしています。
ヴァージン・スーサイズ
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少女たちがなぜあのような結末を選んだのかは私にもわかりませんが、日常の何でもない行為やおしゃれなどには共感する部分があったように思います。
playground love はいい曲ですよね。サントラではそのほか the word hurricane なんかもドラマティックで好きです。
フランスで今起こっていることから、エンターテイメントまで幅広く載っており、大変楽しめました。
それから、『バージン スーサイズ』一度見てみますね。それではまた来ます。
早速ブログを見ていただいて、ありがとうございます。本家のFrench Bloom Net ともどもこれからもどうぞよろしくお願いします。
「ヴァージン・・」はアメリカ映画ですが、フランス映画が好きな人にも楽しめる映画だと思います。また感想を聞かせてくださいね。