2006年03月20日

素人名人会談(2) DEXTER GORDON

アワ・マン・イン・パリ次回を待たれい、わっぱっ、と捨て台詞を吐きながら先回を中途でうっちゃった感のある素人名人会談、第2回の季節がめぐってきました。100回記念号まで残りあと98回を数えるのみ、ようやく20人の片手で足りるぐらいにまで漕ぎつけることができました。管理人さんのはからいで ROUND MIDNIGHT への試聴リンクもアクセスでき、マイルスもスマイル(今日のあたし冴えてるわ、いや実際こんなアルバムあるんです)。ところでアルバムタイトルがROUND ABOUT MIDNIGHT、曲のタイトルがROUND MIDNIGHTと微妙に変えているのはわけがあるのかなあ。版権なんかな。ルイ・ヴィトンがルイ・ヴュイトンなんかな。この曲、セロニアス・モンクって変な名前の変なリズムを奏でる、有名なジャズピアニストの作品なんだけど、いやっ、この人、スーツ着てるのにトルコ人がかぶるような帽子かぶってはるわ、なんでってところが最強に変。そんなんいうたらあかん。うちはうち、人は人。ともかく、試聴してくれました?まだの人、曲名どおりに、深夜みんなが寝静まった頃しずしずと聴いてみて。

雰囲気たっぷりです。やっぱ、帝王マイルス。ミュートトランペット(らっぱの朝顔部分にお椀をつけて音を弱めたもの)が、五臓六腑まで「マイルス寒いよ」BY谷川俊太郎です。ヅラかぶらんでも、マイルス、ええもんはええ、髪の毛気にせんとき。ちなみにモンクはこれに参加してません。それについておもしろいエピソードがあって…こらっエエ加減にせいスッポンの腐ったの、フレンチはどこいったんじゃ。尻子玉抜くぞ。アンパーンチするぞ。すわ、一大事。おとろし。じつはこれにあやかった同名のフランス映画があるんですよ、兄さん。

往年のアメリカ黒人ジャズプレイヤーと、このおっさんを敬愛するフランス人青年との交流を軸にストーリーが展開されていくんです。でもこの映画、伝記映画でもあるんです。お話では主人公はじいさんのサックス奏者になっています。この人、デクスター・ゴードンといって、ものほんのジャズプレイヤーでその道では大御所です。おまけにデカい。ついでにあだ名がデックス。デカいデックス。デラックスデックス。もう没しています。このじいさんのモデルのひとりが、神経病みのバド・パウエルっていうピアニスト。やっぱりとうの昔に鬼籍に入ってこの世にいません。なんかややこしい。モデルも役者もジャズメンやったら、一緒にでればよかったのにね。サックスとピアノやし、なんかジャズできたんやろうね。よういうてくれはった、もう一人の私、おおきに、やっぱべっぴんさんやな。ほなら、それを叶えてくれるこの一枚。

OUR MAN IN PARIS BY DEXTER GORDON で、どや。おまけにパリでのものなんで、フレンチ満開ネットになんとか貢献できます。これ、1960年代の録音です。その当時ですら、斜陽がかったヴェテランの二人。さぞ「枯葉散る白いテラスの午後3時」みたいにしんみりしてるんでしょうねとなると、ちっちっちっ、そいつは早合点だぜマドモアゼル。ぜんぜん。熱い熱い。パウエルはソロでわーわー叫んでるし、デックスは音が太いし。なにしろテナーサックスは音域が広く低音部分の懐の深さが魅力のひとつなんですが、テクニック重視だと、高音に偏って煮込みの足らんスジ肉のようにゴリゴリする。それやったらひとつ高域のアルトにすればええねん。その点、デックスはのほほんしながら軽く熱燗2合ほどひっかけた調子で、酔いを楽しむかのようにちょっとリズムとずれているところがかわいい。よくも悪くもこんな音色だすのは他にいません。よろしゅう試聴してみて。

ということで最後に今回の一句、「音色も聴いてください」(すんごい字足らず、って季語は?)。では十月十日後に。

Our Man in Paris
Our Man in Paris
posted with amazlet on 06.03.20
Dexter Gordon
Blue Note (2003/08/05)
売り上げランキング: 17,739


木魚

人気ブログランキングへ
↑ポチっと Merci!
FRENCH BLOOM STORE.png
posted by cyberbloom at 15:54 | パリ | Comment(0) | TrackBack(1) | JAZZ+ROCK+CLASSIC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

Ballads
Excerpt: 昔、LPで聞いていた時は「マイ・フェバリット・シングス」なんかも入っていたような気がするが…(その点は残念)。改めて聞くと、昔あれだけ何度も聞いていたのに新しい発見がある。大量生産の安物商品のCMソン..
Weblog: ジャズ サックスが最高によかった
Tracked: 2008-02-02 07:50