2010年05月18日

“Dis quand reviandras-tu?”(いつ帰ってくるの)

Dis Quand Reviandras-Tu?フランスの自作自演の歌手、バルバラの曲を選んでみました。シャンソンというジャンルに分類される歌手ですが、時に甘く遊蕩の雰囲気すら漂わせる楽曲がシャンソンの陽の面とすれば、バルバラは影の面を代表する人。かのゲンズブールも初期の作品はシンプルな音で硬質な感じを漂わせていましたが、バルバラの作品もああいう感じと思って頂ければわかりやすいかもしれません。しかし、彼女のほうがよりストイックであり、クラシカルな訓練を積んだ静謐でよく伝わる声とほどよく乾いた叙情性をたたえたメロディの組み合わせは、ちょっと古楽を思わせるところもあります。春を待つ季節を過ぎ秋になっても戻ってこない不在の相手に向かって、一心によびかけるバルバラの歌は、祈りにもにた感じがします。

さて、この曲がまだ公開中のフランス映画『ずっとあなたを愛してる』(“Il y a longtemps que je t’aime”)のエンドロールに使われています。ただしオリジナルではなく、カバーヴァージョン。フランスのベテランロッカー、Jean-Louis Aubertの弾き語りです。本人も認める通り「歌の人」ではなく、とつとつと歌っているのですが、オリジナルの張りつめた感じとは違い、薄ぼんやりとした日差しのような暖かさがあります。

映画は、ある事件をきっかけに生きなが自らを葬ることにした中年女性が、長い刑期の後、少しづつ「生」の世界へ戻ってゆく様を描いていますが、カバーヴァージョンのぎこちない暖かさが主人公と彼女を囲む人々との手探りの人間関係と妙に響き合って、しっくりときます。できれば映画館で、ぜひ聞き比べてみてください。

Dis quand reviendras tu ?
Dis au moins le sais tu ?
que tout le temps qui passe
ne se rattrappe guère
que tout le temps perdu

バルバラの歌を聴きたい方はこちらをどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=nUE80DTNxK4

歌詞を知りたい方は、英語の字幕があるバージョンを。
http://www.youtube.com/watch?v=6Llpdzx4dSU

映画で使われていた、Jean-Louis Aubertの歌はこちらで聴けます。
http://www.youtube.com/watch?v=wwcZrdwQvcw





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posted by cyberbloom at 23:08 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | フレンチポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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