2010年04月01日

TAXi 2

先日、授業中に映画鑑賞をしていたときのこと。ちょっと古い映画であるものの毎年学生さんの評判がいいので『TAXi 2』をよくとりあげているのですが、観劇中ふとあることに気がついてカルチャーショックじみたものを感じました。この映画では案外エゲツない描写がちりばめられてるんだなぁ、と。



まずその一つ目ですが、冒頭付近で主人公のダニエルが恋人のリリーの実家を初訪問する場面からはじまります。リリーの父親というのがフランス軍の幹部で、公私混同もはなはだしく普段から話す口調がやたらと軍人っぽくて、とっつきにくいところがある。ところが、飄々とした&物怖じしない性格のダニエルはエスプリの利いたやりとりで対応し、この父親と意気投合することに成功します。

そして、ぼくが気になったのはその直後で、リリーの父親がアルジェリア戦争での武勲を誇らしげに語る場面。この自慢話をリリーと母親はさんざっぱら聞かされているらしく、気もそぞろに聞き流している一方で、恋人の父親に配慮をしているのか、ダニエルはふんふんとそれなりに真剣に聞いている。ここで、「あ」と気がついたことがありました。

というのも、ダニエルはフランス旧植民地国の移民という設定であり、で、この(アルジェリアからの?)移民であるダニエルに対し、フランス軍の幹部がアルジェリア戦争の武勲を語るというのは、ある種のブラックジョークになるなぁ、と…。

このことに気がついてみると、さらにほかのところでもおなじようなブラックジョークではないかと思われるエピソードがみつかります。それは物語終盤で、ダニエルたちが日本のテロリストヤクザ集団を追いかけてマルセイユからパリに移動するときのエピソード。時間に余裕のないダニエルたちは、リリーの父親の操縦する軍用機をつかい、愛車もろともパラシュートをつかってパリに到着します。これって、アルジェリア戦争時、アルジェリア独立に反対する現地の進駐軍がクーデターを起こしてパリにパラシュート部隊をぶちこもうとし、フランス国民を恐怖のどん底に陥れたことを踏まえているんじゃないのかなぁ…。

このように外国映画ってのは、その国のことを知識としてある程度知っていたとしても、やはりその国民でないとすぐには気がつかないエピソードがかなりあると思います。みなさんのなかにも、ぼくとおなじように、外国映画で何気ないエピソードだと思っていたのが、あとになってそれになんらかの意味やメッセイジが含まれていると気がついたケースはありますか?



superlight


posted by cyberbloom at 15:58 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | フランス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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