2006年03月08日

フランスの紅茶

mariage01.gif「紅茶」と聞けばまず思い浮かべるのは「イギリス」でしょう。確かに紅茶の本場イギリスでは朝起きてから夜寝るまで何回も紅茶を飲んで生活し、紅茶無しの生活は考えられないとまで言われています。しかしそんなイギリスでも最近では昔のようにティーポットにフルリーフの茶葉(茶葉の形が完全に残った状態の茶葉)を入れてお茶を飲むことは少なくなり、ティーバッグ入りの紅茶を飲むことが多いそうです。もちろん、休日など時間にゆとりのある日やパーティーなど特別な場合などはティーポットにフルリーフ、あるいはブロークンリーフ(茶葉を刻んで抽出時間を早めた茶葉)を入れてきちんとした作法で淹れることもあります。

大きなデパートの紅茶売り場を見てみましょう。なるほど、パッケージの文字は英語が多く、さすが本場はイギリスです。ですが、紅茶専門店を探してみましょう。そうすると案外フランス語の店名が多いことに気づくはずです。「え!?フランスの紅茶?フランスってカフェっていうイメージが強いけど…」カフェのオープンテラスでカフェ・オ・レを頂く…確かにイメージの中のフランスでしょうが、今フランスでも紅茶は愛飲されているのです。厳密に言えば、かなり以前から好まれていました。

日本で出回っているフランス紅茶には少し特徴があります。それは「フレーバーティー」です。つまり紅茶に花やフルーツなどで香り付けがしてあり、紅茶を淹れたときにその香りの感じられるものです。フランス系の紅茶のお店には数多くのフレーバーティーが並んでいます。イギリスのフレーバーティーといえばアールグレイぐらいのものでしょう。

一方イギリス紅茶の場合は、産地は統一してあっても産地内でのブレンド、あるいは産地を越えたブレンドティーがほとんどです。例えば、ダージリンだったらインド・ダージリン地方のさまざまな農園のブレンドで、ブレックファーストティーだったら、朝の目覚めに合うように、セイロン(今のスリランカ)やインド・アッサムなどをベースにしてブレンドがしてあります。逆にフランス系の場合、もちろんブレンドもありますが、ナチュラルティー(香り付けのしていない紅茶)ですら農園別や産地を細かく分類して、その特徴を楽しめるようになっています。

イギリスとフランスの紅茶文化の違いは、紅茶の用途が違うことから生じていると考えられます。つまり、イギリスの場合紅茶は、私たちの緑茶みたいなもので、何杯も飲むものだからそんなに手の凝ったものである必要はないのです。逆にフランスの場合はお昼時のゆっくりとした時間を過ごすための嗜好品の性格が強いわけです。そういうこともあってか、イギリス紅茶は味がしっかりしていて、水色もはっきりしているのに比べ、フランス紅茶は比較的香りに重きがあり、水色も明るめのものが多い感じがします。価格を比べるとイギリス紅茶よりもフランス紅茶のほうが平均的に高価であることも見受けられます。ここにも用途の違いが出ているといえるでしょう。

ではどちらの紅茶が優れているのでしょうか?私の考えでは、どちらが優れているとはいえません。お茶も農産物で飲み物ですから好みがあります。いかにも紅茶というのが好きな方はイギリス系でしょうし、紅茶の優雅なイメージが好きな方、あるいはフレーバーティーが好きな方はフランス系でしょう。私は、繊細な紅茶が好きなこともあり、最近ではフランス系の紅茶を選ぶ傾向があります。しかし忘れてはならないのは、茶葉の産地はどちらも基本的には同じだということです。茶葉を生産しているのはイギリスでもフランスでもなく、インド、スリランカ、中国、ケニア、インドネシアなど、高温多湿な土地です(インド・アッサム地方は世界最多雨地域としても有名です)。あくまでそのような土地で生産された紅茶をイギリスやフランスで分類やブレンド、あるいは香り付けをしているだけです。

「フランスの紅茶が飲んでみたい」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで、フランス系紅茶店をいくつか紹介します。すべて専門店ですが、マリアージュ・フレール(Mariage Frères)やル・パレデ・テ(Le Palais des Thés)はどちらも本店はパリにあります。フランス系に分類される、日本の会社のレピシエ(L’Epicier)は全国にお店を持っています。また、ここに挙げたフランス系紅茶店はすべて通信販売を行っています。

今回はフランスとイギリスの紅茶文化を比較してみましたが、その違いを自分の目で、鼻で、舌でそれを体感していただけると嬉しいです。

Load Tea (K大学法学部3年生)
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posted by cyberbloom at 22:20 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | CAFE+WINE+GOURMET | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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