2010年03月15日

カーラ・サルコジ・ブルーニ大統領夫人のノーブラ・スキャンダル
Should Carla Bruni have worn a bra?

「ニコラ・サルコジ大統領夫人のカーラ・サルコジ・ブルーニが、公式晩餐会にノーブラで出席したとして、ヨーロッパ全土を巻き込んだ話題になっている」と日本でもトップニュースになっていた。真相はどうなのだろうと現地メディアを調べてみたが、やっぱりそうだった。

La poitrine de Carla Bruni-Sarkozy émeut la presse internationale(Figaro Blog)
Carla Bruni... sans soutien-gorge à l'Elysée !(Le Point)
Carla Bruni : un soutien gorge qui déchaine la presse étrangère !(News Yahoo)
Should Carla Bruni have worn a bra?(The Times)

単にワイドショー的なネタならばどうでもいいし、あまり加担したくないのだが(笑)、The Times(英)の記者がブルーニの衝撃的な姿の象徴的な意味について真面目に論じている。胸を誇張したことは、かつて権力者の妻や愛人が、自分の肉体的、政治的快挙を遠まわしに示すためにやったことと同じだと書いている。つまり自分の肉体的な魅力で権力者を落とし、それによって権力を獲得したことを誇示していると言いたいのだろう。(下の引用は先がフィガロ、後はタイムズ)

"En laissant apparaître sa poitrine, Carla ne fait que s'inscire dans une lignée de consorts françaises qui ont présenté leur poitrine pour suggérer des prouesses physiques et politiques", écrit Sarah Vine dans le Times, citant Agnès Sorel, Diane de Poitiers ou Gabrielle d'Estrées. Et la journaliste de voir dans cette tenue "un signe de jeunesse et de mainmise provocante sur le pouvoir".
(Figaro Blog)

Moreover, when Carla brandishes her bosom, she is merely the latest in an august line of Gallic consorts who have proffered their breasts to suggest physical and political prowess. Most prominent were the orb-bosomed Agnès Sorel, paramour to Charles VII; Diane de Poitiers, mistress to Henri II, who fashioned his goblet on her breast; and erect-nippled Gabrielle d’Estrées, the distraction of Henri IV. Like the third Mrs Sarko, all revealed their embonpoint as a means of signalling youthfulness and a provocatively literal grip on power.
(The Times)

ここに挙げられているはフランスの歴史に名を残した女性たちだ。カーラ・ブルーニも彼女たちの仲間に加えられるというわけだ。まずはアニエス・ソレル Agnès Sorel (15世紀前半)。彼女はシャルル7世の愛人で、髪はブロンド、色白で絶世の美女と言われていた。当時の流行にならって、胸の大きく開いた服を着ていた(彼女が考案したとも言われている)。

アンリ2世の妻と愛人という立場で、カトリーヌ・ド・メディシス Catherine de Medicis と対立していたディアーヌ・ド・ポワチエ(1449-1566) Diane de Poitiers は、50歳を過ぎても若々しい胸をしていたと言うが、who fashioned his goblet on her breast だなんてアンリ2世は趣味悪すぎ(笑)。彼女たちは「ロワール川古城巡り」の際のエピソードによく登場する。

Gabrielle_d_Estree_-_Louvre.jpgerect-nippled なガブリエル・デストレ Gabrielle d’Estrées (?-1599)はルーブル美術館にある有名な絵に描かれている。彼女の妹とともに。ルーブル美術館を回っていると、いきなり現れてちょっとギョッとさせつつも謎めいてる作者不明の絵である(この絵に関しては自分で調べてね)。

そしてカーラ・ブルーニのことを the third Mrs Sarko と書いて、若さによって前妻の2人を追い落とし、権力(=大統領夫人の座)を握ったというような印象を与えている。確かにカーラ夫人にはサルコジ大統領との馴れ初めからみても、そのような策略家的なイメージがある。また女性の身体が政治性を帯びるとき、こういうスキャンダラスな形を取らざるをえないのも歴史が証明しているわけだ。とはいえ、このスキャンダルがフランスの歴史と美術の旅にいざなうとは考えもしなかった。深読みにも思えるが、歴史的な教養に裏打ちされた話の展開である。

このスキャンダルの舞台は、ロシアのメドベージェフ大統領との会談である。会談では、ロシアの天然ガスをバルト海経由で欧州へ運ぶパイプライン事業「ノルド・ストリーム」への仏企業の参入が決定し、また鉄道・自動車製造分野でも、仏企業のロシア側への投資・増資などが決まった。それに加えて、仏製「ミストラル」級強襲揚陸艦4隻の売買交渉も進んだ。先日、アメリカが空中給油機の取引からフランスを締め出したというニュースがフランスで流れていたが、これもロシアとの結びつきの強化を暗示しているのかもしれない。大前研一なんかはロシアは将来的にEUに参加するだろうと言っているが、とにかくエネルギーと軍事政策に関わる重大な会談だったのだろう。





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posted by cyberbloom at 21:46 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事+トレンド特集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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