2010年03月11日

日本の子育てはフランスに追いつけるか(1)

『東洋経済』12月12日号の「日本の子育てはフランスに追いつけるか」で佐々木常夫が、フランスと日本を比較しながら、日本の子育ての行方を論じていた。その内容を紹介してみたい。

1975年の出生率はフランスが1.96、日本が1.91とほぼ同水準だった。その後、日本は下降の一途をたどり、2005年は1.26まで下げた。一方、フランスは93年まで日本と同様に低下したが、1.65で下げ止まり、08年には2.00を越えるまで回復。今やパリの郊外で暮らす家族は子供3人は当たり前という状況にある。

何がここまでフランスを変えたのか、佐々木氏は3つの要因を挙げている。

@政府の積極的な所得配分政策によって人々の所得格差が小さく、低所得の人でも安心して子育てができること。
A職場での男女格差が小さく、仕事か子育てかの選択を迫られる女性が少ないこと。
B週35時間制により、労働時間が短く、男女とも育児や家事に参加できる。

これに対して「もともとフランス人は働かないからだ」という反論がある。しかしそれは事実とは異なり、彼らの父親世代は週50時間働いていた。1世代で労働時間が大きく減少したわけだ。また現在のフランスの女性は約80%が働いているが、これに対する「もともとフランス人の女性は働いていた」という反論も当たっていない。60年代まではサラリーマンの夫と専業主婦の妻というのが標準家庭だった。つまりフランスは日本と同じようなライフスタイルだったのが、この30年から40年くらいで急激に変化したのだ。

フランスは70年代に働く女性に優しい法律を次々に策定することで、その変化を促した。例えば、親権の平等化、嫡子・非嫡子の平等化、男女平等賃金法、人工中絶の合法化、妊娠を理由に採用を拒否することを禁止する法律、育児休業法などが挙げられる。

同様のことはヨーロッパ諸国で行われている。フランスはヨーロッパ諸国の中では早い方だが、スウェーデンでの法整備は1971年にすでに始まっている。ドイツはフランスと同様、1980年代から女性が働きやすい環境に変わってきた。ただし、フランスは「子育てするフルタイム女性」を支援し、ドイツは実質的に、子育てかキャリアかを選ばせる支援策をとったので、子育てしながらフルタイムで働くのは難しい状況が1990年代まで残った。その結果が、その後の両国の合計特殊出生率の差にあらわれたと言われている。

フランスの法定育児休暇は何と3年。子供が3歳になるまで、フルタイムから全休業まで、いくつかの働きが選択できる。毎月、約6・7万円を上限とする休業手当、しかも手当ての大半には所得制限がない。子供は3歳から保育学校に行けるが、無料。税制のバックアップも大きく、世帯の収入は家族の人数で割って計算するので、子供が多ければ多いほど課税される所得が減る。

現在、日本では少子化対策が急務と言われているが、佐々木氏は、フランスと同じことを日本でやっても無理だろうと悲観的だ。理由は2つある。

ひとつは日本人の持つ家族観に起因している。日本の標準世帯はいまだ働く夫と専業主婦というパターンで、「稼ぐのは夫、家事育児は妻」。所得税の計算でも配偶者控除があり、専業主婦は税金面でも有利。おまけに会社は配偶者手当をつける。そういう家族観は日本の企業に蔓延している。子供ができると育てる責任はつねに女性サイドにあるという常識が待っている。日本の女性は子供を生むときに母親として生きるか職業人として生きるかの選択を迫られる。その結果、約70%の女性が職場から去っていく。つまり、女性が働くインセンティブが働いていないということだ。
(続く)




ワークライフバランスとは…「仕事と生活の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指す。

日本の子育てはフランスに追いつけるか(2)



cyberbloom(thanks to bellevoile)

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posted by cyberbloom at 13:22 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 子育て+少子化対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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