2010年03月09日

かもめ食堂

かもめ食堂 [DVD]フィンランドで「かもめ食堂」を開く日本人女性(小林聡美)が主人公。フィンランドと言えば、ムーミンの舞台になった美しい森と湖がトレードマーク。北欧の夏の淡い光も印象的で、それが映画に決定的なトーンを与えている。

小林聡美も、片桐はいりも、もたいまさこも全然好きな女優じゃないし、彼女たちのノリにも正直あまり馴染めない(昔やっていた「やっぱり猫が好き」というTVドラマを思い出す)。キャスティングからある程度展開と雰囲気が想像できたが、意外に面白かった。まるでみんなが何とはなしに「かもめ食堂」が気になり、引き寄せられていくように。

客はそのうち来るだろう、とりあえず迎え入れておけばそのうち何とかなるだろう。そんな主人公の軽やかな自信とオプティミズムが食堂というゆるい関係の場を支え、男っ気のない女性のあいだの淡々としたやりとりが続く。草食系の日本オタクのフィンランドの若者は出てくるが、日本人男性は全く出てこない。それが日本の男性社会をネガとしてあぶりだしているように見える。そのしがらみがない場所では、日本人女性はこういうナチュラルな空気と関係を作れるんだという驚き。それに日本人女性の洗練、清潔感、趣味の良さといったものが、北欧の空気に違和感なくなじんで映る。

それぞれ勝手な思い入れや偶然によって、フィンランドにやって来るのだが、人間関係はそういうものが折り合って、刷り合わさって出来ていく。外国との関係を取り結ぶときも、その国に対する勝手な思い入れから手探りで始まる。ガッチャマンとかムーミンとか、一見取るに足らないことも重要な結び目になる。最初、日本人とフィンランド人が並んでいる姿に違和感を感じたが、荻上直子監督の言語と文化の超え方にはそれなりの説得力があった。やはり食は重要な媒介だ。

「かもめ食堂」-trailer




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posted by cyberbloom at 20:24 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本と世界の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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