2010年02月28日

週刊フランス情報 22 - 28 FEVRIER 前編 映画情報

「預言者」に最優秀作品賞=仏セザール賞
■フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞の授賞式が27日、パリ市内で開催され、アラブ系青年の獄中生活を描いた仏映画「預言者」(ジャック・オディアール監督)が最優秀作品賞、監督賞など九つの賞に輝いた。「預言者」は昨年カンヌ映画祭で最高賞パルムドールに次ぐグランプリ(大賞)を獲得。3月7日に授賞式が行われる米アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされている。 
(2月28日、時事通信)



女性たちを活写したフランス映画の特集上映「ファム@トウキョウ」開催
女と男のいる舗道 [DVD]■国連が制定した「国際女性の日」(3月8日)を中心に、日経ホールほか4か所で2月28日(日)〜4月3日(土)の期間中、イベント「ファム@トウキョウ」が開催される。フランス大使館と日本経済新聞社の共催による本イベントでは、“女たちの記憶”をテーマに、「女たちの記憶 わたしは愛する、生きる」と題して女性を描いたフランス映画を特集上映する。
■会期中は『勝手にしやがれ』(59)で映画界に衝撃を与えたヌーヴェル・ヴァーグの旗手、ジャン=リュック・ゴダールによる『女と男のいる舗道』(62)、カトリーヌ・ドヌーブ主演の『昼顔』(66)など秀作6本が一挙に上映される予定。
■ちなみにフランス映画といえば、オシャレな大人の映画といったイメージがあるが、女性が生き生きと描かれているというのも特徴のひとつではないだろうか? 上記の『勝手にしやがれ』で、ジーン・セバーグ演じるベリーショートヘアーのコケティッシュなヒロインは、当時の女性たちのファッションに大きな衝撃を与えたと言われている。
■また、近年製作されたココ・シャネルの生涯を描いた幾つかの映画からも、これらの要素は感じ取ることができ、それはまさに、21世紀の社会における自立した強い女性の重要性を主張しているかのようだ。
■そもそもフランスは映画が生まれた国である。20世紀はフランス映画が世界の映画をリードしたが、21世紀は社会における女性のあり方も率先して示していってほしいところだ。(2月25日、Movie Walker)

フランスのファーストレディ出演予定のウディ・アレン新作
■フランスのニコラ・サルコジ大統領の夫人であるカーラ・ブルーニ・サルコジが出演することで話題になっている、ウディ・アレン監督の新作映画に新たな出演者が決まった。業界紙ハリウッド・レポーターのブログ版が伝えたところによると、オーウェン・ウィルソンがタイトル未定のアレン監督の新作映画への出演を決めたとのこと。これまでの作品同様に、アレン監督は新作映画に関して一切明かしておらず、オーウェンがどのような役柄を演じるのかも不明だ。映画はフランスが舞台になることだけ明らかにされており、撮影は今夏から開始される予定だ。
■オーウェンはアレン監督映画のほかに、ピーター&ボビー・ファレリー兄弟の新作映画『ホール・パス』(原題)への出演が決まっており、同作は倦怠(けんたい)期に差しかかった夫婦が、罪悪感なしに新しい恋愛を楽しめるフリーパスを与えようと考えるコミカルなストーリーだ。ドラマ「The Office」のジェナ・フィッシャーとコメディアンのジェイソン・サダイキス、スティーヴン・マーチャント、J・B・スムーヴが共演する。
(2月24日、シネマトゥデイ)

日本では最後の機会?エリック・ロメール追悼上映を実施
獅子座 [DVD]■今年1月11日に亡くなったフランス映画界の巨匠、エリック・ロメール監督の追悼特集上映「エリック・ロメール追悼特集上映 adiew ROMER<アデュー・ロメール>」が、3月6日(土)から19日(金)まで、渋谷ユーロスペースにて開催される。ヌーヴェル・ヴァーグ(1950〜60年代にフランスで起こった映画運動)の最重要人物として、フランスのみならず世界中の映画界を牽引してきたロメール監督。1959年の『獅子座』で長編映画デビュー以降、遺作となった2008年の『我が至上の愛 アストレとセラドン』まで、一貫して若い男女の恋愛模様やその心の機微を描き続けてきた。これらの作品に加え、今回の特集上映では、ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した『緑の光線』(1986)や、ベルリン映画祭監督賞を受賞した『海辺のポーリーヌ』(1983)を含む、22作品が上映される。ロメール作品は日本でも人気が高く、過去に何度も特集上映が行われてきたが、本年度で日本における上映権利が終了する作品が多いため、本特集は、現時点でロメール作品をスクリーンで鑑賞できる、最後の機会となる。
■「エリック・ロメール追悼特集上映 adiew ROMER<アデュー・ロメール>」上映作品
『獅子座』(1959)『モンソーのパン屋の女の子』(1962)『シュザンヌの生き方』(1963)『モード家の一夜』(1968)『コレクションする女』(1966)『クレールの膝』(1970)『愛の昼下がり』(1972)『O公爵夫人』(1975)『聖杯伝説』(1978)『飛行士の妻』(1980)『美しき結婚』(1981)『海辺のポーリーヌ』(1982)『満月の夜』(1984)『友だちの恋人』(1986)『緑の光線』(1986)『レネットとミラベル四つの冒険』(1986)『春のソナタ』(1989)『冬物語』(1991)『木と市長と文化会館』(1992)『パリのランデブー』(1995)『夏物語』(1996)『恋の秋』(1998)『グレースと侯爵』(2000)『三重スパイ』(2003)『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』(2007)『パリところどころ』(オムニバス・1965)
(2月22日、@ぴあ)
□3月6日(土)〜19日(金) 渋谷ユーロスペースにて上映
 http://www.eurospace.co.jp/

‘Paris, je t’aime’ の次は New York, I love you’
■映画監督・岩井俊二が参加した新しいスタイルの映画『ニューヨーク、アイラブユー』(2月27日公開)。世界各国から集められた10人の監督が、米NYを舞台に、それぞれ独創的で意外性のあるストーリーを紡ぎ、11人目の監督が有機的につないでいく恋愛映画だ。岩井監督は、脚本作りでプロデューサーから様々なルールが課せられ、ずいぶん苦労したという。ただ「その葛藤がなければ、最後の劇的なアイディアは生まれてこなかった」と振り返り、いい作品を作るには「外圧というか、人から足を引っ張られたりすることが、大事なんですよね(笑)」と語る。



■各監督には脚本に関するルールが言い渡された。例えば、視覚的にNYと特定できるようでなければならない。広い意味での愛の出会いが描かれていなければならない。ストーリーの終わりや始まりに“徐々に暗転”をもちいない、など。岩井監督がつまづいたのは、「脚本のページ数。内容は問題ないんですけど、3ページじゃなきゃダメだと言われて、せめて5ページ、出来れば7ページと戦っていた」。その結果、ドストエフスキーにまつわるネタを見つけ、作品に取り入れた。「散々、イラッとさせられたけど、最後はありがとうみたいなことって、ありますね」。
■岩井監督のエピソードには、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ3作で人気を博した英俳優オーランド・ブルームが出演している。キャストがなかなか決まらなかったところに、手を挙げてきたのがオーランドだった。「たまたまオーランドが僕の作品を観ていて、気に入ってくれていたみたいで。彼は親日家なんです。日本人の知り合いもいっぱいいるみたいで。彼は、警戒心もなくて、猪突猛進型というか、男らしい感じの人でした」。
■高級住宅街が立ち並ぶアッパー・ウエスト・サイドを舞台に、オーランド演じる若い作曲家とクリスティーナ・リッチ扮する依頼主のアシスタントの、顔を会わせたことのない2人が、電話で恋を紡いでいく姿を描く。全体の11分の1ではあるが、「会ったことない人たちが、コミュニケーションを始めているというのが現代的。現実(本人)を見ない分、妄想も広がると言う不思議な関係を描きたいと思った」というストーリー性とスクリーンに映し出されるひとコマひとコマに“岩井美学”は遺憾なく発揮されている。日本のアニメを使ったトリッキーな演出もお見逃しなく。
■同作は、2006年に18人の監督が、パリを舞台にさまざまな“愛”の物語を紡いだフランス映画『パリ、ジュテーム』と同じエマニュエル・ベンビイが製作。場所をパリからニューヨークに移し、登場人物たちのそれぞれのエピソードを語りながら、時にすれ違い、時に重なり合う、アンサンブルを奏でるような作品となっている。この手の作品の魅力は、監督の名前や俳優の名前を知らなくても、1時間43分の映画の中に、1つや2つ、心の琴線に触れるシーンやエピソードに出会えるところだ。どんな趣味趣向の人が観ても、11人も監督がいればそれなりに期待に応えてくれるし、いい意味で期待を裏切られる新しい発見がある。
(2月26日、オリコン)
□映画『ニューヨーク,アイラブユー』は2月27日(土)より東京・TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国公開。

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posted by cyberbloom at 11:30 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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