2010年02月16日

アメリカのフランスに対するイメージが著しく改善 29%から62%へ

2009年12月3日付の「ル・モンド」紙 'L'image de la France aux Etats-Unis progresse considérablement' によると、アメリカのフランスに対するイメージが著しく改善したようだ。10月と11月に行われた2000人対する調査の結果、62%のアメリカ人がフランスに対して好意的だった。2003年の調査では29%だったが、その年は、フランスがイラク戦争に関してアメリカを厳しく批判していた時期である。その後、2005年46%、2007年48%と上昇していた。また民主党支持者(71%)の方が共和党支持者(53%)よりも、フランスに対して好意的という結果も出た。

chirac02.jpgアメリカ人はフランスに対して抱いていたわだかまりを忘れてしまったのだろう。2003年においてフランスはアメリカに極端に反感を持たれたが、それはイラクに関する対立から生まれたものだった。「クリアストーム事件」で株を落としてしまったのドヴィルパン首相(当時はシラク政権下、写真)も国連の演説でイラク開戦に反対を表明したときはカッコよかったし、アメリカ人がフランス産のワインをヒステリックに割っていた光景もつい最近のことのように思えるが、その後のイラク戦争の泥沼化は、どうみてもフランス側に理がある。アメリカ人はフランス人の視点を評価することを学んだのかもしれない。もちろん、フランスが正義を通したとかいうキレイ事では全然ない。イラク戦争はフセインが外貨準備をドルからユーロに切り替えようとしたことが原因とも言われている。今もくすぶり続け、誰が最初に抜けるかチャンスを伺っているようにも見える「ドル離れ=ドル危機」の流れの中の出来事とも言えるのだろう。

アメリカにおけるサルコジ大統領のイメージも世論の建て直しに一役買っている。アメリカでのサルコジ大統領のイメージはすこぶる良く、アメリカと一緒にやっていこうという彼の意志が浸透している。思い出せば、サルコジ大統領は大統領就任直後、真っ先にアメリカに飛び、演説のなかで「アメリカを愛している」とまで言った。当然の巡り会わせとして、フランスのオバマ大統領の人気はヨーロッパのどの国よりも高いのである。

ところで、写真のシラク前大統領であるが、引退後は日本に隠し講座があるとか疑われたり、架空雇用疑惑で公判出廷を命じられたりしている。後者はパリ市長時代に職員を架空雇用し、公金を横領していたのではという疑惑だ。10年も以上も経って司法が動き出したのは遅すぎると言われる一方で、いまさら告発するような事件ではないという同情の声が多い。頑迷な保守主義者、人気取り政治家、縁故主義者、利権の亡者などと、かつて容赦ない批判を浴びせていた人々でさえこの感情を共有している。シラクは引退後は平和を訴え、地球を救おうと戦っている老賢人として迎えられている。「王と王妃をギロチンにかけるべきではない。革命は成功し、権力の委譲も完了したのだから」。フランス革命の時期にフランス人が抱いた悔恨の念をそこに読み取ることができると、イタリアの新聞(「コリエレ・デラ・セラ」)が結んでいた。




cyberbloom

rankingbanner_03.gif
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!

FBN22.png
posted by cyberbloom at 08:27 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | フランスの現在 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック