2006年02月28日

DAFT PUNK-Human After All

Human After All~原点回帰HMVにぶらりと入ったら、ビデオが流れてて、ダブルネック・ギターが目に入った。一瞬、レッド・ツェッペリンの秘蔵ライブでも出たのかと思ったら、ダフト・パンクのRobot Rockだった。ヘビーなビートとギターのリフ。相変わらずカッコいいじゃないの。即、購入。

先週末、昼間からあちこち飲み歩いていたが、どこの店でもダフトの新作がかかっていた。みんなこれがフランス発だって知ってるのかなと思いつつ、ついついそう思ってしまうのはフランス語教師の悪い癖だと反省。フランス発と知らなくてもダフトがカッコいいことには変わりない。フランスが築き上げてきた伝統的なブランド・イメージをダフトは突き抜けている。

前作、Discovery(2001年)でダフトは日本の伝説的なアニメーター、松本零士とコラボレーションを果たした。小学生の一時期、彼のアニメに魅了された私にとって、松本零士がフランス経由で回帰して来たことは驚きでもあり、感慨深いものでもあった。今回は再び音で勝負って感じ。ダフト・パンクと言いつつ、パンクではなく、極めてファンクなダフトだが、さらに、Robot Rockなんて、デジタルな音ながら、まさに往年のツェッペリンのような骨太なロックを感じてしまう。ダブルネックを出してくるあたり、意識しているのかもね。一方で、私のような80年代世代をニヤリとさせてくれる音ネタも相変わらず要所に仕込まれている。

よく授業で「ディスカバリー」のビデオを学生と一緒に見た。ダフトのトーマとギー=マニュエルの二人は、日本アニメブームの中で、松本零士の「宇宙海賊キャプテンハーロック」を見て育ち、「日本は第2の故郷だ」と断言するまで彼らに大きな影響を与えたことも話した。それがきっかけで、かなりの学生がCDを買って聴いてくれたものだ。もうひとつ忘れていけないことは、彼らが耳の肥えたリスナーだったということ。フランスの若者は、決してメジャーシーンを形成できない自国の音楽シーンにコンプレックスを抱きながら、80年代、90年代と、英米の先端を行く音楽を必死に聴き続け、リスナーとして成熟していった。世界第2のレコード消費国である日本の若者にも同じことが言えるだろう。ダフトを聴いていると、そういう蓄積が花開いた音楽なんだなと改めて実感してしまう。

このジャンルはフレンチ・ハウスとかフレンチ・エレクトロと呼ばれている。いわば音楽の進化が止まり、すべてが音ネタとしてデータベース化=サンプル化した状況から生まれた音楽。つまり、どれだけ音楽に対して耳が肥え、どれだけの音ネタに精通しているか、また、それらをどのようにリミックスするかにかかっている音楽と言える。

Human After All~原点回帰
☆アルバム「ディスカバリー」における松本零士とのコラボレーションは映画「インターステラ5555-The 5tory of the 5ecret 5tar 5ystem-」として結実。カンヌ映画祭でも上映された。

cyberbloom(2005年5月-CYBER FRENCH CAFEに掲載)
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posted by cyberbloom at 20:33 | パリ ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | フレンチポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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