2010年01月25日

週刊フランス情報 18 - 24 JANVIER 後編 ビデオ判定はサッカーを殺す

アンリ、“神の手”はお咎めなし
■FIFA(国際サッカー連盟)の規律委員会は現地時間18日(以下現地時間)、2010年W杯欧州予選プレーオフのアイルランド戦で、手でボールを扱い、本大会進出に繋がったゴールをアシストしたフランス代表FWティエリ・アンリ(バルセロナ/スペイン)について、処分は科さないことを決定した。ロイター通信が報じている。
■アイルランドとのプレーオフ・セカンドレグの延長戦、ウィリアム・ガラの決勝点をアシストした場面で、手を使ってボールをトラップしていたアンリ。フランスはこのゴールにより、2試合合計スコアで2対1とアイルランドを上回り、W杯本大会への出場権を獲得していた。
■アイルランド側は再試合を要求したが、FIFAは「試合結果を変えることはできない」とすぐに却下。さらに、アイルランドは33番目の代表として特別出場枠を設けることを要請したが、FIFAはこれも認めず。なお、アイルランドの要請を公にしたことについては、ゼップ・ブラッター会長が謝罪している。
■ゴール直後には得点を祝っていたアンリも、すぐに謝罪の意を表し、「もちろん、勝利の決まり方には困惑しているし、間違いなく南アフリカへ行くのがふさわしかったアイルランドには、これ以上ないほど申し訳なく思っている」とコメント。ハンドを認めたうえで、後日に仏『レキップ』紙に対し、「試合翌日とその次の日、僕は本当に孤独を感じていた」と苦悩を明かしていた。
■FIFAの規律委員会は18日、「本件を問題と捉えるだけの法的根拠はないという結論に達した。ハンドリングの反則は、FIFA規律規約第77条aに当たる、深刻な違反と捉えることはできないからだ」と発表。「マッチオフィシャルが見逃した出来事について、規律委員会が処罰を科する規約は存在しない」と、アンリを罰するメカニズムはないと結論付けた。
■1986年W杯のイングランド戦で、アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(現同代表監督)が手を使ってゴールを決め、“神の手”と騒がれて以降、判定ミスがこれほどの騒動に発展したのは珍しい。今回の決定はさらなる議論を呼ぶことが予想され、主審を助けるためのテクノロジー導入や、明らかなジャッジミスを覆すための権限を審判団に与えるべきだとの意見が出ると予想される。アンリのハンドもテレビの映像でははっきりと映し出されていた。
(1月19日、ISM)

プラティニ会長「ビデオ判定を行えばサッカーは死んでしまう」
■『フランス・フットボール』誌の取材に応じたUEFA(欧州サッカー連盟)のミシェル・プラティニ会長は「ビデオ判定を行えばサッカーは死んでしまう」と語った。
■「もし、ティエリ・アンリがインチキをしたと言うのなら、われわれは全員いかさま師だ。われわれには、サッカーという競技を守る義務がある。最新のテクノロジーがサッカーに何かをもたらしてくれるとは思わない。もちろん、サッカーを有名にするという意味ではビデオも役に立っているんだろうが、ビデオ判定を行ったりすれば、サッカーの良さが失われてしまう。この問題は、審判の数を増やすことで解決すべきだ。現在もわれわれはさまざまな試みを行っている。もし理事会で承認されれば、チャンピオンズリーグやユーロ(欧州選手権)2012の予選では審判5人体制を用いるつもりだ」
■一方、プラティニ会長は、2011年3月に行われるUEFAの次期会長選挙に出馬するかについては明言を避けた。「可能性はある。だが、まだそのことについては考えたこともない。なぜなら、会長に選出されたのがまるで昨日のことのように感じるからだ」
(1月20日、スポーツナビ)



癒やしを感じる映画『ユキとニナ』
■森ガール、登山ブームなど、森の持つ癒やしの力への関心が高まる中、「森林浴」から一歩進んだ「森林セラピー」が流行の兆しをみせており、その効果を実感できる映像作品として、日仏合作映画『ユキとニナ』に注目が集まっている。
■ヨーロッパでは、精霊が宿る聖地としてさまざまな伝説が残り、日本でも古くから神の住む場所としてあがめられてきた森。映画『ユキとニナ』は、そんな森を舞台に、心に傷を負った少女の癒やしと再生を感動的に描いた物語だ。ここ数年、まるで森にいそうなゆるいファッションを好む森ガールがブームとなっているが、本作のヒロインのユキと親友のニナが森をさまよう姿は、まさにフランス版の森ガール。二人が緑の中で癒やされていく様子を見て、森でリラックスしたくなってしまう人も多いはず。最近、登山や森林浴が手軽なストレス解消法として人気だが、本作の日本公開とともに、森の癒やし効果への注目度がますます高まりそうだ。
■映画『ユキとニナ』も、森の癒やし効果がスクリーンいっぱいに広がる作品。両親の離婚問題でショックを受けた主人公の少女ユキは、親友のニナとともにパリ郊外の森に迷い込み、神秘的な体験をすることで新たな一歩を踏み出していく。本作の中で、森は日常や社会から隔離された特殊な空間として描かれ、ユキの心に大きな変化と癒やしを与えるのである。鮮やかな緑と木々のざわめき、そして、やわらかな光にあふれる本作で、森林セラピーの絶大な効果を味わってみてほしい。
(1月20日、シネマトゥデイ)
□『ユキとニナ』、1月23日より恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次公開
□公式サイト http://www.bitters.co.jp/yukinina/
予告編(フランス版)-こちらの方が絵がキレイ

印象派の巨匠、“幸福の画家”ルノワールの回顧展が開催
■世界中で愛されるフランスの印象派の巨匠、ピエール=オーギュスト・ルノワールの回顧展『ルノワール―伝統と革新』が、1月20日(水)から六本木の国立新美術館にてスタートする。19日には、報道内覧会が開催された。本展は、ゆかりの土地や人物を通してその画業に迫った「第1章 ルノワールへの旅」から、生涯を通して表現を追求し代名詞となった“裸婦像”を中心とした「第2章 身体表現」、いままであまり触れられることがなかった装飾芸術について描いた「第3章 花と装飾画」、そして、仕立て職人の家に生まれたルノワールの愛した18世紀のフランスのファッションを中心とした「第4章 ファッションとロココの伝統」と、ルノワールの魅力を4つのキーワードに分けて紹介する。
■ボストン美術館やワシントン・ナショナル・ギャラリーなど、国内外の主要コレクション77点が集結し、ポーラ美術館の協力のもと、最新の光学調査によって解明したルノワールの技法など、新たな発見や驚きとともに作品を見ることができるのも興味深い。幸せなムードの中で絵を描いたという彼の作品は、どれをみても色彩が豊かなきらきらとしたものばかり。春が待ち遠しくなる展覧会になっている。
(1月20日、@ぴあ)




★commented by cyberbloom

rankingbanner_03.gif
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!

FBN22.png
posted by cyberbloom at 11:48 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック