2010年01月11日

週刊フランス情報 4 - 10 JANVIER 後編

副作用心配?新型ワクチン、仏で大量余剰 
■フランスで、新型インフルエンザ・ワクチンが大量に余る見通しとなり、国民全員分のワクチン確保に大金を投じた政府が、判断を誤ったとして批判にさらされている。仏政府は国民の大半がワクチンを2回ずつ打つと想定して、昨年11月、世界の生産量の1割にあたる9500万回分を総額約10億ユーロ(約1300億円)でグラクソ・スミスクライン社などに発注。2月末までに3000万人が接種すると見込んだが、副作用への懸念からか、接種を敬遠する人が続出し、これまで接種した人は国民の1割足らずの約500万人にとどまる。政府は5000万回分の注文を取り消したが、4000万回分の在庫を抱え込みそうで、カタールやエジプトへの転売を模索し始めた。
■与党・民衆運動連合のベルナール・デブレ国民議会(下院)議員は、「10億ユーロで全国の病院の赤字が補填(ほてん)できた」と主張。社会党のブノワ・アモン議員は、「製薬会社の独り勝ちだ」と批判した。仏政府が製薬業界への利権誘導を図り「水増し発注」したとの疑念もささやかれ、国民議会で6日、ワクチン発注の経緯を追究する特別調査委員会設置を求める決議案が上程された。
(1月7日、読売新聞)
★結局、フランスでインフルエンザワクチンを受けた人は国民の1割。フランスのワクチンキャンペーンもちょっと異常な感じがしたが、やはり逆効果だったようだ。それに余ったからといって、カタールやエジプトに転売するなんて。同じような形で日本政府が追求されることはないのだろうか。次は少し古い先月の日本のニュース。
<新型インフル>接種後に死亡70件…副作用ケースはなし
麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか■厚生労働省は13日開いた新型インフルエンザワクチンの副作用に関する専門家検討会で、接種後に死亡した事例が10日までに70件報告されたことを明らかにした。ただし副作用により死亡したケースはなかったとして、検討会はワクチン使用の継続を決めたが、一部については接種が基礎疾患の悪化を招いた可能性が指摘された。
■厚労省によると、報告があった副作用は約930万回分の出荷に対して1538件で、このうち死亡70件を含む入院相当以上の重篤例は199件。医療機関が「因果関係あり」と判断したのは、このうち81(死亡は0)件だった。また、専門家の精査の結果、神経まひを起こすギランバレー症候群が4件、呼吸困難や血圧低下などを起こすアナフィラキシーショックが30件含まれていた。
■検討会は、副作用や死亡の報告頻度に大きな変化がないことなどから「新たな対応は必要ない」との意見で一致。一方で死亡例の中には、かぜの症状があったのに接種したり、接種後に間質性肺炎などが悪化したケースがあり、基礎疾患のある人への接種リスクについて情報提供や疫学調査の実施を求める声が出た。
(12月14日、毎日新聞)
★このニュースをどう読めばいいのだろうか。接種後に死亡して副作用じゃないってどうして断言できるのだろう。因果関係を認めたのは死亡していないケースばかり。因果関係を認めると損害賠償が発生するってことなのだろうか。厚労省側が示したデータによると、新型インフルエンザワクチンの接種後の死亡例は、1月7日報告分までで107例に達している。
★一方、厚労省医系技官の村重直子著「新型インフル禍の真犯人 告発!死の官僚」が1月7日に刊行されたが、すぐに回収された。発行した講談社によると、村重さんの話を編集部がまとめたが、事実関係の確認が不十分で、内容やタイトルが著者の本意と異なるため回収を決めたらしい。中身が気になるではないか。
★『麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか』という本を書いている感染症学(神戸大学大学院医学研究科)の岩田健太郎さんの本が興味深い。さらに『感染症は実在しない―構造構成的感染症学』という著作では、「新型インフルエンザは実在しない。生活習慣病もがんも実在しない。そもそも病気とは何か。それが実在しないと考えることでどのような新たな地平が開けるのか?」と問いかけている。私たちはウィルスが実在し、それが人の身体に入って、病気を引き起こすと当然のように思っているが。

ユーロ圏失業率10%…98年8月以来の高水準 
■欧州連合(EU)統計局が8日発表した2009年11月のユーロ圏(独仏など16か国)の失業率は10・0%の大台に達し、1998年8月以来の高水準を記録した。EU27か国全体でも9・5%となり、現行統計が始まった2000年1月以来、過去最悪の水準となった。
■国別では、通貨危機の後遺症に苦しむラトビアで22・3%になったほか、住宅バブルが崩壊したスペインで19・4%に上昇した。特に、25歳以下の若年層の雇用悪化が深刻になっており、スペインでは43・8%、フランスやイタリア、アイルランドでも25%を上回った。
(1月8日、 読売新聞)
★どこの国ももの凄い失業率だが、若年層に雇用のしわ寄せが行っている。アメリカでも12月の米雇用統計に期待が寄せられていたが、失業率は変わらず10%、非農業部門の就業者数は8万5000人減に悪化した。雇用は足踏み状態で、急回復はないようだ。

ネット広告収入に課税検討
■フランス政府が、米グーグルや米ヤフーをはじめとしたインターネット検索会社のサイト上の広告収入に課税する検討に入った。欧州メディアによると、サルコジ仏大統領が担当部局に指示した。
■具体的な課税の仕組みや実現性は不明だが、ネット検索会社のビジネスモデルにかかわるだけに、課税の是非は国際的にも論議を呼びそうだ。仏メディアの間では、グーグルなどが、地元のニュースや音楽などを利用して、巨額の広告収入を得ているのは問題だとの声が広がっており、政府が対応に乗り出した格好だ。
(1月8日、読売新聞)

仏大統領、ユーロ高・ドル安を問題視 基軸通貨問題を議題に
■フランスのサルコジ大統領は7日、パリ市内で開かれた講演会で「通貨の不均衡は容認できない」と語り、ユーロ高・ドル安を問題視する考えを示した。一方で通貨制度も「多極化」を検討すべきだと発言。2011年にフランスで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)で、基軸通貨問題を議題とする考えを明らかにした。
■大統領は講演で「ユーロ圏で生産したものをドル圏で売った場合の競争力不足をどう補えというのか」などと述べ、ドル安の是正を求める意向を示した。欧州輸出企業はユーロ高で業績が伸び悩んでおり、大統領はたびたびドル安を問題視する発言をしている。また「通貨問題は今年の主要議題だ」と強調。自国開催のG8サミットに先行して、まずは今月末にスイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、通貨問題について話し合いたい考えを示した。
(1月7日、NIKKEI)

「フランス人とは何か」サルコジ政権が問い
■「フランス人とは何か」。そんな根源的な国民論議がフランスで続いている。国民の10人に1人が移民(不法移民も含む)であるという現実を前に、保守派のサルコジ政権が「フランス人を定義し、国民の誇りを再確認しよう」と呼び掛けた。フランス語を話す、国歌を歌える、伝統的な政教分離主義を守る、などさまざまな意見が出る一方で「こうした論議自体、移民やイスラム教徒の排斥につながる」との反発も強くなっている。
■政府が昨年10月、国民に求めた論議のテーマは「仏国民とは何か」「フランスや仏国民のアイデンティティー(価値観など)を移民がどう共有するか」の2点。移民省は全国約450カ所で討論集会を開く一方、インターネットの公設サイトでも意見を求めている。2月にも政府報告を行う予定だ。サイトには既に5万人が意見を寄せた。それによると仏国民の定義として、▽フランスを愛し国是の自由・平等・博愛の精神を信奉する▽(政教分離などを記載した)憲法を順守する▽キリスト教の伝統を受け入れる……などが出された。政府はその一方で、「若者に年1回、国歌の斉唱を義務付ける」「仏語や共和国の精神を学ぶ機会を設ける」などの政策を提案した。移民らがフランスの価値観を理解する一助にしたいという。
■だが、論議開始以降「反移民感情をあおるだけだ」との批判が、野党第1党・社会党や知識人、移民の間に広がった。フランスの移民は「外国で生まれた外国人で市民権取得などを目指して永続的にフランスに居住する者」との定義があり、仏国籍を取得した者も含まれる。人口約6100万のフランスには、不法移民を除くこうした移民が約500万人居住し、イスラム教徒も約600万人(移民との重複あり)いて、同化政策は仏社会で大きな問題となってきた。こうしたことから論議のテーマの設定自体が「移民やイスラム教徒にフランスの価値観を押し付けるものだ」との批判を呼んだ。社会党のオブリ第1書記は「(移民排斥の論議につなげることで)政府は移民に(失業などの)社会問題の責任を押し付けようとしている」と指摘した。保守派からも批判が出た。ジュペ元首相は「論議は国内の対立、特にイスラム教徒への反感をあおった」と発言。ドビルパン前首相も「こんな重大なテーマを経済危機で団結すべき時に持ち出すべきではない」と異を唱えた。一方、全仏組織の「イスラム教徒会議」幹部は「論議は(イスラム批判という)本末転倒の方向に向かう」と懸念を表明。「サルコジ大統領は3月の地方選を前に(ナショナリズムをあおり)移民排斥を求める極右票の取り込みを狙った」(野党・緑の党など)との指摘もあり、世論調査でも72%が「地方選を念頭にした論議」と見なした。
■これらの懸念は当を得ていたとも言えそうだ。国民論議の集会で、政府の家族問題担当長官は「フランスの若いイスラム教徒に望むのは職を見つけ、俗語を使わず、帽子を逆向きにかぶらないことだ」と発言した。「イスラム教との共存の可能性」を問う質問への回答だったが、これは「イスラム教徒への中傷であり、国民論議はイスラム(排除)が目的だ」(社会党など)と厳しい批判を招いた。また仏東北部での集会では、与党「国民運動連合」の地方幹部が「(移民は)何もせず金だけもらっている」「国民論議は必要であり(移民に)反撃する時だ」と述べた。一方、与党幹部は「仏国内のモスク(イスラム礼拝所)と、キリスト教聖堂の数が等しくなれば、この国はもうフランスではなくなる」と語ったと報じられた。「フランスのアイデンティティー確立」は、07年大統領選でのサルコジ大統領の公約で、大統領は国民論議を「フランスとは何かを知る崇高な運動」と強調している。だが当初、論議を支持した中立系のルモンド紙は、最近の社説で「論議は悪い方向に向かっている」と主張。社会党同様、論議の中止を求める立場に転換している。
(1月11日、毎日新聞)



★commented by cyberbloom

rankingbanner_03.gif
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!

FBN22.png
posted by cyberbloom at 21:33 | パリ 🌁 | Comment(0) | TrackBack(2) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

グラクソ・スミスクライン ワクチン グラクソスミスクライン
Excerpt: 海外社製ワクチンの大量輸入の意義 ... 承認されるのは英系「 グラクソ・スミスクライ ン 」とスイス系「 ノバルティ ス 」のワクチン計9900万回分。国産ワクチン5400万回分と合わせると全国民..
Weblog: ちょいヲタオヤジのニュース速報
Tracked: 2010-01-17 00:47

ワクチン打ちますか?
Excerpt: 季節性インフルエンザのワクチンを打つことにしました。 家族が新型インフルエンザの高熱で苦しんでいる姿を目にしたからです。 我が家では、新型については一段落したようですが、季節性は別物。 これから本格的..
Weblog: アンチエイジングのことなら 『いきいきナビ』
Tracked: 2010-01-17 12:42
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。