2006年02月16日

宮下志朗『パリ歴史探偵術』

事件が起こる。いつ? どんな? 僕たちには皆目わからない。しかし、確かに事件は起きた。場所はパリ。

ひとりの魅力的な女性の身に降りかかる、複雑で、歴史的な因果を持つ事件。『ダヴィンチ・コード』を遥かに凌ぐ謎がいくつも浮かびあがってくる。フィリップ・オーギュスト、ノストラダムスに始まり、アンリ・ルソー、モネ、ルノワール、ランボーにプルーストなどなど、多くの人物の名が挙げられていく。

この難事件を解決すべく呼びだされたのが、ホームズ=宮下である。「ワトソン君」の群れにすぎない僕たちには、ただの階段、ただの壁、臭いトイレや廃線の跡でしかないちょっとした手がかりから、ときには一冊の古いガイドブックから、ホームズ=宮下は事件の全貌を鮮やかに解きほぐしていく。そう、パリの街をあちこち歩きまわるこの名 (迷) 探偵は < 歴史 > という謎を僕たちに、明快に、そして楽しげに示してくれる。< パリ > とは幾世紀ものあいださまざまな事件に巻き込まれてきたひとりの麗しき女性の名であるとともに、記憶を喚起させるひとつのトポスに与えられた呼び名でもあったのだ。

ホームズ=宮下のみごとな「推理」をぜひ堪能してください。

Pst@書評
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パリ歴史探偵術
パリ歴史探偵術
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宮下 志朗
講談社 (2002/05)
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おすすめ度の平均: 5
5 パリ・リピーターのための好著
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posted by cyberbloom at 00:00 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評−フレンチ・ライフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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