2009年09月23日

ボノやゲイツなんて要らない!? アフリカ新世代によるアフリカ援助不要論

まずはこのニュースから。

最悪は仏伊、日米加は「合格」の報告書 対アフリカ資金援助で
■マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏と著名なミュージシャンらが支援する援助団体ONEは11日、主要国首脳会議(G8サミット)の加盟国によるサハラ砂漠以南の貧困国に対する資金援助活動の「評価」報告書を発表し、イタリアとフランスが約束を最も守っていない国と糾弾した。
■同団体には、ロックバンド「ブームタウン・ラッツ」のボーカリストのボブ・ゲルドフ氏やU2のボノ氏も協力している。資金援助額で約束を順守しない最悪の国はイタリアと主張、フランスは2005年レベルよりも劣ったとしている。
■半面、世界的な景気後退に襲われる中で、米国、日本、カナダは約束を守る金額を提供していると評価。今年のG8サミットはイタリアで開かれるが、ゲルドフ氏は「約束を守らない国が世界を指導出来るだろうか」との不信感を表明した。
■主要国首脳会議は英スコットランドで2005年に開いたサミットで、アフリカ向け援助額を2010年まで倍増の500億ドルにすることを約束している。ゲイツ氏は報告書の中で、アフリカ向け援助の大多数は衛生、教育や農業振興などに充てられるとして、10億ドルがワクチンに使われれば、50万人の命が助かるとも強調した。
(6月12日、CNN.co.jp)

Dead Aid: Why Aid is Not Working and How There is Another Way for Africaロックアーティストが慈善家になって久しい。それはエチオピアの飢餓に衝撃を受けたボブ・ゲルドフの呼びかけに応じて結成された1984年のバンド・エイド(Band Aid)にまでさかのぼる。80年代世代にとってゲルドフの歌う「哀愁のマンディ」(ブームタウン・ラッツ)やバンド・エイドの「Do they know it's Chrismas?」は忘れられない曲のひとつだが、当時はロックアーティストがアフリカのことまで気にかける必要があるのか、ロックもまたアフリカの搾取を始めたのか、などといろいろと思ったものだ。一方でグローバリゼーションの進行は私たちの日常的な消費生活がどのようなシステムにのっかっているのかを世界規模で可視化させてしまった。

根本的な問題はその著しい格差を生み出すシステムそのものにあるはずだ。しかし、ハリウッドスターやロックアーティストたちはそれと同じシステムにのっかってお金をもうけているのである。彼らはアフリカに儲けの一部を申し訳程度にキャッシュバックすることでシステムを温存しているように見えなくもない。そういうやり方は法外な利益を手にしている少数の金持ちたちの罪悪感を和らげるだけで、全くアフリカの役に立ってはいないと『デッド・エイド(=役に立たない援助)』(原題の Dead Aid は明らかに Band Aidに対するあてこすりである)の著者、ダンビサ・モヨ Dambisa Moyo は批判する。

ダンビサ・モヨはザンビア生まれの30代の女性。父は南アフリカ人の炭鉱労働者の息子で、学者であり反汚職運動家。母はインド・ザンビアン銀行の会長である。モヨはハーバードで修士号を、オクスフォードで博士号を取得し、8年間、ゴールドマン・サックスでグローバル・エコノミストとして活躍した。アフリカ大陸の中心的な問題についてアフリカ人の意見がほとんど聞かれることがない。そういうフラストレーションが、モヨにこの本を書かせたのだ。

これまでアフリカへの投資や資源開発競争は旧宗主国が監督してきた(フランスはその代表格だ)。そこに中国や新興国が参入するようになり、多くのアフリカ諸国の経済が依存しているコモディティ(一次産品)価格が上昇し、それが欧米の投資家の利益も増加させた。一方でアフリカには希望に満ちた新しい世代が誕生し、世界をまたにかけて活躍している。モヨもそのひとりだ。彼らはアフロポリタンと呼ばれ、中には外国資本と地元資本をつなぐ仲介役になるチャンスをつかんでいる。こうした活動はアフリカの国々にこれまでとは違う資金調達の選択肢を与えている。

従来の支援のような、施し同然の欧米の援助による非効率なやり方では何の成果も得られないとモヨは言う。援助活動は効果がないばかりか、アフリカの問題の大半を生み出している。民間投資を締め出し、汚職を蔓延させ、民族の対立に油を注ぎ、法治を不可能にしてしまうからだ。ボブ・ゲルドフはイタリアやフランスに援助が少ないと糾弾しているが、援助国側にしても大きな財政負担を強いられる。

アフリカにはすでに新しい貿易パートナーがいて、もう欧米に頭を下げる必要はないのだ。モヨは『デッド・エイド』の中で欧米の開発計画の60年にわたる失敗を容赦なく査定しながら、新しい選択肢に焦点を当てている。彼女の提唱するオルタナティブとは、世界の貿易構造をシフトさせるための機会と自由をとらえながら、マイクロファイナンスと財産権法の活用をブレンドするやり方だ。すでにアフリカには民間資本が次々と流入している。中国もアフリカのインフラ整備に投資し、国債を発行するアフリカの国も増えている。

さらにモヨは過激な処方箋を用意している。それはアフリカの援助依存国に対して5年以内に援助を打ち切ると援助国に通告させるというものだ。それを契機にして、援助依存国政府は商業ベースの資金調達の方法を模索し始め、ビジネスが繁栄する環境作りに着手するだろうと。

その場合、アフリカの貧困撲滅運動にいそしんでいるハリウッドスターやロックアーティストはどうなるのか。

いなくなるだけ、とモヨは言う。マイケル・ジャクソンが信用危機の解決策についてアドバイスを始めたら、イギリス人はいらだつでしょう?歌手のエイミー・ワインハウスが不動産危機を終わらせる方法について語ったりしたらアメリカ人は怒り出すでしょう?アフリカ人だってムカつくのは当然だと思わない?

つまり、アフリカの人々が専門家でもない人間に介入を受け、アドバイスされているということであり、彼女はそのことでボブ・ゲルドフやボノに対していらだち、ムカついている。彼らはモヨの発言に対してどう答えるだろうか。欧米メディアにとって「アフリカは手の施しようがない」という破滅的なシナリオを描く方が楽なのだ。それが援助のさらなる流入を正当化してしまう。もちろんモヨの批判は一面的で、欧米の援助がすべて無駄だったということは決してないだろうし、彼女のラディカリズムはアフリカに対する援助のうまく機能していた部分も壊しかねないだろう。しかし、それほどアフリカの援助依存は深刻な問題なのである。システム全体に手をいれなければならないのだ。

モヨはロンドンで快適な生活を送っているが、ザンビアの少女時代の夢はフライト・アテンダントになることだった。そのときは奨学金をもらっハーバードとオックスフォードに学び、天下のゴールドマン・サックスで働くなど夢にも思わなかった。それは両親のおかげだと言う。彼らはザンビアの首都ルサカの大学の一期生だった。そして1970年代に高等教育を受けるためにアフリカを離れたが、彼らは国の未来を築く力を身につけるとすぐに帰国した。もちろんアフリカの一部はあいかわらず混乱と衰退から抜け出せていないが、彼らの世代が確実に下地をならし、モヨのような人物の出現を待っていたのである。

次の元フランス代表のデサイーのニュースはモヨの考え方に通じるところがないだろうか。アフリカはあらゆる分野においてターニング・ポイントを迎えているが、そこには欧米の憐憫の視線に同一化しない、アフリカのためのオルタナティブを考えるアフリカ生まれのキーマンが確実に育っている。

「W杯の遺産をアフリカ全土へ」、元仏代表デサイー氏の想い
■翌年に行なわれるW杯の前哨戦として南アフリカでコンフェデレーションズカップが行なわれているなか、元フランス代表DFでユニセフ親善大使のマルセル・デサイー氏(40)が「南アフリカだけではなく、アフリカ全土がW杯の遺産を受け継いで欲しい」と想いを語った。現地時間19日、ロイター通信が報じている。
■ デサイー氏はガーナ生まれ。4歳のときにフランスへ移住した同選手は、のちにル・ブルー(フランス代表の愛称)の中心選手として活躍し、1998年W杯、EURO2000でのタイトル獲得に貢献した。代表キャップは116を数え、クラブレベルではマルセイユ(フランス)、ミラン(イタリア)、チェルシー(イングランド)など名門を渡り歩き、3年前に現役を退いた。
■輝かしいキャリアを誇るデサイー氏だが、ロイター通信に対し「アフリカサッカーの将来にとって鍵となるのは、ディディエ・ドログバやサミュエル・エトーのような、海外で成功し誰もが知っている選手ではない。アフリカ各国がトップクラスの若手選手を自国リーグで長くプレーさせ、そうすることでいかに自国リーグがレベルアップしていくかということだ」と、若い才能を国内に留めることが必要だと述べた。
■「最高峰の選手はヨーロッパに出て行くのが常であり、国内に残留させるのは難しい」と、その困難さを承知しているデサイー氏だが、「インフラが向上すれば、もう少し長く選手を残留させることが可能かもしれないし、これほど若いうちから外へ出て行くこともなくなるかもしれない」と、各国の社会基盤が整えば現状を変えられるかもしれないと期待をかける。
■そうした意味で、デサイー氏は今回のコンフェデレーションズカップと翌年のW杯が、アフリカ全土にとってターニングポイントだと考えているようだ。同氏は「我々は、アフリカサッカーにとって重要な時期を迎えている。逃してはならないチャンスだ。W杯の遺産によってアフリカの考えに変化が起こるかもしれない」とコメント。W杯によってアフリカ全土の意識が変わることを望んでいた。
(6月20日、ISM)

Lunch with the FT: Dambisa Moyo
By William Wallis
Published: January 30 2009





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posted by cyberbloom at 21:39 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | グローバリゼーションを考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2011-10-04 01:17