2009年09月18日

「JAPON―Japan×France manga collection」 日仏マンガ家の共演

davidmichaud01.jpg日本在住のフランス人カメラマン David Michaud 氏のブログが面白い。フランス語が読めなくても、写真を見ているだけで、フランス人が日本の何に注目し、どんな側面に興味を持っているのか、よくわかる。日本は観光国としても売り出したいようだが、日本人の見せたいものと、外国人が見たいものにはつねにズレがある。そういうズレをこのブログはうまく見せてくれている。今年フランスで彼の写真集も発売されたようだ。

□Le Japon par David Michaud http://www.lejapon.fr/blog/

授業の教材に『WASABI』を使っているが、学生の受けがすこぶる良い。その原因は出産と離婚を経て一皮向け(最近の女優さんはこれでハクをつける)、『おくりびと』でアカデミー賞女優になった広末涼子の再人気化にあるようだ。広末ってこんな映画に出てて、フランス語までしゃべってたの?と学生はびっくり。フランス語を話す広末に非常に親しみを覚えると同時にフランス語に対するモチベーションも上がるようだ。

確かに『WASABI』は忘れ去られつつある映画だが、これが撮られた21世紀に入ったばかりの2001年は今から見れば日本のドラスティックな変化の時期にあたっている。日本にケータイが爆発的に普及し始め、ハワード・ラインゴールドが「忠犬ハチ公前体験」と呼ぶ状況を生み出した(「フランス人も注目、日本のケータイ小説」参照)。また日本の若い女性のファッションに有名ブランドのデザイナーまでもが注目し始める(「エルメス」参照)。『WASABI』はフランス人監督による東京(後半部)を舞台にした映画だが、B級だからこそ日本に対するフランス人の欲望と幻想が紋切り型によってあからさまに表現されている。

関連エントリー「WASABI」

広末のフランス語は授業の教材として使うには少々問題があるのだが、それを逆手に取るように映画の中でジャン・レノに発音を矯正されるシーンがある。trou (穴)という単語を正確に発音するために、[r]と[u]の音を含む tigre (虎) と loup (狼)という単語で先に練習させている。これはフランス語の音に関するシーンなので日本語の字幕ではうまく伝わらない。

Wasabi-‘trou’ scene(from youtube)

2006年には「JAPON―Japan×France manga collection」というマンガ本も出ている。内と外の両側から見た日本を舞台にした16篇の物語で構成され、フランスの漫画家たちは実際に日本に滞在した体験をもとに現代の日本の姿を描き、一方で日本在住の作家たちはイメージ豊かに自分の国の姿をつむぎだしている。

日本チームは安野モヨコを筆頭に、松本大洋、花輪和一、谷口ジロー、高浜寛、五十嵐大介、沓澤龍一郎の面々。フランス・チームは、フレデリック・ボワレ、エティエンヌ・ダヴォドー、エマニュエル・ベギール、オレリア・オリタ、ジョアン・スファール、ダヴィッド・プリュドム、ニコラ・ド・クレシー、ファブリス・ノー、シュテイン&ペータース。

JAPON―Japan×France manga collection
安野 モヨコ
飛鳥新社
売り上げランキング: 114241
おすすめ度の平均: 4.5
5 素晴らしい企画の素晴らしい作品集
4 フランスの漫画





cyberbloom

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posted by cyberbloom at 08:04 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ+アニメ+BD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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