2009年07月14日

金沢21世紀美術館

ronmueck.jpg室生犀星や泉鏡花も暮らした金沢はしっとりとした情緒があり、落ち着いた雰囲気が素敵な街で、親戚がいることもあってこれまで何度か遊びに行きました。数年前に金沢21世紀美術館がオープンしてからは、ますますその魅力を増したように思います。今回も刺激的な展覧会「ロン・ミュエック展」が開かれているので見に行ってきました。


ロン・ミュエックは1958年オーストラリア生まれで現在はロンドンで活動するアーティストです。もともとテレビや映画用の模型やパペットを作っていた彼は90年代後半から人間の身体を扱った彫刻作品制作を始めました。


展示室に入って実際に見てみると、その驚くべきリアルな表現に目が釘付けに。静脈が透けて見える皮膚、髪の毛や体毛や爪ひとつひとつが、シリコンやファイバーグラスを用いて克明に再現された彫像たちは、今すぐにでも動き出しそうです。モデルになっているのは若さやエネルギーがあふれた青年や娘ではなく、くたびれて皮膚もたるんだ中年の男女や生まれたての赤ん坊であるのも特徴的で、彫刻のモデルになりそうもない人びとが、本物そっくりにほとんど一糸まとわぬ姿で人の目にさらされているわけですから、彼らのプライベートな部分を覗き見しているような困惑を感じました。


ronmueck5.jpg


人体の緻密な再現とは対照的に、彫像の大きさはいわゆる「等身大」のものはひとつもなく、5メートル近い赤ちゃんや普通の人の半分の大きさの男女のように、極端に大きかったり小さかったりします。また上半身と比べて下半身が小さいとか、頭部が妙に大きかったりとか、身体全体のバランスも意識的にゆがめてあるようです。その点で「これは本物の人間ではない」という感覚を与えられるためか、これだけリアルなわりには作品自体はそれほどグロテスクではありません。そういったリアルな部分と非リアルな部分が同時に感じられる彫像は、これまで見たことのないものばかりで、気持ちがよいとは決して言えないけれど、不思議な気分にさせられる展覧会でした。


pool.jpgこの美術館はガラス張りの円筒形の建物そのものも面白い施設で、夏休み期間ということもあってか、平日とはいえ大勢の人でにぎわっていました。レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」やジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」といった、直接そのなかに入り込める常設の作品はいつ見ても新鮮です。ミュエック展のほかにも見学者が参加できる日比野克彦のアート・プロジェクトや、地元のアーティストの作品展などが並行して催されていて、創設からまだ5年も経っていないうちにすでにこの由緒ある街の中に溶け込んでしまっているのだなあという印象を受けました。残念ながらミュエック展は今月末までですが、今後も新鮮な企画を楽しみにしています。

★この記事は200年8月31日にmain blogに掲載


妹島和世+西沢立衛/SANAA 金沢21世紀美術館

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posted by cyberbloom at 08:17 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館&美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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