2009年06月29日

週刊フランス情報 22 - 28 JUIN 後編 「未来の食卓」上映!

ハラキリする日本に警鐘を鳴らすドキュメンタリー「未来の食卓」会見
■南仏の小さな村を通じ、オーガニック食品と有機農業の必要性を訴えるドキュメンタリー「未来の食卓」。監督のジャン=ポール・ジョーが来日し、6月24日、東京・飯田橋の日仏学院にて記者会見を行った。



■映画は、村長と村民の熱心な取り組みで小学校の給食を全てオーガニック化することに成功したフランスのバルジャック村を通じ、食物汚染や環境汚染について考察するドキュメンタリー。
■九州の合鴨農法取材のため来日したジョー監督は、日本について「以前は“黒澤明の国”という印象しかなかったが、自然が美しく気候も温暖で、地球上で最も洗練された国の1つだと思う。合鴨農法は、生物多様性を守るために非常に有効な農法だ」と絶賛する一方で、「産業大国に共通することだけど、日本は地球の大切な遺産を壊し、まさに切腹しようとしている」と、ユニークな表現で日本の現状に警鐘を鳴らした。
■また、ギャル・マーケティングの先駆者で若手実業家の藤田志穂と民主党参議院議員のツルネン・マルテイが映画の応援に駆けつけた。秋田県で「シブヤ米」作りに取り組んでいる藤田は「難しい問題だけど、若い人たちが食について考えるキッカケになればといいと思う」と話し、有機農業推進議員連盟の事務局長を務めるマルテイも「今まで見た多くの有機農業に関する映画の中でも一番感動した。たくさんの人に見てもらいたい」と熱心に作品をPRした。
(6月25日、eiga.com)
★4月に合衆国のファースト・レディ、ミシェル夫人がホワイト・ハウスで有機菜園を始めたことが話題になっていた。今度は4月に菜園を作るのを手伝ってくれたバンクロフト小学校の子供たちをホワイトハウスに招待して、有機野菜を収穫し、それをみんなで試食したという。野菜の試食会は子供たちと健康的な食生活や栄養補給について語る楽しくて面白い方法だとミシェル夫人は考える。
★日本の小学校でも同じことを始めればいいと思うが、日本の食育の優先順位はすごく低いし(愛国心を言うならまず食育だろう)、何より日本の小学校の先生は忙しすぎる。食育はいくら言葉で説明してもだめで(話している本人が説得力のある食生活をしていなかったりするから)、野菜を実際に育て、収穫し、それを自分の手で料理して学ぶことだ。その過程が隠され、教育の対象から除外されているから、資本の論理、農薬や添加物が簡単に入り込んでしまう。食に関してもコンビニ的なものが日常を覆い尽くしている日本は確かにハラキリ状態だ。
★予告編で、フランスの農家の人が「農薬を使っているときは自分で作ったものは食べなかった」と言っている。日本でもJ○を通して出荷するときは一定量の農薬の使用を義務付けられるが、出荷用の米や野菜は作った農家本人は絶対食べないと良く聞く。フランス語でオーガニックは bio (ビオ)という。予告編で、Ça veut dire quoi, bio? と聞かれた子供が、Pas traité. と答えている。
□「未来の食卓」公式サイト http://www.uplink.co.jp/shokutaku/

仏議会がイスラム女性のブルカ禁止を検討、大統領も批判
■パリ(CNN) フランス議会は23日、超党派の委員会を設置し、イスラム教の女性が伝統的に身に着けているブルカの着用を同国内で認めるかどうか検討すると発表した。これに先立ちサルコジ大統領は22日の上下両院合同会議で演説し、ブルカについて「フランスでは歓迎しない」と言明している。
■サルコジ大統領は「ブルカの問題は宗教問題ではない。これは宗教シンボルではなく、従属の象徴であり、さげすみの象徴だ」と断言した。さらに「わが国で女性が塀の中に閉じ込められ、社会生活から切り離され、アイデンティティーを奪われるのは容認できない」と述べ、議会でこの問題についてさらに話し合うよう促した。
(6月23日、CNN.co.jp)

故ミッテラン氏のおいが文化相に、内閣改造で
■フランスのサルコジ大統領は23日、内閣改造を行い、ミッテラン元大統領のおいに当たるテレビ・プロデューサーのフレデリック・ミッテラン氏(61)を文化・通信相に起用した。また、欧州議会議員に転出したダチ法相の後任にアリヨマリ内相、同内相の後任にオルトフー労働・社会関係・家族・連帯相を横滑りさせた。 
(6月24日、時事通信)

石原東京都知事、会見でフランスの少子化対策に言及
2020年の日本人―人口減少時代をどう生きる■先週IOCのミーティングに参加して、日本を離れて、改めて、この国の将来と言いますか、先行きを考えたんですが、いろんな国が台頭したり、衰微したり日本がどういう軌跡をたどっているか、人によって評価も違うんですが、国力っていうのはいろんな意味合いがありますよね。私は人口というものはひとつの大きな要因だと思いますね。
■フランスはですね、かつて文化的な水準は高くても子供がいないということで、ある意味で危機感を持ってですね、私たちの少年時代には、フランスというのは子供がどんどん減っている国だというイメージがあったけれども、今じゃね、全然逆の現象で、日本はご存じのように少子化になった。老人はけっこう元気な人もいるけどね。そういう中で、やっぱり少子化対策について本気で考えにゃいかんなという感じがしみじみしました。地球温暖化対策はもとよりでありますけど、この少子化という日本の国運を左右しかねない問題に本気で取り組まないと、間に合わないんじゃないかという気がします。少子化はその個々人の価値観にかかわりますが、国家という単位で見たときに、非常に影響は大きいと思いますね。今後、日本は経済のパイが縮小し、年金や医療のインフラの維持が困難になって、伝統や文化までが失われていきかねない。
■とりわけ、あの子育て世代で大きな役割を占める団塊ジュニアの出生数が伸びないと、少子化がかなり加速するわけです。団塊ジュニアの世代っていうと、35から38、9までの人たちを言うらしいけど、これはやっぱり東京に圧倒的に多いんですな。今こそがですね、少子化の傾向というものを逆転させるギリギリのチャンスじゃないかといっても過言じゃないと思います。
(6月27日、産経新聞)
★会見の一部を抜粋。以前、石原都知事は「フランス人は数を数えれない」とおっしゃったが、フランスの少子化対策に関しては一目置いているようだ。いまさら気がついたのかって話だが、ギリギリのチャンスであることは確かだ。次の衆議院選の重要な争点のひとつになるだろう。
★今週のニュースで、預貯金や株、投資などの保有金融資産が「ゼロ」という20代は2割弱、25万円未満と合わせると4割に上る、という調査結果が報じられていた。「若者の貧困化」が進行し、毎日の生活もままならず、「預金どころではない」という実態が明らかになった。彼らは次の子育て世代だ。そんな状態で子供を作ろうなんて思うだろうか。若者の貧困問題と少子化対策は表裏一体なのだ。貯金がなくても手厚い子育て支援があればいいが、お金だけでなく地域のネットワーク構築とか、相当のきめ細かい支援が必要になるだろう。
★石原都知事のように、イケイケドンドンでやってきて、まさにJAPAN AS No.1を体現してきた世代から見ると、このような現実は理解しがたいことなのだろう。大国幻想にとらわれて、謙虚に今起こっていることを見つめれられないのだろう。世代間のアンフェアを解消しつつ、サステナブルな日本に作り変える必要があるときに、そういう幻想をひきずった世代は足を引っ張りかねないのだ。都知事にとっては、日本の国運とか日本の伝統文化の方が重要なのだろうが、個人の選択(子供を作るか作らないかは個人の選択の問題であって、国のためではない)がそういうものに結びついていけばそれにこしたことはない。
関連エントリー「フランスの出生率、2.02に上昇」
関連エントリー「2020年の日本人−年金制度はどうなるか」

日本の年金は現役時の34%、OECD加盟国ワースト2
■経済協力開発機構(OECD)は23日、加盟30か国の年金制度に関する報告書を発表した。その中で、日本については、現役時代の所得に対する公的年金の受給額の割合が加盟国の中で2番目に低いと指摘した。
■さらに、65歳を超える高齢化世代の貧困層の割合が22%と、OECDの平均(13.3%)を大きく上回り、高齢者と現役世代との間に大きなギャップがあることが示された。
■発表によると、現役時の所得に占める公的年金の受給額の割合は33.9%と、英国に次いで低かった。OECD諸国の平均は59%だった。
■これに対し厚生労働省は、日本は無職の人も含めた「皆年金制度」のため、一定水準以上の収入がある人々を加入対象とする国と比べて順位が低くなる傾向があると分析している。
(6月24日、読売新聞)

地域通貨「アトム」全国へ 9都道県商店街など、導入前向き
エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」■鉄腕アトムゆかりの東京・高田馬場の商店街で生まれた地域通貨「アトム通貨」が、全国で“流通”する兆しだ。「アトム通貨実行委員会」が24日、都内で開いた説明会に、9都道県から商店街や同業者組合などが参加した。大半が「地域活性化のてこにしたい」と導入に前向きだ。
■アトム通貨はマイバッグの持参や、町の清掃など「人や地域、環境にいいこと」をするともらえ、通貨単位は「馬力」。1馬力=1円に換算して、高田馬場と早稲田地区の9つの商店街約170店舗で使える。
■手塚治虫さんの漫画「鉄腕アトム」では、アトムが誕生した「科学省」の所在地が高田馬場とあることから、早稲田大、手塚プロダクションなども参加して実行委員会をつくり、2004年から運営している。
■今年5月には埼玉県川口市の商店街が導入。各地から問い合わせがあるため、説明会を開くことになった。参加した札幌市と熊本市の商店街関係者は「共通の通貨で、他地域との連携もできる」などと発言。一部団体は、早ければ8月にも導入に踏み切りたいという。
地域通貨って何?

サッカー・松井大輔がグルノーブル移籍
■フランス1部リーグ、グルノーブルに移籍が決まり、ユニホーム姿を披露する松井大輔。今季サンテティエンヌに移籍したが、出場機会に恵まれず、移籍を検討していた(26日午後、東京都内)
(6月26日、時事通信)
中村俊輔がセルティックに残した足跡 、背番号25が輝いた4年間の日々
nakamura beautiful freekick(celtic vs man utd)





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posted by cyberbloom at 11:36 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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