2009年05月08日

『宇宙エレベーター』

夏にinSEA(国際美術教育学会)が大阪で開催され、卒論のネタ探しに潜入(?)してきました。その中での一講演だったのですが、なぜか美術及び美術教育関係者の話より、専門外のセルカン氏(科学者)の話が圧倒的に面白かったです。
 
宇宙エレベーターインフラに依存しない(インフラフリー)住宅の話をききました。ゴミからエネルギーを作るので、ゴミはでない。町はサバイバルの基本で、平時には町があるけど、災害時にはインフラフリーの住宅が必要になるかも。そこでロボットが自分の感覚を使って歩く、この技術を応用して住居に適用するとエネルギーがいらないとか!?(専門知識がないので、正確にお伝えできてないと思いますが…)

そんなものをアートの人と作ったらきっと面白い、と言ってたかと記憶しています。技術者が作ると変な形になると。余談で、「ロボット」というと、トルコでは「殺戮マシン」のイメージで、とても「asimo」のようなものは思い浮かべられないとか。「asimo」はまさにアート的だとも。

ちなみに世界(進化の段階?)を、level 0「Industrial Evolution(revolution?)」→level 1 「Energy(エネルギー)」→level 2 「Light(光)」→level 3「 Dimension(次元)」→ level 4「Final Integration(?場の統一理論のこと?)」とすると、現在は Energyの時代にいるそうです。人間が使えるのはまだまだここまでなんですね。

で、こんな感じで面白かったので「宇宙エレベーター」を読んでみました。すごく難しい物理の内容が書かれてるはずなんですが、とても読みやすいです。「次元」の話は、3次元の人間の限界で理解に苦しむところもありますが、世界はあやふやなものかもしれないと思いました。

物理の世界は理解できないけど、「極小=極大」が矛盾しないというか、宗教的ですが「無」の境地とかそんなとこに行き着くような気がして、何だか楽しそうです。理系知識云々というより「誰かが作った決まり事に拘らず、自分の頭でもっと自由に考えてみよう」っていう思いを感じました。

タイムマシン著者の少年時代のエピソードで、学校でボヤ騒ぎを起こして退学になり、一緒に退学になった仲間とタイムマシンを作った、というものがありました。これは同じくセルカン氏の本「タイムマシン」の元ネタなのでしょう。

退学で世界に散り散りになった少年達が集結し、タイムマシンを作る話です。少年たちだけの物語かと思いきや、その少年たちの父親達もカッコ良いのです。

主人公のお父さん(著者のお父さん)が、退学時に校長に向かって言った言葉が男前すぎます。「ウチの息子の悪口を言っていいのは僕だけだ。二度と言うな!!」作中、いろんなお父さんが出てきますが、こんな親子の信頼関係って良いな。現在の少年、かつての少年。未来の父親、現在の父親。同じ場所にさまざまな時間を持った存在があって、同じ夢を見ている。そんな場所そのものがタイムマシンなのかも。

こういう少年たちのストーリーって、女の子にはなんとなくのけ者感がありますが、主人公の母親が「良い仕事」してますので、ラストは痛快です(ネタバレになるので訳がわかんないでしょうが)。この本もとっても読みやすいので、子ども(中学生くらい?)でも楽しめるとおもいます。

□ア二リール・セルカン氏は東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助手、エール大学客員教授。ドイツ生まれのトルコ国籍の人で、2001年NASAジョンソンスペースセンター宇宙構造・材料系客員研究員として宇宙飛行士プログラムを終了、2004年、トルコ人で初の宇宙飛行士候補に選ばれま した。

□セルカン氏のブログ:http://blog.anilir.net/




tk

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posted by cyberbloom at 08:18 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評−その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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