2008年10月12日

週刊フランス情報 6 - 12 OCTOBRE 受験は教育汚染

「受験は教育汚染」、ノーベル賞2氏が日本の教育に提言
■今年のノーベル物理学賞に選ばれた小林誠さんと益川敏英さんは10日午前、塩谷文部科学相と野田科学技術担当相を相次いで表敬訪問。このあと東京都内で初の共同会見に臨んだ。
■塩谷文科相に対し、益川さんは「本来みんなが持っている好奇心が選択式テストの受験体制ですさんでいる。『教育汚染』だ」「今の親は教育熱心でなく、『教育結果熱心』」などと持論を直言。塩谷文科相は「これからどんどんご指導いただきたい」と述べた。
(10月10日、asahi.com)
■席上、益川さんは、「試験制度が大学の先生を忙しくしている。その結果、マークシート方式に頼るが、生徒に考えさせないやり方は教育汚染だ」と持論を展開したという。
■小林さんも、「大学の評価は難しいが、客観性を重んじるなどという形式的なやり方では、一面しかとらえられない」と、現在の研究者の環境に疑問をぶつけた。また、益川さんは文科相に「人間は本来好奇心がいっぱい。それに応える教育システムを考えてほしい」と注文をつけた。
(10月10日、産経新聞)
★少なくとも受賞者の方々には「自分は日本の教育の産物ではない」という強い自覚があるのでしょう。

市場は恐怖感とパニックが支配
■歴史的な暴落を記録した東京、ロンドン、ニューヨークなど主要取引所のトレーダーやディーラーは10日、この1週間の取引を振り返り、市場の大混乱で参加者の心理が不合理な恐怖感で圧倒されたとの感想を漏らしている。
■ディーラーらはこの日、各取引所の指数が開始から次々に下落していく様子をぼう然と眺めるだけだった。日経平均株価(225種)は前週、50年の歴史の中で最悪となる前週末比24.33%の下落を記録した。米ダウ工業株30種平均は8営業日連続で下落、ロンドン証券取引所も1987年のブラックマンデー以来の下落となった。米政府による7000億ドル(約70兆円)規模の金融安定化法の成立、英政府の5000億ポンド(約86兆円)規模の緊急対策発表、あるいは主要7か国による協調利下げも、市場の逆流を止めることができなかった。恐怖感が投資家心理を支配している。
■今後の見通しとして、緊急の主要国首脳会合が開催され、新たな対策が打ち出されるのではとの観測が浮上している。一方、金融市場の現状を「パーフェクト・ストーム」と表現する英セブン・インベストメント・マネジメントのアナリスト、ジャスティン・アークハートスチュアート氏は、前週までに各国政府が打ち出した政策について「あれ以外に打つ手はない」と語り、一連の対策が市場の危機と信用危機を和らげることを期待するしかないと語る。
■大多数のトレーダーやディーラーは市場の危機は信用収縮が回復するまで続くと話しているが、英CMCマーケットのトレーダー、マット・バックランド氏は、各国中央銀行の取り組みににもかかわらず、信用収縮が回復する兆しは見えないと述べた。
(10月11日 、AFP)

「サムライの復讐」始まる=日本の復活、欧米に希望
■欧米で金融危機が広がる中、日本企業が米金融機関などの買収・投資に乗り出していることについて、6日付仏紙ルモンドは「サムライの復讐(ふくしゅう)」と題する論文を掲載し、「日本は失われた10年から復活した。巨大なバブル崩壊からも立ち直ることができる証しであり、欧米にも希望を抱かせる」と論じた。
■同紙は「世界でほぼ唯一『サブプライムの毒』を味わわなかったのが日本の銀行だ」と評価。背景には日本が1990年代のバブル崩壊のトラウマ(精神的外傷)を克服できず、リスクの高い投資を慎んだことがあると解説した。
■さらに、最近は中国の経済的奇跡ばかりがもてはやされ、日本は目立たないが、「日本のロボット工学は世界一。研究開発関連予算は国内総生産(GDP)3.3%にも上る」と指摘。「日本の復活を誰も気にしていないが、侮ってはならない」としている。
(10月7日、時事通信)
Main Blogで「サムライの復讐」の全訳を掲載!

2008年ノーベル文学賞、仏のル・クレジオ氏に
海を見たことがなかった少年―モンドほか少年たちの物語 (集英社文庫)■スウェーデン・アカデミーは9日、2008年のノーベル文学賞をフランスの作家ジャン・マリ・ギュスターヴ・ ル・クレジオ(Jean-Marie Gustave Le Clezio )氏(68)に授与すると発表した。ル・クレジオ氏の授賞理由について同アカデミーは、「新しい出発、詩的冒険、官能的エクスタシーの作家であり、支配された文明社会やそれを超えた人間性の探求者」とたたえた。
■ル・クレジオ氏はスウェーデンの公共ラジオ放送を通じて「心が揺さぶられ、非常に感動している。(授賞は)大きな名誉だ。アカデミーに心から感謝する」と、授賞の喜びを語った。ル・クレジオ氏には賞状とメダルのほか、賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億4300万円)が授与される。
(10月9日、AFP)
★フランスのニュースによると、スウェーデンのアカデミーは今年の文学賞の受賞者の名前が事前に漏れていたと疑っているようだ。ル・クレジオの受賞に賭けていた人が多かったからである(そんな賭けがあるのか)。イギリスのギャンブル会社、ラドブロークスでは発表の前にル・クレジオの受賞に多くの人が賭けていた。アカデミーの幹事、ホーラス・エングダールは先週末、パリにいたこと、そしてスウェーデンに戻る飛行機を待っているあいだ、そのフランス人の小説家の本を読んでいたことを認めている。しかし、賭けの材料を提供したのは自分ではないと断言している。なぜなら本にカバーをかけてカモフラージュしていたから。

「ミック・ジャガーは若者の代弁者ではなく資本主義者」
Beggars Banquet■「スウィンギング・ロンドン(踊るロンドン)」と呼ばれた1960年代の英国ポップカルチャーを代表するジョン・レノン(John Lennon)やミック・ジャガー(Mick Jagger)は、変化を求める若者の代弁者などではなく、利口な資本主義者だった――。ケンブリッジ大学で英国現代史を教え、「Youth Culture In Modern Britain, c.1920-c.1970.(現代英国の若者文化 1920-1970)」の著者でもあるデービッド・フォーラー氏が9日、こんな研究結果を発表した。
(10月10日、AFP)
□関連エントリー「悪魔を憐れむ歌-ゴダールとローリング・ストーンズ」
★「何を今更」っていう研究成果だが、私はそうは思わない。ミック・ジャガーもジョン・レノンも、「変化を求める若者の代弁者と利口な資本主義者の両方」だったのだ。彼らがやったことは、反商業主義の精神を商品に変えることだった。彼らは多くの若者を動員し、音楽が世界を変える力があることを示したが、ロックはもはやサブカルのひとつではなく、巨大な産業になりうることを決定的に証明した。どちらかという議論ではなく、この両義性を考えるべきなのだ。
★同じように、世界中に飛び火した五月革命(1968年)の異議申し立ては高圧的な暴力によって押さえつけられたわけではない。国家と資本の連合体は、それを支配と権力の言葉で翻訳し直し、自らの言語として導入することで積極的に受け入れた。

【動画】長谷川京子主演、河P直美監督新作『七夜待』予告編
■カンヌ国際映画祭のグランプリ受賞後、河P直美監督が長谷川京子を主演に迎え、タイで撮影した最新作『七夜待(ななよまち)』が11月に公開される。河瀬が一貫して作品の舞台としてきた奈良を離れ、初めて自身以外の脚本家を起用し多国籍チームで臨んだ意欲作だ。
■彩子(長谷川京子)、30歳。人生をリセットしようとタイに降り立つが、タクシーで身の危険を感じ森の中へと逃げ込むことに。そこでグレッグというフランス人に出会い、アマリとトイというタイ人の母子が暮らす家へ案内される。
■言葉の通じないもどかしさに苛立つ彩子をアマリは優しく受け止め、タイ古式マッサージを教えながら、心と体の滞りを流していく。濃密な自然に包まれて、見知らぬ人々と過ごす七つの夜。そして出会った美しい僧侶。少しずつ周囲との調和を取り戻した彼女は、新しい自分を見つけ出すのだった。
■日本、タイ、フランスからキャストとスタッフが集まった現場では、脚本さながらに意思疎通の難しい場面もあったという。だが河瀬監督は、その空気感さえも糧にして、フィクションとドキュメンタリーの間を行き来するような秀作を生み出した。感情を爆発させたリアルな表情で、女優としての新境地を開いた長谷川の演技にも注目だ。
(10月10日、MODE PRESS)




★commented by cyberbloom

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posted by cyberbloom at 22:14 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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