2008年09月20日

週刊フランス情報 15 - 21 SEPTEMBRE リーマン破綻、AIGは政府管理下に

米リーマン・ブラザーズ、米連邦破産法11条を申請
■経営難に陥っていた米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)は15日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。同社広報担当者が明らかにした。
【9月15日 AFP】
FRB、AIGに9兆円融資
■米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、資金繰りが悪化している米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対し、AIGの株式約80%を担保に850億ドル(約9兆円)の前例のない巨額のつなぎ融資に応じると発表した。
【9月17日 AFP】
ロシア株式市場、急落で取引停止
■17日のロシア株式市場は、大幅に続落し(前日比6.39%下落)、前日に引き続き取引が停止されている。一方、露当局は、金融市場の混乱を防ぐために440億ドル(約4兆6000億円)を市場に供給する意向を発表した。
【9月18日 AFP】
英ロイズ、HBOS買収合意を発表
■英銀行大手ロイズTSB(Lloyds TSB)は18日、経営が悪化した英金融大手HBOSを122億ポンド(約2兆4000億円)で買収することで合意したと発表した。
【9月18日 AFP】
FRB政策金利据え置きでドル全面高
■16日の外国為替市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が市場予想に反し政策金利を据え置いたことからドルは全面高となった。
【9月17日 AFP】

★まさかのリーマンの破綻。一方、日本のテレビCMでもおなじみの保険会社を傘下に持つAIGはアメリカ政府の管理下に置かれた。AIGまで破綻していたら、恐ろしいことになっていただろう。それでも十分に波乱に満ちた1週間だった。普段起こらないことが次々と起こり、各国政府はなりふり構わない対策を打ってきた。出てくる数字もいつもとは桁が違う。買収や吸収合併など、金融界の再編も加速度的に進行している。AIGはつなぎ融資で資金繰りをつけ、時間をかけて資産を売却し融資を返済するということで、再建というよりは、コントロールされた破綻ということなのだろう。

★ありえないこと、その1:米証券取引委員会(SEC)は17日、すべての上場銘柄に空売り規制をかけた。空売りは株価の下落をヘッジするために普通に行われる投資法だが(株を借りて売り、株価が下がったところで買い戻して利益を得る)、パニックな局面に付け込み、株価操縦を試みる投資家も多い。イギリスの金融監督当局である金融サービス機構(FSA)も18日、「空売り」を19日から禁止すると発表。

★ありえないこと、その2:NYダウはとうとう11000ドルを割り込み、日経平均は今年3月の安値を下回った。上海総合は1800まで下落(ピークは6124)。ロシアでは株価のあまりの暴落に取引停止の事態に。それに対して、ロシア政府は公的資金による5000億ルーブル(約2兆500億円)規模の株式買い支え策を発表した。中国政府も株式購入にかかる印紙税の免除や、政府系投資会社による国有銀行株の買い増しなど一連の相場テコ入れ策を発表。

★ありえないこと、その3:なりふり構わないアメリカ政府の対策を受けて、18日のNY市場を皮切りに世界市場が大反転。こんな怒涛の上げは見たことがない。NYダウは2日間で、410+368ドル上げ、あっという間に11000ドル台を回復。イギリスのFT100は昨晩、過去最高を記録する8.8%上げを演じたが、フランスのCAC40はそれを上回る9.3%の上げ。全銘柄ストップ高って感じだ。日経平均は昨日、431円上げたが、今朝のシカゴの日経平均先物を見たら、何と12475円をつけている。月曜に仮にそのままさや寄せするとすれば、底値11301円から3日で1174円上げることになる。

★ダメ押しは、19日に出されたブッシュ大統領の緊急声明。「政府が銀行やその他金融機関から不良資産を買い取れるようにする立法措置が緊急に必要だ」と述べ、公的資金投入による解決策を議会に提案したことを正式発表した。別途記者会見したポールソン財務長官によれば「数千億ドル(数十兆円)」規模だとのこと。一方で、FRBはFF金利の据え置き(2.0%)をすでに決めているが、さらなる利下げは次の切り札に残されたことになる。次の手はヨーロッパとも連携した協調利下げあたりか。

★日本でも公的資金を注入する場合は、責任の所在を明確にとよく言われたものだが、今回の件ではどうなっているのだろうか。サブプライム問題の第1波の流れで、サブプライムローンの大量焦げ付きに伴う巨額評価損が露見した。そして、シティグループのプリンス前会長兼CEOとメリルリンチ(結局バンカメに吸収合併)のオニール前会長兼CEOが引責辞任したが、その際に2人が受け取った退職金は計2億ドル(約220億円相当)と言われる。明らかな経営の失敗にもかかわらずだ。

★それ見ろと、「アメリカ経済の終焉」とか言っている日本の評論家も多いが、できることは何でもやるという徹底ぶりとスピーディーな対処の仕方を見ていると、そう簡単にはアメリカは潰れないように思える。確かにダメージは大きいが、近い将来に息を吹き返すだろう。むしろ、年金問題や巨額の借金をはじめ、いろんな問題を先送りしている自分の国のことを心配すべきだ。




★commented by cyberbloom

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posted by cyberbloom at 14:33 | パリ | Comment(1) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このたびの株価急落に関して、政治・政策の観点からのレポートを書きましたので、興味がありましたら当方のBlogの、最新2つの記事をご一読ください。

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よろしくお願いいたします。
Posted by harepanda at 2008年10月15日 14:39
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