2008年09月06日

週刊フランス情報 1 - 7 SEPTEMBRE 前編

「生活と芸術−アーツ&クラフツ展」京都国立近代美術館
morris01.jpg■「アーツ&クラフツ」はウイリアム・モリスが19世紀後半にイギリスで始めたデザイン運動。ヴィクトリア朝のイギリスでは産業革命の成果により工場で大量生産された商品があふれるようになった。一方で、かつての職人は単なるプロレタリアートになり、労働の喜びや手仕事の美しさも忘れられてしまった。モリスは中世に憧れて(彼が親交のあったラファエル前派は、ラファエロ以前の芸術、すなわち中世や初期ルネサンスの芸術を範とした)、モリス商会を設立し、インテリア製品や美しい書籍を作り出した。彼の植物の模様の壁紙やステンドグラスは有名である。生活と芸術を一致させようとするモリスのデザイン思想とその実践(アーツ・アンド・クラフツ運動)は各国に大きな影響を与え、20世紀のモダンデザインの源流にもなったといわれる。本展では各地で作られた家具、テーブルウェア、ファブリックなど約280点を紹介している。
■ウィリアム・モリスはエドワード・バーン=ジョーンズやラファエル前派のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティとの親交でも知られ、モリスはラファエル前派の画家たちのモデルをしていたジェーン・バーデンと結婚している。また、プロレタリアートを解放し、生活を芸術化するために、根本的に社会を変えることが不可欠だと考えたモリスはマルクス主義の信奉者でもあった。
□「アーツ&クラフツ展」 京都国立近代美術館 9月13日‐11月9日
□参考図書「ウィリアム・モリス―ラディカル・デザインの思想」 (中公文庫)
□関連エントリー「RE-DESGIN

京都国立博物館で蒔絵展−海外所蔵含む280点を展示
■京都国立博物館(京都市東山区茶屋町、TEL 075-525-2473)で10月18日から、特別展覧会「japan蒔絵(まきえ)−宮殿を飾る 東洋の燦(きら)めき」が開催される。蒔絵は漆と金粉を使って文様を表す技法で、日本で独自に発展した芸術。フランス王妃マリー・アントワネットや、ドイツのアウグスト強王らヨーロッパの王侯貴族を魅了し、宮殿を飾ったという。
■同展では、日本国内で所蔵される国宝や重要文化財をはじめ、フランスのヴェルサイユ宮殿美術館が所蔵するアントワネットのコレクションやイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館、ドイツのピルニッツ宮殿、スウェーデン王室などに残された貴重なコレクション約280点を展示する。
(9月4日、烏丸経済新聞)
□関連エントリー「黄金の国、ジパング

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KIRAZのイラスト&動画
★以前、紹介した Kiraz の「Les Parisiennes 展」。パリのカルナヴァレ美術館で9月21日までやっている。
KIRAZ - LES PARISIENNES(youtube)

新旧の仏映画 36作を一挙上映 京都駅ビルに1カ月限定映画館
■新旧フランス映画36作を一挙上映する1カ月限定の映画館「駅ビルシネマ」が1日、京都市下京区の京都駅ビルにお目見えした。初日は、ジャン・ギャバン主演の名画「望郷」や「アメリ」など4作が上映され、映画ファンでにぎわった。京都市とパリ市の姉妹都市盟約締結50年を記念し、京都駅ビル開発が7階東広場に映画館(100席)を特設した。アラン・ドロンさん主演の「太陽がいっぱい」など1960年代の名作から、今年公開の最新作「水の中のつぼみ」までを、28日まで1作につき2回−7回上映する。料金は1作1000円。
(9月1日、京都新聞)
□上映スケジュールの問い合わせ
京都駅ビルTel:075(361)4401
http://www.kyoto-station-building.co.jp/
★なかなか素晴らしいラインナップです。こんな映画を一挙に上映するなんて、フランス映画に親しむ良い機会ではないでしょうか。FBNでも紹介した「ぼくの伯父さんの休暇」などの古典的な作品から、比較的新しい「アメリ」「8人の女たち」「水の中のつぼみ」まで。

気候変動で、フレンチの定番が消える!? 
■「半分が売り物にならないなんて、いったいなんのために働いているのか…」 そう嘆(なげ)くのは、フランスのロワール・アトランティック県で魚市場を営む女性だ。ここはフランス有数の牡蠣(かき)の産地として知られるが、この7月、収獲された牡蠣の半分が死んでいるのが見つかった。原因は明らかではないが、冬に集中豪雨が発生するなど異常気象がその一因と考えられている。
■世界三大珍味のひとつ、トリュフも気候変動の影響により品薄が予想される食材だ。年間収穫量は40tと予測されたのに対し、実際に収穫されたのは20t。トリュフは本来、9か月かけ生長するものだが、25日間雨が降らないと、生長が止まってしまうのだという。現在の価格は1kgあたり700〜900ユーロ(約12万〜15万円)。この数字は、5年前の2倍に当たる。
■ブルゴーニュ地方の名物、エスカルゴも、東欧などでの働き手不足から(フランスのエスカルゴの99%が輸入)、フランス国内で手に入れるのが難しくなった。高級食材の不足で、伝統的なフランス料理も変わらざるを得ない? 
(9月2日、COURRiER Japon + hitomedia)

農業システム 生産者と消費者、顔の見える関係に
■近年、欧米でCSAという農業システムが広がっている。「Community Supported Agriculture」の頭文字で「地域に支えられた農業」の意。主に有機農業を行っている農場が、その生産物を地域の消費者に直接供給する仕組みのことを指す。
■生産者は消費者と相談したうえで、生産する野菜の種類や量を決め、消費者は野菜を作るために必要なタネや肥料などのお金を会費としてあらかじめ支払う。天候不順などでうまく野菜ができないこともあるが、消費者はこうしたことも理解したうえで、農家を支えるという態勢なのだ。海外のCSAに詳しい橋本慎司さんによると、米国で約2000カ所、フランスで約1000カ所のCSA農場があるほか、カナダ、ドイツ、イギリス、ブラジル、インドなど世界各国に広がっている。
■橋本さんは兵庫県市島町で有機農業を営み、会員となった地域の人たちに野菜を届けている。有機農業にこだわるのは、できた野菜が安全でおいしいということだけでなく、水や空気など環境保全に効果が高く、地域の環境を守る意味があるからだ。「手間がかかる有機農業を続けるには、今の日本の流通の仕組みでは難しい。会員に支えられていることで、安心して有機農業が続けられる」と橋本さん。
■CSAの仕組みはもともと、日本有機農業研究会(東京・本郷)が昭和48年に始めた生産者と消費者を結ぶ「産消提携運動(提携)」がモデルといわれる。同研究会事務局の上杉幸康さんは「欧米で多くの人に受け入れられている『提携』の考えだが、本家ともいえる日本ではなかなか広まらない」と残念がる。
■有機農業を進める活動として始まった「提携」は、単なる商品の産地直送や売り買いでなく、人と人との友好的なつながりを築くことに重点を置く。消費者は「誰が作っているのか」を、生産者は「誰が食べるのか」を知っており、顔の見える関係であることが、安全でおいしい食の確保に欠かせないという考えだ。
■ただ、食べたいものをいつでも、好きなだけ食べてきた現代人にとって、夏はトマトやキュウリ、冬は大根やゴボウなど、季節ごとに収穫されるものだけを食べ続けるのは、相応の努力がいることでもある。上杉さんは「『提携』で農業を支えるには、食べる人の努力もいる」と強調。そして「旬の物を調理を工夫して食べるのは、実はとてもぜいたくな食べ方。食の安全だけでなく、地域の環境を守るためにも、有機農業のよさを広く伝えたい」と話す。
(9月5日、産経新聞)

仏プログレ、マグマの79年ライヴ音源集『Bourges 1979』が正規リリース
Live■まもなく活動40周年を迎えるフランスのプログレッシヴ・ロック・バンド、マグマ(Magma)。1979年にフランスで行なわれた「春のブルージュ」祭典出演時の音源が、ついに正規盤としてリリース決定! 未発表発掘音源レーベル“AKT”からの第7弾作品となる『ブルージュ1979(Bourges 1979)』が発売されます。
■本作に収録されるのは、フランス・ブルージュで行なわれているフェスティヴァル“Printemps de Bourges”での1979年4月17日のライヴ・パフォーマンス。CD2枚組でのリリースで、「最後の7分間(THE LAST SEVEN MINUTES)」「呪われし地球人たちへ(MEKANIK DESTRUKTIW KOMMANDOH)」などが収録されています。リリースは日本盤(SJAK-15 税込3,675円/直輸入盤/日本語帯・解説付)が9月26日に、ヨーロッパ盤が9月29日にそれぞれ予定。マニアならば押さえておきたい作品ですので、アナタもぜひ!
★写真は別のライブアルバム。これも欠かせない1枚。
DE FUTURA ‐ MAGMA
★これが時代的にいちばん近いライブ映像か。1977年のもの。Youtubeにレア映像がたくさんアップされています。初めて見る人には怪しげな新興宗教の集会にしか見えないでしょうね。最近は完全にオヤジバンドです。
(9月5日、CDジャーナル)

特集:レア・ヴィンテージ、動画で解説
■シャンパン・ハウス「パイパー・エドシック(Piper Heidsieck)」から、223年の歴史を誇るメゾンとしての威信をかけた「レア・ヴィンテージ」が発売される。類い希なる自然条件と人智によって生み出された「レア・ヴィンテージ」の魅力を動画で紹介する。
(9月2日、MODE PRESS)





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posted by cyberbloom at 10:29 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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