2008年08月05日

「千と千尋の神隠し」宮崎駿インタビュー(1)

千と千尋の神隠し (通常版)今回紹介する宮崎駿のインタビューは、「千と千尋の神隠し」が2001年7月に公開された直後に、フランスの映画雑誌「POSITIF」(2002年4月号)に掲載されたものである。現在、「ハウルの動く城」に続く「崖の上のポニョ」が公開中で、おまけに息子の宮崎吾朗までが「ゲド戦記」で映画デビュー済である。確かに「千と千尋の神隠し」は忘れ去られた感じもする。

それでも「千と千尋」は重要な作品だ。日本では破格の2300万人を動員し、日本国内の映画興行成績における歴代トップの記録を打ち立てた。最初にテレビで放映されたときは、紅白並みの視聴率(46.9%)をたたき出した。フランスでも100万人の観客が見たが、この手の映画にしてはかなりの動員数だ。

宮崎駿の他の作品は、最初から現代日本とかけ離れた世界に設定されているのに対して、「千と千尋」の始まりは現代日本である。どこにでもいる等身大の日本の少女が突然、超常世界に迷い込む。その世界も実は現代社会の直接的な反映になっている。観客は現代人として自分が置かれた立場と、具体的な問題の中で作品を考えることができる。そういう意味で宮崎アニメの中でも特異な作品と言える。

「千と千尋」はアメリカで公開される際に、マーケティング・リサーチのために各地で試写会が行われた。アメリカで映画が大きく外れることがないのは、試写会による徹底的なリサーチのおかげだ(観客の反応によってはストーリーは平気で変更される)。リサーチの結果、「千と千尋」は、「都市部の大学生」にもっとも評価されたようだ。

一時、このインタビューと「千と千尋」のフランス語版を教材に使っていたことがある。「千と千尋」のDVDにはフランス語の音声と字幕が入っている。英語の音声がないのに、フランス語があるのだ。宮崎アニメはだいたいそうなっているが、英語圏よりもフランス語圏の方が重要なマーケットということなのだろうか。

学生の文学離れが著しい昨今であるが、インタビューの発言に込められた宮崎駿のメッセージを含め、作品の解説していたときショッキングだったのは、「そんなふうに映画をみたことがない」と言われたことだ。確かに、宮崎アニメには美しく幻想的なイメージだけでなく、独特の浮遊感や速度があって、それに乗っかるだけでも気持ちがいい。難解な批評ツールを使って作品分析するのは、アナクロニックな文学オヤジの自己満足にすぎないのだろうか。

しかし、宮崎駿本人がフランスの雑誌に語ったことを噛みしめた上で、この夏休みにもう一度「千と千尋」に接してみるのも悪くないだろう。フランス人相手だからか、けっこう好き放題言っている。

(続く:今回は前書きで終わってしまった。つっこみをいれながらのインタビューの紹介は次回。続きはこちら。)

「千と千尋の神隠し」宮崎駿インタビュー(2)
「千と千尋の神隠し」宮崎駿インタビュー(3)
□関連エントリー(「宮崎吾朗インタビュー

□CUTの最新2013年9月号号で『風立ちぬ』3万字徹底インタビュー

Cut (カット) 2013年 09月号 [雑誌]Cut (カット) 2008年 09月号 [雑誌]Cut (カット) 2009年 12月号 [雑誌]


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posted by cyberbloom at 22:54 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 宮崎駿 Studio Ghibli | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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