2008年08月02日

プリンセス気取りはまだ早い−子役・ティーン女優をめぐるファッション事情

princess01.jpg女優達がきらびやかなドレスを競うレッドカーペット。ポーズを取る姿は世界中に配信され、その着こなしを吟味するファッションチェックのページは日本のファッション誌でもすっかりおなじみとなりましたが、この「儀式」はファッション業界にとっても絶好のパブリシティの機会。ハリウッド女優たちは、ブランドを世界に知らしめる最高の媒体なのです。
 
しかし、レッドカーペットを歩けるきらびやかなハリウッドの住人の数にも限りがあります。それならば、とにわかに業界が熱い視線を注いでいるのが、ブロックバスター映画に出演するティーン女優や子役達。作品によっては、主役級のスターとしてプレミア試写や映画祭でプレスのフラッシュを浴び、演技が評価されれば賞レースにだって参加できる。しかも、オトナの女優と違って、文句も言わない、すれてない。ファッションにいたっては、スタイルすらないまっさらな状態。まさに格好のターゲット、とばかりに有名デザイナーや一流ブランドが年若いハリウッド人種に群がり飾り立てようとやっきになっている現状について、アメリカのファッション誌「W」は眉をヒソメテいます(2007年11月号)。
 
例えば、かのシャネル。ハリーポッターの一連の映画に出演し一躍キッズの心をつかんだエマ・ワトソンや、エマ・ロバーツ(ジュリアの姪)、ティーンエイジャーだったころのカミーラ・ベルに、いち早くドレスの提供を申し出ています。ジョディ・フォスターのように、名子役から大女優へ開花する可能性を見越してブランドとの強い結びつきを作っておきたい、という「青田買い」的な狙いがこうしたオファーにはあるとささやかれていますが、オトナまであと一歩、なティーン女優だけでなく、子役にまでファッション業界の触手は伸びています。
 
princess02.jpg例えば、映画『リトル・ミス・サンシャイン』での好演で脚光を浴びたアビゲイル・ブレスリンちゃん。アカデミー賞にノミネートされ、コダック・シアターにブリブリのお姫様スタイルで登場したアビゲイルちゃん。いかにもなドレスのチョイスですが、その小さな足を彩ったのはジミー・チュウのピンクサテンのミュール(ハイヒールは未体験だったのでパス)!。キャンディーバーを偲ばせたクラッチバッグはスワロフスキー製。小さなお耳と首元でキラキラしていたのは、驚くなかれ、ハリー・ウィンストンのダイヤモンド!話題作りとはいえ、オンナを上げる小道具として大人の欲望をかき立てるあこがれブランドが、よってたかっていたいけな女の子を着せ替え人形にしてしまうのはいかがなものか、であります。
 
こうした世の動きに敏感に反応し、アビゲイルちゃんよりお姉さんな世代のティーン女優達は、大人のセレブを顧客に持つ有名スタイリストを雇い入れたり、ママの物でないブランドバッグを持ち歩いたり、「何を着るか」「他人の目にどう映るか」ということについて大人同様神経をすり減らしているようです。

しかし、やはりどんな美少女にも、年相応、はあります。ティーン女優が身にまとうビッグメゾンのドレスは、いずれも大人向けのものをコドモサイズに調整したもの。借り着感は拭えず、世間の受けもイマイチのようです。また、主にお仕事の場であるとはいえ、心も頭もまだ未成熟なコドモのうちからハイファッションにどっぷり浸かることの悪影響(歪んだ価値観を育む)も懸念されるそうです。「プラダに首までつかる生活を送ってきて、突然バナナ・リパブリックを試してみろといわれてもとても難しいでしょう」とは、児童心理学者の弁。
 
野暮ったく恥ずかしー若気のいたりな日々があるからこそ、オシャレ道は磨かれてゆくものではないでしょうか。どうあがいてもアバクロが似合わなくある日はやってくるのですから。過酷な競争を勝ち抜くためのビジネス上の戦略かもしれませんが、ファッション業界の方々にはオトナな態度で若きハリウッド人たちを見守ってほしいものです。

□ピンクのドレスはブレスリン嬢(写真、上)。黒いドレスがシャネルを着たエマ・ワトソン嬢(写真、下)。このルックのおかげで、エマは若干15歳でアメリカの有名ゴシップ誌のファッションダメだしページに登場するという栄誉を得てしまいました。




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posted by cyberbloom at 14:40 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | ファッション+モード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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