2008年07月20日

週刊フランス情報 14 - 20 JUILLET 後編

仏の原発推進政策に冷水 放射性物質漏れ事故続発
■「原発王国」フランスの2カ所の核関連施設で、8日と18日に相次いで放射性廃液の漏出事故が発生したことで、改めて「緑のエネルギー」として注目を集めている原発が冷や水を浴びせられる結果となった。
■19日付の仏紙はいっせいに事故を1面で報道。政府と施設の親会社である原子力産業大手アレバに事故原因の究明や情報の透明性を迫った。
■ボルロー環境エネルギー相は18日、核施設の「監査強化」を命じ、アレバのロベルジョン社長も同日の記者会見で「2007年に評価尺度1の事故が7回あった」ことを指摘。今回の2カ所の漏出事故は仏核安全局(ASN)が汚染地域の土壌などの検査の結果、0〜7まで8段階の評価で下から2番目の1と評価されたところから「事故が軽度である」ことを強調した。しかし、19日付のフィガロは、評価尺度1の事故は1年に約100回発生していると報じた。
■フランスは1970年代初頭の石油危機で「エネルギーの独立」を掲げ、石油に依存しない原発に力を入れた結果、電力の78%を原発に依存している。サルコジ大統領は7月初めに、アレバとドイツ企業シーメンスの共同製造による2基目の新型原発の建設を発表し、今後も原発産業に力を入れる方針を示した矢先の事故だった。
■原発の寿命は約40年といわれるが、8日に事故が発生した仏南部ボークリューズ県トリカスタン核施設センター内のウラン溶液処理施設は74年建造。18日に事故が起きた南部ドローム県の核廃棄物工場などの施設も同様に劣化を起こす時期に来ていたとされる。
■フランスは86年のチェルノブイリ事故で放射性物質が飛散した際、イタリアなどが野菜の汚染を国民に警告したのに対し、仏国境内には流入していないと発表、数年後に訂正した経緯がある。今回はボークリューズ県選出の与党・国民運動連合(UMP)と社会党の議員が18日、共同声明を発表し、事故調査委員会の設置を要請するなど国民の関心も高まっており、政府も本腰を入れて安全対策を講じざるをえない情勢だ。
(7月20日、産経新聞)
★今回の18日の事故は、フランス南東部のドローム県にある核燃料製造工場で、放射性廃液が地下の導管から漏れ出したもの。核燃料の生産施設と廃液処理場を結ぶ導管が損傷したのが原因。損傷は数年前から始まっていたようだ。今月7日にも放射性廃液の漏出事故があったばかり。
★親会社にあたる原子力企業、アレバのロベルジョン社長が18日、記者会見し、「関係者や周辺住民の健康、環境への影響はない」と言明した。ロベルジョン社長によると、事故は2カ所とも工場の「現代化の工事中」に発生し、経年劣化した配管などを交換中だったという。何度も事故を謝罪したうえで、用心のため井戸水の使用などを自粛している農民と野菜業者への補償金を約束。
★中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が停止してちょうど1年が経過した(⇒関連ニュース)。そのときに見せつけられたように、原子力産業の隠蔽体質は日本もフランスも同じ。普段は原発を容認しているフランスの人々もさすがに危機感を抱いているようだ。サルコジ大統領は軍事力にならぶ国威発揚の切り札として世界に原発を売り込んでいる。

6月ユーロ圏EU基準CPIは前年比+4.0%、データ算出開始以来最高
■欧州連合(EU)統計局が発表した6月のユーロ圏15カ国のEU基準消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇、前年比4.0%上昇となった。どちらも市場予想通りだったが、前年比のインフレ率は1997年のデータ算出開始以来の最高水準。欧州中央銀行(ECB)は2%未満のインフレ率を目標としている。エコノミストはインフレ率が一段と上昇する可能性があるとみている。
■UBSのエコノミスト、スニル・カパディア氏は「われわれは引き続き、夏の間にインフレ率が4.3%前後まで上昇すると予想している。そのピークは8月になる見込みで、食料やエネルギー価格がインフレ率を押し上げる要因になるだろう」と述べた。ECBは今月、インフレを抑制するため政策金利を25ベーシスポイント引き上げたが、フォルティスのエコノミスト、ニック・カウニス氏は「二次的影響を示す材料が増えているため、ECBは数カ月のうちに再び利上げするだろう」との見方を示した。 6月にはエネルギー価格の上昇率が前月比2.5%、前年比では16%に達した。
(7月16日、ロイター)
EURO/US-DOLLAR – CHART(2 years)
★ユーロは対ドルで1.5ドル台で推移。15日に一時的に1.6ドルを突破している。為替の動きは人の動きにも影響を与える。日本人は円安でだんだんと国外に出る壁が高くなっている。フランスのニュースを見ていたら、フランス人の今年の夏のバカンスはアメリカ。ニューヨークで買い物しまくりらしい。フランスの友人も7月にニューヨークに行くと言ってたが、そういうわけだったのか。
★日本はインフレに強いと言われている。現在の輸入インフレが日本をデフレから脱却させる契機になるとか、欧米の高いインフレ率に比べれば、日本の物価上昇は1.5%程度とかいう理由だ。しかし、日本の給与所得者にしてみれば、コストプッシュインフレに対して賃金が伸び悩んでいる状況は喜ばしいわけがない。「日本ではインフレが歓迎される」というディスクールは、誰にとって都合が良いのだろうか。
★年間インフレ率が220万%に達した国もある!アフリカのジンバブエだ。ジンバブエでは6月末、ムガベ大統領が野党を弾圧して5選を既成事実化したばかり。経済は崩壊状態で、世界最悪のインフレ率を更新し続けている。ジンバブエでは現在、1日に2、3回、食糧価格などが値上がりしており、実際のインフレ率は公式発表よりも高いと見られる。今年1月に発行された1000万ジンバブエ・ドル札は既に紙くず同然。その後に発行された最高紙幣500億ジンバブエ・ドルも、闇レートでは7月上旬で約200円の価値となっている。

「バブル日本の実態隠し教訓に」、FRB議長、損失は迅速処理
■「日本の銀行は状態が極めて悪くなったのに、実態の情報開示を求められなかった。このため長い間、問題を引きずった」。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は16日、下院の金融委員会で日本の株式と土地のバブル崩壊を巡る金融面の対応について言及した。問題の本質から目をそらして抜本的な解決策を先送りしてきたことは「我々が学んだ重要な教訓だ」と語った。
■議長はかつての日本と同様に今の米国も「金融機関が損失を抱えて苦しんでいる」と認めた。ただ、米国勢は「少なくとも情報を表に出し、損失を穴埋めするための資本増強に積極的だ」と指摘。「日本のような長期の低迷を避ける」には金融機関の損失の迅速な処理が肝心だと強調した。
★日本のバブル崩壊は1991年とされているが、その後の長い景気低迷はバブルの後始末(不良債権処理など)が進まなかったからだと言われる。住専国会が1996年、りそな銀行への2兆円投入が2003年だ。これを見れば、アメリカのバブル処理はものすごいペースで行われている。

仏革命記念日の軍事パレード
■フランスでは14日、革命記念日(Bastille Day)を迎え、パリ(Paris)のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで軍事パレードが行われた。各国首脳らが参列したが、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領がこのパレード見学に参加することに対して論議が起きている。ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領夫人のカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)さんもパレードに登場。同日はエリゼ宮殿で伝統的なガーデンパーティも開催された。
(7月15日 、AFP)
★今年は国連平和維持部隊が招待され、パレードを先導した。ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)輸送隊に派遣されている湯下兼太郎3等陸佐ら日本の自衛官4人も行進した。自衛官のパレード参加は初めてだそうだ。
□【動画】7月14日の軍事パレード(TF1)




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posted by cyberbloom at 13:46 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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