2008年07月13日

週刊フランス情報 7 - 13 JUILLET 後編

「ボイコットは過ち、対話が必要」、開会式参加の理解求める
■2008年7月10日、欧州議会に出席したフランスのサルコジ大統領は北京五輪開会式への参加を決めたことについて触れ、五輪ボイコットは過ちだと主張。一方で8月中旬に訪仏予定のダライ・ラマ14世と面会する意向を示した。再び仏中関係が緊張することが予想される。環球時報が伝えた。
■9日、洞爺湖サミットに参加したサルコジ大統領は胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席と会談、北京五輪開会式に参加することを表明した。サルコジ大統領の決定は欧州議会で反発を呼んでいる。欧州議会のダニエル・コーン=ベンディット議員は「フランス製品を売るために開会式に参加するなど、赤っ恥だ」と批判した。サルコジ大統領は「五輪ボイコットという形で中国を侮辱することが人権尊重の最善の道だとは思わない」と反論、直接対話を重ねるべきだと強調した。
■一方で8月中旬にも訪仏予定のダライ・ラマ14世とは会談する意向を示した。孔泉(コン・チュエン)駐仏中国大使は「ダライ・ラマ14世との会談はフランスの対中投資、輸出に影響を与え、最悪の結果をもたらす」と警告しており、開会式参加表明で回復軌道に乗るかと見られた仏中関係が再び緊張する可能性が高まっている。
(7月12日、Record China)

日仏関係が冷却化? サルコジ外交、日本に関心薄
■フランスのサルコジ大統領が昨年5月の就任以来、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)に出席するため初訪日するが、どうやらサルコジ外交にとって日本は残念ながら、関心薄といえそうだ。日本政府は当初、サミットと、日仏交流150周年の国賓としての2度の訪日を要請していたが、フランスが7月から欧州連合(EU)の議長国となり多忙を極めるとの理由で断られた。次いで日本側は、サミットにあわせ150周年の国賓としても訪問するよう要請したが、これも日程的に無理という理由で「ノン」。しかも、カーラ夫人の訪日もなしと決まった。
■大統領は「日本嫌い?」の観測が日仏関係者の間に流れて久しい。例の内相時代の「相撲は醜い」「東京より香港」の発言(大統領は否定)が根拠の一つだが、今回の“150周年不在”もこの観測に輪をかける結果となっている。シラク前大統領の相撲好きや親日家ぶりが知られているだけに、サルコジ大統領は反目が伝えられるシラク氏が「好きなものは全部嫌い」(仏記者)とのうがった見方もされているほどだ。
■「日仏関係の冷却化」が確認されそうなのが7月中旬発表の「フランス外交白書」だ。3月に関係者に配布された「白書予測書」には「日本」への言及が1行もなかったからだ。大統領は昨夏、白書作成委員会の共同委員長にジュペ元首相と、自動車大手ルノーのシュバイツァー前最高経営責任者(CEO)を任命したが、両人とも日本とは浅からぬ縁がある。ジュペ氏はシラク前政権時代に日仏対話フォーラムの仏側座長で、シュバイツァー氏は日産との業務提携の立役者だ。それだけに、日本側には「なぜだ」の疑問や不信、危惧(きぐ)の念がわいている。
■白書の関係筋は「われわれの任務は地理・分野別に問題を取り上げたり、特に過熱状態の危機などを個々に取り上げたりすることではない。一般的な指針や優先課題を取り上げることが任務で、個々の外交に関しては大統領、首相、外相に譲る」と述べ、日本への言及がないのは当然だとの見方を示した。白書に「数行掲載される可能性もある」(外交筋)との見方もあるが、フランスの日本への関心が薄いことは明白だ。約100ページ(関係筋)の「白書」は、(1)グローバル化時代の対応(2)グローバル化の一方で、各国家の存在の不滅性と欧州連合(EU)との関連(3)多極化時代−の3点を踏まえ、仏外交の最優先事項「フランスの治安防衛と国民の利益」(関係筋)のために何をしたら良いか、などについて指摘している。大統領は1月の内外記者団との会見でもグローバル化時代を踏まえてG8(主要8カ国)からG13への拡大を主張。中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカの参加を要請した。サミットでも拡大問題に言及するとみられるが、日本としては、国連安全保障理事会の常任理事国の中国に国際舞台で水をあけられているだけに、アジアで唯一のG8参加国の立場を堅持したいところだ。
■日本側にはシラク時代を懐かしむ声もあるが、シラク氏にとって、日本はあくまでも「趣味」。対アジア外交の中心は中国だったと思われる。シラク氏の中国訪問の回数は2期目は特に増えていた。EU内でも対中武器禁輸の解除を強硬に主張し、大使会議での外交演説でも「日本」に言及しないことがあった。サミットが誕生したのは日本が経済大国の地位を確保した30年以上も前だ。フランスの「日本軽視」「中国重視」を批判するのは簡単だが、フランスはもとより外国にとって「日本」が経済的、政治的、文化的に魅力ある何かを今、探り出す時期が来ているのではなかろうか。「MANGA」に代表される「クール・ジャパン」とやらに、うつつを抜かしているときではない。
(7月7日、産経新聞)
★産経さんのおっしゃる通り。だんだんと日本が蚊帳の外に追いやられているのがよくわかる。今回、G8議長国でありながら、税金をふんだんに使って、見栄えとか警備(過剰な警備は逆に民主国家として印象が悪い)ばかり気にかけ、肝心な外交的な力は発揮できずじまい。

洞爺湖サミットはKYサミット!
■新興国との足並みも予想通り揃わず。新興国側の言い分のほうが筆者とすれば分かりやすい。「今まで散々温室効果ガスを排出してきたのは先進国。まずは先進国が中期目標を定めないとダメ。新興国側とすれば経済成長を優先させたい」言いたいことが分かりやすいし、G8側への要求も分かる。
■無論新興国だからといって経済最優先で環境のことを考えなくて良いというわけではない。だが先進国が数値目標を出さないで、一緒に2050年まで50%削減しましょうといっても説得力はない。また、サミットの裏側では、アメリカ、フランス、日本は原子力のセールスにご執心のようであった。
■食糧危機が叫ばれているのに、豪華な昼食会・夕食会。各国のトップが集まっているのだから、粗末な食事をしろとは言わないが欧州の新聞にはたたかれ放題であるし、議長国である日本がその点に関して無神経であったことは否定はできない。
■また原油高についても、監視体制を強化することを歓迎という意味不明な文言のみ。サミット前から具体策はないだろうといわれてきたが、いざ現実をつきつけられると悲しいものがある。ブッシュ大統領と石油メジャーとの蜜月ぶりは有名であり、自分で自分の首を絞めるようなことはしないだろうとは予想はしていた。EU勢が一矢を報いてくれるのでは?という淡い期待はもろくも崩れた。
■洞爺湖サミットで分かったことはこのメンバーでは何もできないということだけだ。サミットにかかった費用は設備費、警備費、輸送費など含めると億を下ることはまずない。当然我々が支払った税金が使われている。これを税金の無駄遣いといわずして何を無駄遣いというのだろうか?
■これだけ通信が発達している現代にあって、わざわざテロの危険があるのにも関わらず集まる必要があるのか?とさえ思えてくる。極めつけは町村官房長官の「議長国として責任を果たしたのだから、支持率は上がってもよいのでは?」という超KY発言だ。
(7月11日、ツカサネット新聞)
★週末11日のニューヨークの原油先物相場は大幅続伸。イランの核問題をめぐる緊張の高まりやナイジェリアでの原油供給懸念を背景にあるということだが、WTIの中心限月8月物は一時1バレル=147.27ドルを付け、約1週間ぶりに取引途中の最高値を更新。引け値は145.08ドル。原油価格に対してG8は何の影響力もなかったということですね。
★世界の原油価格の指標になっているのが、今書いたWTI(=ウェスト・テキサス・インターミディエイト)。テキサス州で産出される軽質油だが、世界で一番有力な指標になっている。産出量は世界全体の1-2%に過ぎないが、他の原油とブレンドしたものが、WTIとみなされて、1日1億バレルも先物で取引されている。これは、実際の世界の原油供給量である1日の生産量8000万バレルを超え、価格影響力も大きなものになっている。日本が主に使っている中東の重質油は、ドバイ産が指標になっているが、これもWTIに連動している。
★記事の中で「ブッシュ大統領と石油メジャーとの蜜月ぶりは有名」と書かれているが、ブッシュ大統領の選挙資金のかなりの部分はテキサスの石油業者から提供されている。チェイニー副大統領の前職は、大手石油掘削機メーカーのハリバートンのCEO。ライス国務長官の前職は、石油メジャーのシェブロンの取締役。そしてボールソン財務長官の前職は、原油価格に関してポジショントーク(夏には150ドル、今後2年以内に200ドルまで上がるんだそうだ)を繰り返すゴールトマン・サックスの会長兼CEOだ。政権の顔ぶれそのものが、原油価格は下がりませんよ、と言っているようなものですね。

【動画】洞爺湖サミット、いとうせいこう氏インタビュー
★洞爺湖の近くにある豊浦キャンプ場を訪れた、いとうせいこう氏のインタビューを動画で。洞爺湖サミットを裏側から語る。
(7月8日、G8 MEDIA NETWORK)

信じられないメチャクチャ逮捕の巻き
★反G8のデモに参加した雨宮処凛のレポート
(7月9日、マガジン9条)

バイオ燃料 食料価格75%押し上げ、米政権試算と大差
■世界銀行のエコノミストが、食糧を原料にしたバイオ燃料生産によって世界の食糧価格が75%上昇したという報告書を作成していたことが分かった。草案で未公表だが、バイオ燃料の増産目標を掲げ、影響は少ないと主張する米政府の推計をはるかに上回るだけに、波紋を広げている。農業エコノミスト、ドン・ミッチェル氏が、バイオ燃料の影響について2002年1月から今年2月までの食糧価格の上昇幅140%のうち、75%分を占めると試算。穀物在庫低下や投機拡大などと結びついて影響力が増幅したとしている。
■一方、米ブッシュ政権は2、3%と主張、国連の食糧農業機関は最大30%と試算。従来の推計をはるかに上回る結果となった。
■英紙ガーディアンが今月4日、このリポートの中身とともに、ブッシュ政権に配慮して公表が見送られたとの見方を報じた。しかし、世銀はこれを否定。報告書は草案で、4月に世銀が公表した食糧危機とバイオ燃料に関する報告書の参考となった研究結果の一つで、世銀公認の数値でもないと説明している。
■ただし、「世銀内部で唯一の推計」(関係者)で、バイオ燃料は食糧価格に「重大な影響を与えている」とする世銀の見解を決定づけたとみられる。世銀のゼーリック総裁は食糧危機を「人災」と強調、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でも、輸出規制と並んで、米政府などが導入するバイオ燃料向け補助金の撤廃を強く求めた。
(7月11日、産経新聞)

「ニートはどうして男だけなの?」 そんな疑問が正しくないワケ
■「ニートはどうして男だけなの?」。そんな疑問でネットが盛り上がっている。確かにテレビ、雑誌などが報じるニートは男性ばかりだ。「男は女を見習うべきだ」といった意見も出ているが、実際は男女半々なのだそうだ。とすると、なぜ、男性ニートばかりがクローズアップされるのか(…続きはタイトルをクリック)
(7月12日、J-CASTニュース)

凱旋門賞決定!サムソン今年こそ行くぞ!
■メイショウサムソン(牡5=高橋成)が仏G1凱旋門賞(10月5日、ロンシャン芝2400メートル)に遠征することが正式に決まった。12日、阪神競馬場で松本好雄オーナーが「調教師と電話で協議した結果、フランスへ行くことを決めた。凱旋門賞は僕にとって生涯の夢。みんなで協力して挑みたい」と表明した。今後は滞在先(仏国か英国)やステップレースについて検討していく。昨年は馬インフルエンザを発症して渡仏を断念しており、2年越しで世界最高峰のレースに挑むことになる。同馬は宝塚記念2着後、栗東トレセンで調整を進めている。
(7月13日、スポーツニッポン)





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posted by cyberbloom at 22:34 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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