2008年03月29日

週刊フランス情報 24 - 30 MARS 前編

ミシュランのお花見弁当
rosesakura01.jpg■東京の桜の開花予想は平年よりちょっぴり早い今月26日。一足先に、春らしい彩りのお花見弁当が“花ざかり”だ。主流が1000円台と、手が届きやすい“プチぜいたく感”も人気の理由のひとつだが、今年はさらに高級感がアップ。『ミシュランガイド東京』に載った料亭やレストランなど、普段なかなか口にできない店の限定品が話題を呼びそうだ。「花よりダンゴ」とばかりに、桜の時期にお目見えする彩り豊かなお花見弁当。『ミシュランガイド東京』で星を獲得した店のお弁当に特に力を入れているのが、都内有数のお花見スポット、新宿御苑にほど近い新宿タカシマヤ。
■「遠回りしてでも訪れる価値があるすばらしい料理」の二つ星に輝いた京料理の「菊乃井」をはじめ、一つ星のフレンチレストラン「シェ松尾」、懐石料理の「小室」など、6店の星つき店のお弁当を26日から限定販売する。
(3月16日、産経新聞)

花見に合う「ロゼ・サクラ」
■日本人のかおりさんと夫のパブロ・シュヴロ夫妻がブルゴーニュ地方マランジュを基盤に展開する新進ドメーヌ・シュヴロ。ドメーヌはコート・ドールの南端シェイイ・レ・マランジュ村に本拠を置き、12種のワインを生産する。化学薬品を使わないビオロジックの手法を導入し、一部の畑は馬で耕作する。シュヴロ家は18世紀からの歴史を持つ。パブロはブルゴーニュ大で生物学などを学んだ後、ボルドー大でワイン醸造士国家資格を取得し、2002年からドメーヌに参画した。ボーヌの国立醸造職業学校で醸造学の講師も務める。妻のかおりさんは日本航空の勤務時代にシニア・ソムリエを取得。ワインの魅力に取り付かれ、ボルドー大醸造学部に留学し、03年に結婚した。ブルゴーニュ大でワインビジネスの修士を取得し、輸出業務を担当する。
■かおりさんが日本の四季を懐かしんで、国中がサクラ色に染まる春の風情をパブロに伝えたところ、花見に合うロゼを造る話がまとまった。インポーターに長野・蓼科の桜の写真を送ってもらい、着想を膨らませたという。「普段はワインを飲まないようなお母さんやお父さんたちに、ワインを知ってもらうきっかけにしてほしい。難しいことを考えずに、気楽に飲んで欲しい」とかおりさん。
(2006年12月25日 読売新聞)
□「ロゼ・サクラ」購入はコチラ
□関連エントリー「春のボジョレ、お花見のワイン
★「春のボージョレ」は、2年前に書いた記事だが定着しなかったようですね。春のボジョレーは、さわやかな酸味と華やかな香りはヌーボー(11月第3木曜日解禁)と変わらないが、5ヶ月間熟成している分だけ、深みが増しているようです。「ロゼ・サクラ」は今年で2年目の花見を迎えるわけですね。

X JAPANがフランス進出発表
■東京ドームで待望の復活を果たしたロックバンド・X JAPANがついに海外進出することが29日、分かった。YOSHIKI が同日、緊急会見を開き、発表した。28日に10年ぶりのライブをやり遂げた YOSHIKI は「感触はありました。バンドっていいです」と感慨深げに話すと、さらに「7月5日、フランスのパリで2万人規模のライブをやります」と明かした。
(3月30日、デイリースポーツ)
★5月にパリ公演を行うラクル・アン・シエルに続き、X JAPANもフランス進出。J-ROCK、Visual-Kei の人気は本物なのか。2万人集まったら信じよう。昔、PIZZICATO FIVE のヨーロッパツアーを見損なって地団駄を踏んだことがあったが。

滝川クリステル、いきなりキスされちゃった!
■日仏修好通商条約締結(1858年)から150年にあたる今年、日本が仏政府観光局などと繰り広げるキャンペーン「日本、フランス、こうゆう関係。」の「2008年度フランス広報大使」に、キャスターの滝川クリステルさんと華道家の假屋崎省吾さんが就任し25日発表された。パリ生まれで父親がフランス人の滝川さんは「まさにこういう仕事がしたかった!」と最高の笑みを見せた。
■就任式では、フィリップ・フォール駐日フランス大使らが2人に任命状などを次々に手渡していったが、レストラン「ブノワ」などを展開するアランデュカスジャポンのファブリス・ルノー代表が、突然、滝川さんを抱き寄せて、ほおにキス。報道陣もあっけに取られる電光石火の早業だった。周囲のどよめきがさめやらぬ中、滝川さんはニッコリとほほえみ“大人の対応”を見せていた。
(3月26日、毎日新聞)

パリの博物館に巨大イカ出現
■フランスのパリの国立自然史博物館(National Museum of Natural History)で25日、プラスティネーションと呼ばれる技術で作成された初のダイオウイカの標本が公開された。プラスティネーションは生物の水分や脂質など体内から水分をすべて取り除き、特殊な合成樹脂に置き換える標本作成技術。公開されたダイオウイカは、2000年1月27日にニュージーランド沖で捕獲されたもので、ニュージーランド水・大気研究所が所蔵している。
(3月25日、AFP)
★自然史博物館はパリの5区の植物園の中にある、パリの穴場的スポット。進化の過程を表した巨大な標本や、ホルマリン漬けの動物たちがいる。ちょっと不気味なコーナーもあるが、子供を連れ行くと楽しいかもしれない。

日本の若者のクルマ、酒、海外旅行離れ
■日本の若者が牽引してきた消費市場から20代が距離を置きつつある。20代男性のクルマ保有率は95年の81%から05年には74%に減っている。05年の全世代平均84%を下回った。酒の支出も4年前より26%減少。また20-29歳の海外旅行は1996年の463万人から、2006年には298万人に36%減。しかし、彼らは決してケチで消費意欲がないわけではない。不況下に育ち、超合理主義になっているようだ。「外す」、つまり買い物に失敗することを極端に嫌うようだ。
(3月26日、日本経済新聞朝刊)

ドキュメンタリー映画「いのちの食べ方」上映中!
□「いのちの食べかた OUR DAILY BREAD」(main blog)
★人間が動物に対してやっていることは、搾取や戦争という形で人間に対しても同じことやっているというtkさんの指摘は重要です。

□今週のパリコレ
【動画】<08/09年秋冬パリ・コレクション>ジャンシャルル・ド・カステルバジャック、新作を発表
【動画】デルフィーナ・デレットレーズ、08/09年秋冬ジュエリー・コレクションを語る




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2008年03月28日

カナダ・ケベック州の郷土料理はフランスの味

カナダのフランス語圏であるケベック州の家庭に伝わる料理の多くは、17世紀にフランスからの入植者によって持ち込まれた。シュゼット・クイヤール著の『忘れられたケベックの伝統料理』(ISBN:2-920368-00-1)には、それら数々のレシピが紹介されている。「忘れられた」という表現は一種のユーモアで、ケベック州のフランス系の家庭では静かに受け継がれている。ケベックの人々は、家族や知人の誕生日や記念日に集って、ワインとともに料理をじっくりと味わい、遅くまでお喋りに興じ、ケベックの古い民謡を合唱する。家庭に代々伝わる食器が出され、先祖に思いをはせる貴重なひと時である。この本は、伝統料理によって、「おじいさんへの敬意」を忘れず、「おばあさんの料理の匂い」を守ろうと、今の時代の人に語りかけている。

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フランス語のsouper(夜食)が英語のsupper(夜食)の語源であるように、かつてフランスでは、具沢山のスープとフスマ入りのパン(全粒粉のパン)が、仕事の後の遅い食事であった。この本には穀類、野菜、根菜、豆類に、塩蔵の鱈や焼いた肉の残りを入れたスープなどが紹介されている。そして、田舎風のパンには、イチジク、アンズなどのドライフルーツや木の実を入れたものなどがある。バター、クリームなど乳製品を使ったソースのかかった料理は、今のフランス料理でもよく見られる(写真1)。焼き菓子の項には、ガレット(クレープの原型)、タルト、ビスケットなどがある。乳製品、りんごなどの材料は、移民の人々の出身地、フランス北部のノルマンディー地方の特産物である。さらに、牛や豚の脳みそが、懐かしい祖国フランスのチーズの味に似て代用品にしていたゆえか、日本の鯛の兜煮、マグロの兜焼きにあたるような、tête fromagée(豚の頭肉のゼリー寄せ)、tête de veau(子牛の頭の焼き物)がある。他には新鮮な内臓を固めて作る黒いboudin(ソーセージ)など。開拓農民の暮らしを支えてきた食生活がわかる。

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伝統料理の中でも、今もケベックでよく食べられているのは、tartière(タルト)。牛肉、豚肉、チキン、サーモンなどの種類があり、それぞれ相性のいい野菜やソースと一緒にパイ生地の中に詰めて焼いたものである。家庭でも作られるが、春にリンゴの花が咲く酪農の盛んなオルレアン島のものは特に人気がある。フランスのブルターニュ地方のサン・マロは、16世紀に探検者ジャック・カルチエが北米への船を漕ぎ出した港だが、そこを旅した折、近くの惣菜店で食べた上面に編目の飾りのあるサーモンパイはこの原型であるかも知れない。魚料理は、そんなに多くは紹介されていない。それは、セントローレンス河に面したケベックの近くでは、川を遡る鱒や鮭が主で、鱈など大西洋の魚は冷蔵技術の導入前には塩蔵や干物、燻製などの加工品のみだったから。また、ケベックを代表する農作物ジャガイモは、厳冬の地で保存可能な命の綱の主食材で、各家庭では種芋を何よりも大事に保管した。しかし、アンデス原産のジャガイモがフランスで食べられるようになったのはルイ16世以降の時代。17世紀のケベック植民地時代にはなく、19世紀初めにアイルランドからの移民によって伝わったものである(写真2は農家の直営市場にて)。

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ちなみに、ケベックシティの旧市街にある、伝統のレシピで郷土料理を出すレストラン「Aux Anciens Canadiens」の建物は1675年に建てられた(写真3)。17世紀の衣装のウェイトレスが給仕してくれる。豆の煮込み、ミートパイ、茹でたジャガイモ、豚の脂身の塩漬けなどの盛り合わせの一皿は、圧巻(写真4)。

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Sophie

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2008年03月26日

エリー・フォール「美術史」

elie01.jpgエリー・フォールの文章に初めて触れたのは、ゴダールの映画『気狂いピエロ』の冒頭においてである。

処女作『勝手にしやがれ』以来、再びゴダール映画のヒーローとなったベルモンドが、『美術史第4巻・近代美術(1)』に収録されたヴェラスケス論を読み上げる。その間、画面では、原色のアルファベットが黒地にゆっくりと浮かび上がるタイトル・バックが完成し、初夏の眩い光に照らされたコートの上でテニスに興じる娘の動き、書店の前で本を物色するベルモンドの姿、さらに夕闇に包まれたセーヌ河の情景が映し出される。バスタブの中に座り込み、くわえ煙草でヴェラスケス論を読み上げるベルモンドの姿が画面に現れるのは、これから展開する物語と特に関係があるとも思えない、こうした一連のショットの後である。

当時、エリー・フォールという批評家のことは全く知らなかったが、その後、ゴダールの映画についていろいろと読んでいるうちに、その名前に行き当たった。そして、このゴダールの代表作ともいえる作品の冒頭を飾る著作を読んでみようと、大学の図書館へ足を運んでみたが、その名前が検索に引っかかることはなかった。翻訳がなかったのだ。

ゴダールは或るインタヴューで次のように語る。

「私の感じでいうと、芸術批評という点で最初にくるのがディドロでしょう。それにボードレールが続く。芸術をめぐって深い知識を持った研究者や学者はたくさんいるでしょう。だが、ある作品をめぐってそれを誉め、その悪口を言う技術というものは、ごくわずかな人によって担われていたにすぎません。ボードレールのあとに来るのがエリー・フォール。(…)フォールのあとにいささか創造性には欠けるが、アンドレ・マルローが来ます。そして、アンドレ・バザンとフランソワ・トリュフォーがそうした芸術批評の最後に位置することになります。」

ディドロ、ボードレールに続く批評家。そしてマルローより、上に置かれる批評家。その著作が、発刊後、数十年を経た後も未訳であったことに、正直、驚いた。(原著は、1909-1927の出版)

その著作が、2003年、ようやく国書刊行会より出版が開始され、現在、全7巻のうち、残すところ上記のヴェラスケス論を含む『近代美術(1)』とそれに続く『近代美術(2)』の2冊のみとなった。

このフォールの『美術史』は、英米圏では早くから受容されていたようで、あのチャップリンも、インタヴュアーの教養度を測るために「エリー・フォールは読んだかね」と聞くのが慣例であったらしい。

また、ヘンリー・ミラーが、フォールの『美術史』の大ファンであったことも有名で、邦訳の『古代美術』にはミラーの緒言が付けられている。それについては、安原のこちらの書評を参照していただきたい。

「ぼくはこの作品を偉大な音楽を聴くように読んだ……」
ミラーが言うように、この『美術史』の魅力は、その比類なき文体にある。

以下、映画『気狂いピエロ』でベルモンドが読み上げる箇所を少し前から訳してみた。

「これらの画家には、荒々しさと細やかさがあった。作品は陰鬱かつ露骨であり、顔の醜さ、身体の奇形、魂の歪み、全てが臆面なく曝け出される。画家が選択をすることはない。死、恐怖、不都合なものは何もなく、すべてが彼等の仕事に寄与した。だが、我々がひとたび形体と形体との間に目を向けると、悪夢は消え、何か予期していなかった未知のものが姿を現す。大気中の原子の流れ、つつましやかに包みこまれ、透明で微かに色づけられた陰が形体の周りを浮遊し、その形体を変貌させる。50歳を過ぎ、ヴェラスケスはもはや形ある事物を描こうとはしなかった。彼は空気と黄昏と共に事物の周りを彷徨い、奥底の透明と陰のなかに色めく震動を捉え、沈黙の交響曲の見えざる中心とした。彼は、この世界における神秘的な交換、形体と色調が互いに浸透する交換のみを捉えた。それは目に見えることなく持続して進む。いかなる衝突、いかなる飛躍もこの歩みを暴き、止めることはない。空間が支配する。」

残る2冊の翻訳の完成が待ち望まれる。


古代美術―美術史〈1〉
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5 やばい、圧倒的。


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2008年03月25日

フランスのアニメ

先日、某大学でフランス人アニメーターの講演があり、その通訳を務めた。通訳といっても、ほとんどの時間は彼の自作と他のフランス人による短篇アニメの上映にあてられたので、実際には作品紹介と最後の質疑応答の手助けをしたにすぎない。あとは一緒に座って作品を見ていた。
 
ジェロームという名前の30代のアニメーターは、3Dのコンピューター・グラフィックの短篇アニメを3本制作してきた(ちなみにフランス語では3Dのことを synthèse d'images と言う)。現在はアルテ・フランスの出資で初の長篇を制作中とのことだ。講演があった大学は、CGによるアニメ制作科を設置しており、学生の興味を惹くように、彼はフランスのアニメーター養成過程についても解説し、講演の後半では学生による卒業制作を上映した。これが大変レベルが高く、驚いた。なかには、フランスにいるときに、どこかで見た覚えのある作品も混じっていた。
 
フランスは、日本、アメリカに次ぐアニメ大国である、とジェロームは言う。消費者としてもそうだが、制作者としても、数こそ少ないが、70年代の『ファンタスティック・プラネット』から、2002年の大ヒット作『ベルヴィル・ランデブー』まで、個性的な作品を世に送り続けている。それを支えているのが、規模は小さいが良質な専門学校の存在である。
 
ベルヴィル・ランデブー ヤン・シュヴァンクマイエル ファウスト  ヤン・シュヴァンクマイエル アリス

たとえば、南仏の片田舎にあるシュパンフォコム Supinfocom という学校では、最後の2年で短篇を一つ制作する。最初にシナリオのコンペがあり、教授に選ばれた学生を中心に34人のチームを作り、コンピューターを用いて、作品を練り上げていく。卒業生は、特殊効果のエンジニアや広告を手がけるなど、すぐに商業的な現場で活躍するのが普通らしい。これに対して、パリにある国立高等装飾芸術学校のアニメ科では、手描きアニメが中心で、画家や彫刻家を志す人が、一種の修行としてアニメに挑戦する傾向があるという。内容も個人的なものが多く、詩的な味わいのある作品が生み出されている。また別の学校では、すでにアニメーターとしての経験を積んだ人を集めて、資金集めやスタッフ管理などの実務も含めて、監督として独り立ちするのに必要なノウハウを教える。このように、フランスも、韓国ほどではないかもしれないが、アニメ制作者の養成に力を入れている。 

僕は日本のセル画アニメよりも、チェコでよく作られるような人形アニメが好きで、一時はイジィ・トルンカやイジィ・ヴァルダ、『パット&マット』などをよく見に通った。もちろん、ヤン・シュヴァンクマイエルも忘れてはならない。『アリス』に出てくる剥製のウサギが自分の腹におがくずを詰め直す場面や、『ファウスト』で悪魔を呼び出しては追い返す場面など、今でもときどき思い出して笑ってしまう。
 
また、ロシアのユーリ・ノルシュテインの作品も忘れがたい。『話の話』は、何度見ても胸が痛んだ。こちらは手描きアニメの最高峰だ。芭蕉の連句集を、日本人を中心とする世界中のアニメーター36人で映像化した『冬の日』で、ノルシュテインは久しぶりに新作を披露してくれたが、蕪村の『奥の細道絵巻』からインスピレーションを受けた映像は、他の誰よりも俳味をもっていた。会場に来ていたある日本人アニメーターと講演後に雑談していたときも、彼は「シュヴァンクマイエルとノルシュテイン、この二人はとにかく別格なんです」と言っていた。
 
フランスのアニメは、短篇がほとんどなため、なかなか興行的な成功を得ることができない。また、セリフに重きを置く伝統があるため、外国で認められにくい、という指摘もある。日本のアニメは何よりもシナリオが良いので、長篇にしても鑑賞に堪えられるが、映像的な冒険と長篇とは両立しにくい。去年発表された全編白黒の3Dアニメ『ルネッサンス』は、その点で冒険作と言えるだろう。ただ、まさに日本アニメを見慣れた者の目からすれば、シナリオがまだ弱い印象を受けた。
 
アニメの表現は、一方でリアリティの追求であり、他方で実写には不可能なノン=リアリティの追求でもある。表現の可能性の二つの極の間で、アニメは模索する。しかし、考えてみれば、それは小説から映画に至るまで、人間が想像力を使って何かを生み出すときに、常につきまとってきた問題だ。アニメは、その探究の新参者であるにすぎない。3D映像の可能性については、ゲームがものすごい勢いで開拓し、それが映画の特殊効果にも還元されている。アニメは、今後映画とゲームを気にしつつ、どのような独自性を出すことができるのだろうか。通訳をしながら、そんなことも考えさせられた一日だった。




bird dog

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2008年03月24日

週刊フランス情報 17 - 23 MARS 後編

チベット暴動で、北京五輪開会式のボイコット検討を
■フランスのクシュネル外相は18日、中国チベット自治区の暴動が続く場合、欧州連合(EU)は北京五輪開会式のボイコットを検討すべきだと表明した。競技自体の不参加は否定した。 五輪開会式のボイコットについては「国境なき記者団」(本部・パリ)などが提案しており、外相は「興味深い。今月下旬のEU外相会議で検討されるべきだ」と述べた。
(3月18日、毎日新聞)

統一地方選 左派躍進、サルコジ政権に打撃
■フランス全土の市町村議員と首長を選出する統一地方選の第2回投票が16日行われ、開票の結果、南部トゥールーズと東部ストラスブールで市政奪回を確実にするなど、社会党の躍進が鮮明となっている。右派のサルコジ大統領の経済政策が行き詰まりを見せ、歌手との結婚など派手な私生活が国民の反発を買った結果と言えそうで、サルコジ政権に一定の打撃となるのは避けられない。
■社会党は、パリでドラノエ現市長が再選を決めたほか、北部のランス、アミアンでも勝利した。ドラノエ市長は、今年末の社会党第1書記選挙、さらには次期大統領候補を目指すと注目されている。一方、右派・国民運動連合は南部の大都市マルセイユで社会党を小差で抑えて体面を保ったが、西部ペリグーの市長だったダルコス国民教育相が落選するなど振るわなかった。
■オランド社会党第1書記は「サルコジ大統領は国民の声を聞き、過去10カ月の政策を変更する必要がある」と批判。フィヨン首相は「国政と地方選は別。改革路線を粘り強く遂行する」と反論した。社会党は9日の第1回投票で南東部リヨン、北部リールでも勝利を確実にしていた
(3月17日、毎日新聞)
□TF1のニュースより。左派(gauche)が赤色、右派(droite)が青色で示されている。色を見るだけで左派の圧勝がわかるだろう。動画はコチラ。最後に大統領の息子、ジャン・サルコジ氏が映っている。

「核戦力を削減」、弾頭300以下、軍縮で主導権
■フランスのサルコジ大統領は21日、同国の航空核戦力を3分の2に縮小することで、核弾頭の総数を300以下に減らすことを明らかにした。核戦力をスリム化しながら、軍縮問題でフランスが主導権を握る姿勢も鮮明にした。
■大統領は、仏北西部シェルブールの軍港での新型原子力潜水艦の進水式で防衛政策について演説。このなかで、短・中距離の地対地ミサイル禁止条約や兵器用核分裂性物質生産禁止条約の交渉開始のほか、核分裂性物質の生産を即時停止することを提案した。
■フランスの核抑止力戦略に関しては「軍縮の新措置を決めた」と述べ、核兵器やミサイル、核搭載航空機の数を3分の1削減することを言明。大統領は「この削減後、われわれの軍装備は核弾頭数が300以下となる。これは冷戦中にわれわれが保有していた最高期の核弾頭数の半数に当たる」と述べ、核弾頭を多数保有している米露の削減を暗にうながした。米国は2006年のジュネーブ軍縮会議で、兵器用核分裂性物質生産禁止条約案を提示。フランスはこれを支持したが、具体化していない。
■また大統領は、イランの核開発問題に言及して「欧州の安全が危険にさらされている」とも指摘。欧州全体の安全保障においてフランスの核抑止力が果たす役割について、欧州各国と対話することを提案した。
■AP通信によると、大統領は現在フランスが核弾頭をいくつ保有しているかは国家機密だとして明らかにしなかった。米科学者連盟は、2008年版の報告書でフランスは348の核弾頭を保有しているとしている。
(3月22日、産経新聞)

NY原油、一時100ドル下回る、株式市場は大幅反発
■20日のニューヨーク(New York)原油先物相場は、世界経済の減速によってエネルギー需要が減少するとの懸念を背景に一時1バレル100ドルを下回った。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、標準油種の軽質スイート原油(5月分)が午前の取引で一時1バレル98ドル65セントを記録し、その後、前日比70セント安の1バレル101ドル84セントで取引を終了した。軽質スイート原油先物4月渡し分の取引は、19日に前日比4ドル94セント安の1バレル104ドル48セントで終了した。また、ロンドン(London)の原油先物市場では、北海ブレント(Brent North Sea)原油(5月分)が、一時1バレル98ドルを記録した後、前日比34セント安の1バレル100ドル38セントで引けた。 
■経済協力開発機構(OECD)が同日、今年上半期の米国の経済成長率を下方修正し景気後退目前と表現したことから、米経済への懸念が再燃した。
(3月21日、AFP)
★20日海外の取引では、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物が一時98.65ドルと、2週間ぶりの水準へ急落。最高値(111ドル台)を更新した17日からわずか3日で、1割を超える下げとなった。金現物は先週、1オンス=1000ドルを超えて史上最高値を更新したが、一転して900ドルを割りそうなレベルまで下げた。19の商品先物で構成するロイター/ジェフリーズCRB指数も20日に一時377.45と、1カ月ぶり低水準に急落(指数算出開始以来最大の下げ幅)。どこまで行くのって感じで高騰の続いてきた商品相場は軒並み下落している。商品相場の急落は単なる利益確定でなく、巨額損失で身動きが取れなくなったヘッジファンドの投げ売りのようだ。銀行や証券が巨額の損失を計上し、次にモノラインの危機が伝わり、今度はヘッジファンドの番というわけだ。
★どちらかと言うと需給観測(BRICSの旺盛な需要)によって動いていた穀物市場が昨年後半のレベルに戻ったのに対し、需給より投機的な動きによって値を保っていた原油はまだ下げる余地がありそう。アメリカの利下げ、ドル危機、BRICSの旺盛な需要を背景に市場はインフレを強く懸念していが、突如として「景気後退で商品需要は減少する」という伝統的なストーリーが浮上している。

【動画】開戦から5年、イラクに駐留する米兵が日々直面する「現実」
(3月20日、AFP)
【動画】イラク戦争開戦から5年、米首都では市民らが「鎖つなぎ」で抗議行動
(3月20日、AFP)
【動画】イラク戦争開戦から5年、ホワイトハウス前では市民が拷問に抗議
(3月20日、AFP)

安楽死は違法と判決 女性患者の訴え棄却
■激痛を伴い、顔が大きく変形してしまう病にかかった女性(52)が安楽死を認めるよう求めた訴訟の判決で、フランス東部ディジョンの地方裁判所は17日、「フランスで安楽死は認められていない」として請求を棄却した。女性は控訴せず、安楽死が合法化されているオランダやベルギーで医師に相談する方針。フランスメディアなどが伝えた。女性はサルコジ大統領に法改正を求める手紙を送り、テレビやラジオなどでも安楽死の合法化を訴えており、フランスで論争を巻き起こした。
■女性は元教師のシャンタル・セビルさんで、8年前から顔の骨や鼻が変形する悪性腫瘍に苦しんでいる。世界的にも臨床例の少ない病気で治療は困難とされ、床に横たわることができないため、睡眠も腰を下ろしたまま補助器具を使って取っているという。判決は「患者の苦痛に同情する」としながらも「自殺ほう助は犯罪と言わざるを得ない」と述べた。バシュロナルカン保健相は地元ラジオで「病状がどうであれ、安楽死は違法だ」と話した。
(3月18日、中日新聞)

フランスの候補者リストは男女同数‐パリテ法
■フランスの市町村の数は、3万6000を超える。この自治体数は、EU全体の半数を占めるそうだ。市町村議会選挙はこれらすべての自治体で行われるが、人口3500人以上の自治体には「パリテ法」という男女の候補者数を同じにしなければならない法律が適用される。各政党は、市町村長候補者を筆頭に候補者リストを作って競う。これまでのリストは男性が大勢を占めていたが、「パリテ法」発効後は、女性が倍増した。初めて適用された前回2001年の選挙の結果、女性議員は47.5%を占めた。(全文はタイトルをクリック)
★フランスで統一地方選挙が行われてたが、選挙の候補者リストを見ると、男女同数なだけでなく、男女が交互に配置されている。「パリテ法」は2007年に強化されて、リストの男女配分を厳格にした。男性ばかりがリストの上位を占めないようにするためだ。フランスはここまで徹底して女性の政治参加を推進している。

「計画的な消費」に目覚める米国人
■何年にもわたる羽振りの良い生活から一転、米国の家庭はついに、身の丈に合った生活を送ることを学び始めている。これまで金融の専門家らは、米国の家庭にこうした「計画的な消費」は訪れないと指摘していた。エコノミストらは長年にわたり、米国の消費者が持続不可能な浪費を行っており、貯蓄率が危険なまでに低いと警告してきた。米国の家庭は今、住宅市場の低迷と景気減速を背景に経済的な責任を負うことを余儀なくされている。
■メリルリンチの北米担当エコノミストのデビッド・ローゼンバーグ氏は、ウォール街の関係者はこれまで、米国の消費者が消費スタイルを変えることはないと考えてきたと指摘。その上で「(消費スタイルの変化が)起こりつつある。倹約が取り入れられ、浪費は過去のものとなった」と述べた。ローゼンバーグ氏によると、個人消費は米国経済の約7割を占めており、そのうちの30%は生活必需品ではない買い物だという・・・。(続きはタイトルをクリック)
(3月18日、ロイター)
★ある意味当たり前のことなのだが、住宅バブルは異常な感覚をアメリカ人に浸透させてしまったのだろう。日本のバブル期を髣髴とさせる。

松井はフル出場でアシスト=フランス・サッカー
■サッカーのフランス1部リーグで、MF松井大輔のルマンは22日、アウェーでトゥールーズと1−1で引き分けた。松井はフル出場し、前半28分の先制点をアシストした。
■スイス1部リーグで、DF中田浩二のバーゼルはホームでルツェルンと対戦し、中田は肋骨(ろっこつ)骨折の負傷から復帰後、2試合連続でフル出場した。バーゼルは1−0で勝った。スペイン2部リーグで、ラスパルマスのFW福田健二はホームのカディス戦をけがのため欠場した。ラスパルマスは2−0で快勝した。 
(3月23日、時事通信)




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2008年03月22日

週刊フランス情報 17 - 23 MARS 前編

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」3月22日公開
blueberry01.jpg■去年のカンヌ映画祭でオープニング作品として上映されたウォン・カーウァイ(王家衛)の「マイ・ブルーベリー・ナイツ」がようやく日本で公開される。カーウァイ初の英語作品で、主演のノラ・ジョーンズも初の映画出演。またフランスが制作に参加している。
□公式サイト(予告編あり) http://www.blueberry-movie.com/
□関連エントリー「ウォン・カーウァイとフランス
□関連エントリー「カンヌ映画祭2007

ソフィー・マルソー・インタビュー
■『フランス映画祭2008』のフランス代表団団長として来日した女優、ソフィー・マルソーの独占インタビューの動画が配信中。映画祭のオープニングを飾った主演作『ドーヴィルに消えた女』は、マルソー自身が監督し、脚本も書いた。撮影に3年という長い時間をかけた渾身の作品だという。(全文はタイトルをクリック)

Des vitrines tout-chocolat pour Pâques‐復活祭のショコラ
■Lapins, poules, oeufs, cloches... les vitrines des chocolatiers sont magnifiques et délicieuses en cette période.
★うさぎ、にわとり、卵、鐘…この時期のチョコレート屋さんのショーウインドウは魅惑的だ。復活祭はショコラティエが活躍するお祭りでもある(動画はタイトルをクリック)。動画をもうひとつ追加
★またスペインでは復活祭の伝統的な行事が残っていて興味深い。動画はコチラ

アントニオ・ネグリ、初来日中止
マルチチュード 上 ~<帝国>時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)■全世界で話題になった共著「<帝国>」で有名なイタリアの政治哲学者、アントニオ・ネグリさん(74)が、初来日を中止したと20日、招へい元の国際文化会館が明らかにした。ネグリさんが過去にイタリアでの政治運動に絡み有罪判決を受けていたことで、入国が難しいと分かったため。
■ネグリさんは79年、過激派指導者と目され国家転覆罪容疑でイタリア当局に逮捕・起訴された。テロとの関連は認められなかったが、禁固刑の実刑判決を受けた。亡命先のフランスから97年に帰国して服役、03年に釈放された。
■同会館によると、日本の法務省は入国の条件として、ネグリさんが元政治犯だと証明する資料の提出を求めたが、この資料の入手が困難だった。出入国管理法は、1年以上の懲役か禁固の刑を受けた人物の入国を禁じているが、政治犯の入国は例外として認めている。
■ネグリさんは近年、中国や韓国など22カ国を訪れている。日本では、22日の同会館を皮切りに東京大や京都大、東京芸大で講演する予定だった。
(3月20日、毎日新聞)
★ネグリの経歴なんて最初からわかっていたことじゃないのか。どこからか横槍が入ったのだろう。京大人文研で予定されていた公演は、ネグリ氏不在のまま「アントニオ・ネグリ講演『大都市とマルチチュード』」として開催し、ネグリ氏のテクストの日本語訳を読み上げ、市田良彦、廣瀬純両氏がコメンテーターとして議論が行われる模様。

赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1) 赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-2)

スタンダールの「赤と黒」の新訳
★訳者の野崎氏があとがきで次のように書いている。「非力を承知で『赤と黒』の翻訳を志したもう一つの理由は、この本は現代の日本で「再発見」されるべきだという直感的な思いである。格差社会だ、下流社会だと、このところ、社会構造の深刻な矛盾やゆがみを指摘する声がにわかに高まってきている。若者はその中で希望を失いがちだ」。「いまこそ、ジュリアン・ソレルをふたたび世に送るときだ。そう信じて、翻訳に取り組んだ次第である」と。
★ジュリアン・ソレルのような、地方出身の青年がパリに出て立身出世を遂げるストーリーは1830年以降、近代小説の主要テーマとなる。バルザックの複数の小説にまたがって登場するラスチニャックもその典型だ。旧体制(アンシャンレジーム)において、貴族は貴族、農民は農民と、人間はその出自によって規定されていた。しかし、自分の欲望にしたがって自己実現をはかるように、自由に競争を営む社会、それが近代社会である。社会的な背景をみると、1820年代は若者にとって成り上がるのは比較的簡単だった。官公庁やオフィスにも仕事があった。革命期以降、度重なる戦争で人口が激減していて、人材不足だったからだ。それが1830年代に入ると飽和状態になり、就職も厳しくなる。
★そうは言っても、当時の歴史的背景と、日本のプレカリアートの状況を一緒にはできないだろう。若者の希望の意味も違う。それを強引に一緒くたにしてしまっては、「若い人は昔も今も大変だったんだ」(笑)なんて、安易に問題がすりかえられてしまう。「文学には普遍的な真実があるのだ」というポーズにも違和感があるし、文学者にはもっと緻密な現実把握と物言いが必要だ。これはあくまで19世紀の文学であって、それ以上のものではない。だけど、面白いのだ。

【動画】<08/09年秋冬パリ・コレクション>カール・ラガーフェルド、新作を語る
フランス・パリ市内で2月27日、「カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)」が08/09年秋冬コレクションを発表した。ウエストを絞ったジャケット、チュールを重ねたボリューム感あるミニスカート、パテントのフラットシューズに合わせたパンツ。カッティングの技術が光る服ばかりだ。せっけんの泡をプリントしたレインコートもある。黒、紺、グレーのダークな色調が、服のシルエットを一層引き立ててた。コレクションに際し、カール・ラガーフェルドが新作について語った。
(3月19日、AFP)


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2008年03月21日

『なしくずしの死』 ルイ・フェルディナン・セリーヌ

なしくずしの死〈下〉 (河出文庫)生き続けるのは残酷なことだ、他人とともにいるのは不幸の源だ、というのは文学の大きなテーマの一つ。「不思議なのは、どうして誰も自殺しないでいられるのかということです」と、トマス・ベルンハルトの芝居の登場人物は呟きました。セリーヌの『なしくずしの死』は、まさに自殺を回避するための戦いの記録です。人生がくだらないと思っているなら、どうして死んでしまわないんだ、という問いに、神だとか愛だとか家族だとかを持ち出さずに答えようとすると、なかなか大変です。原題は『クレジット払いの死』ですが、本当は「抵当に入った生」というべきです。主人公は子供の頃から失敗ばかりします。それでも、寝転がって星を眺める心はもっています。しかし、不器用な大人の悲惨な死に直面したとき、都会の空は濁って、もう星は見えなくなります。星を見ることに関して、これほど美しく悲しい小説を僕は他に知りません。暗い、とはいえ、笑える場面もたくさんあります。カフカやベケットで笑えるという人に限りますが。


なしくずしの死〈上〉 (河出文庫)
ルイ‐フェルディナン セリーヌ 高坂和彦
河出書房新社 (2002/03)
売り上げランキング: 37274
おすすめ度の平均: 4.5
5 怒りをこめて生き延びる
4 なしくずし



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2008年03月19日

モエレ沼公園

moere1.jpgこの夏休みの終わりに、初めて北海道を旅する機会を得て、念願のモエレ沼公園へ行くことができました。


住宅街を抜けるとすぐに巨大な駐車場に到着。そこへレンタカーを止め入場です。広大な敷地だということで、今度は自転車を借りていざ公園へ。


東側の入口から入ったので、右手にガラスのピラミッドが見えてきました。ここはレストランや展望台などのある休憩施設なので、最後に寄ることにして、まずはちょうど運転中の「海の噴水」へ。円形に湧き出る噴水はどことなくSFチックだなあと思っていたら、今度は垂直に水が吹き上がりました。壮大な眺めに見惚れていると、強い雨が降りだし、急遽ガラスのピラミッドへ避難。


moere2.jpgピラミッド内部はまるでモダンな美術館のように白で統一された空間でした。上階には小さなギャラリーもあって公園の概要やイサム・ノグチの活動が紹介されています。偶然ファッション雑誌の撮影場面に出くわしましたが、どこにモデルさんが立っても絵になるような建物でした。


雨もどうやら止んだので、再び自転車で出発です。「サクラの森」と呼ばれる方へ進んで行くと、ところどころで小さな遊び場を通過することになるのですが、そこに設置してあるブランコだのすべり台だののひとつひとつがえらくカッコいい。どこぞで見たイサム・ノグチの彫刻の縮小版も置かれているのだけれど、それがまた子供用の遊具としても見事に成立しているのです。

 
「サクラの森」を抜けると、美しく刈り込まれた芝生が目の前にぱあっと開け、幾何学的な山々や、モニュメントが見えてきます。「公園をひとつの彫刻にする」というイサム・ノグチの構想どおり、ここでは自然の素材と金属やガラスといった無機物を組み合わせた巨大な芸術作品が実現されていました。一方でそれらの造形がピラミッドや古墳をイメージさせるので、遺跡に入り込んだような不思議な気分にもなりました。


moere3.jpg「プレイマウンテン」と呼ばれる山に登ってみました。頂上まで行けるのかと最初は不安でしたが、意外とすんなりとたどりつきました(最初に思いっきりこけたけど・・)。雨が降ったときはどうなることやらと思っていましたが、最後には美しい青空のもとで公園を一望することができました。虹のおまけまでついて。


「芸術作品」というととても敷居が高い感じがするけれど、モエレ沼公園は入場料は無料で、ペットも連れていけるし、夏にはビーチで水遊び、冬は山でスキーやソリ遊びが楽しめ、野球場、陸上競技場やテニスコートでスポーツをすることもできます。各施設でさまざまなイベントも企画されていて、10月の予定表には「結婚式」というのもあり、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれているんだなあと思いました。


あとで調べてみたら、ガラスのピラミッドの夏の冷房の一部には、冬に蓄えられた雪を用いるなど、環境への配慮も見られ、見てくれだけでなく見えないところでも「がんばってる」公園なのでした。また違う季節に行ってみたいです。


モエレ沼公園 公式ページ




exquise(2007年10月5日)

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2008年03月18日

週刊フランス情報 10 - 16 MARS 後編 JAPAIN = JAPAN + PAIN

仏・伊が中国政府の対応批判、EU内には温度差も
■フランスのクシュネル外相は14日、欧州連合(EU)首脳会議後の記者会見で、ラサの大規模暴動について「中国政府に自制と人権尊重を求める。EUとEU加盟27か国は強い非難の意識を共有している」と述べ、中国政府の対応を批判した。イタリアのダレーマ外相も「中国は抑圧を終わらせる必要がある」とし、僧侶や民衆の抗議行動に理解を示した。欧州では、中国がチベット自治区を不当に支配し、アフリカ、ミャンマーなどでも人権抑圧政権に手を貸しているとして、一部の人権保護団体などは夏の北京五輪への参加拒否を呼びかけている。今回の事態を受け、こうした動きが強まるのは必至と見られる。
■ただ、EUのソラナ共通外交・安保上級代表は同日、「北京五輪には私自身、行くつもりだ」と述べ、ボイコットの可能性を否定した。EU内には、巨大市場として台頭する中国との協力関係構築を重視する国も多く、中国政府に向ける態度には温度差がある。英国のブラウン首相は「(EU加盟各国は)チベットの出来事を非常に憂慮している」と事態に懸念を表明する一方、慎重に言葉を選びながら中国政府への直接的な批判は避けた。
(3月15日、読売新聞)

ユーロ誕生10周年!
■99年1月、ユーロが仏独など主要11カ国で銀行間取引などに使う通貨として誕生。02年1月に紙幣と硬貨の流通が始まった。現在は15カ国に広がっている。当初は1ユーロ=1・17ドルだったが、00年10月には1ユーロ=0・82ドルにまで落ち込んだ。
■金融政策はECBが一元的に行っている。現在の総裁はジャンクロード・トリシェ。初代総裁を決めるときに、初代はだめでも、次はトリシェにしろとジャック・シラク前仏大統領がねじこんたらしい。学者肌で無骨な初代総裁ドイセンベルク(オランダ)が03年11月に総裁の座をトリシェに明け渡した。仏エリートの典型で、そつのないトリシェに代わるとECBの評判が良くなった。EU経済の立ち直り、そして景気拡大が背景になった。ECBは05年12月から利上げを開始。それにつられてユーロは上昇を始める。サブプライム問題がもたらしたドル危機がさらにユーロ高を加速させ、対ドル最高値を更新している。
(3月15日、朝日新聞朝刊)

仏ブックフェアのイスラエル作家特集にイスラム世界が猛反発
■パリ(Paris)で14日から開催されるフランス最大のブックフェア「Salon du Livre」が、イスラエル作家の特集を組んだことからアラブ諸国の反発を買い、厳重な警戒が敷かれることとなった。同ブックフェアがイスラエルの作家を特集するのは今回が初めてで、アモス・オズ(Amos Oz)氏、デービッド・グロスマン(David Grossman)氏、アブラハム・B・イェホシュア(Avraham B. Yehoshua)氏などイスラエル人作家39人を招聘(しょうへい)している。
■しかし、イスラエルによるパレスチナ自治区への攻撃に国際的な非難が高まっているこの時期に、イスラエル作家に栄誉を与えることは不適切だとして、イスラム諸国政府やイスラム系作家などが反発。イスラム教育科学文化機構(Islamic Educational, Scientific and Cultural Oranization、ISESCO)は、イスラエルによるパレスチナ自治区攻撃は「人道に対する罪だ」と非難し、「イスラエルはブックフェアで名誉を受けるに値しない」として、加盟50か国に対し同フェアへの不参加を呼び掛けた。(続きはタイトルをクリック)
(3月13日、AFP)

止められぬ「失言スクープ」に困惑するフランスの政治家
■3月9日と16日、フランス全土で市町村議会選挙が行われる。この選挙で、各市町村長ならびに市町村議会の議員が選出される。選挙1回目の9日に過半数を得た市町村長が選出されない場合、翌週に決選投票が行われる予定だ。この市町村議会選挙は、昨年5月の大統領選、その1カ月後の総選挙と、二つ続いた大きな選挙の後、初めての全国規模の選挙となるため、ここ最近、ニュースでも話題になっている。特に有名政治家が立候補している都市は全国から注目を浴びている。投票日が近づくにつれ、選挙運動に熱が入ってきているようだが、中にはうっかりもらした不適当な発言がインターネットで暴露され、イメージダウンにより人気が落ちている候補者もいる。
(3月10日、オーマイニュース)
村野瀬玲奈さんが「国家指導者に面と向かって拒絶の言葉をかける機会」で、シラクやミッテランなど、歴代の大統領のエスプリの効いた切り返しを紹介した記事を翻訳なさっている。サルコジ大統領はバンリューの若者をゴロツキだなんて言える立場ではない。

【画像】イスラエル大統領、フランスを公式訪問 公式晩餐会にはカーラ夫人も
イスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領は10日、4日間の日程でフランスを公式訪問した。パリ(Paris)の仏大統領府エリゼ宮(Elysee Palace)では同日、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領による公式晩餐会が開かれ、会場にはカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)夫人もドレス姿で登場した
★さすが元スーパーモデル。ドレス姿もお似合い。
(3月12日、AFP)

JAPAIN = JAPAN + PAIN
■英エコノミスト誌が、JAPAIN と題した特集記事を組んだ(それを日経新聞が紹介していた)。日本は経済の低迷に苦しんでいるが、その責任は政治にあることを指摘。住宅バブル崩壊でアメリカはリセッション懸念に直面しているが、サブプライムの影響をあまり受けていない日本経済が低迷しており、とりわけ株価の下落がひどい。S&P500(アメリカの代表的な株価指数)は1999年のピークから8%下げただけだが、NK225(日経平均株価)は89年のピークの3分の1。商用不動産の価格も同じレベル。
■日本経済の低迷は政治に責任があり、景気減速のスパイラルは日本の構造的欠陥を浮き彫りにした。数年前までは多くの人が日本に期待をかけていた。経済力は中国を上回り、超優良企業も少なくない。米国経済が落ち込んだら、埋め合わせをしてくれると期待されていたが、いまやその期待は空しい。生産性の低さは目を覆うばかり、投資のリターンは米国の半分程度、消費は相変わらず元気がない。官僚は失態続きで経済を誤らせてきた。日本に必要なものは市場を機能させ、競争をうながす改革だ。参議院での与野党逆転によって、さらに政治が何も決断できなくなってる。企業は記録的な利益を計上しながら賃上げをせず、現金をため込んでいる。雇用は増えても賃金は上がらない。政治はそれについて何も言わない。一方で、企業が慎重なのは政治家が無能で将来不安があるからだ。
■とりわけ安倍政権はひどかった。愛国心教育の取り組みに邁進したが、経済に関しては何もやらなかった。地方の衰退、賃金の伸び悩み、労働問題、年金に何の注意も払わなかった。驚いたことに、安倍は返り咲きを狙っているらしい。もちろん、有権者にも責任の一端がある…。
(The Economist fev.23-29 + 日本経済新聞朝刊)



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2008年03月16日

週刊フランス情報 10 - 16 MARS 前編

「サンテクジュペリ機を撃墜」元独軍パイロットが証言
■仏誌フィガロ(週刊)などは15日、第2次大戦中、連合軍の偵察任務でP38戦闘機を操縦中に消息を絶った童話「星の王子さま」の著者アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(1900年~44年)について、同機を「撃墜した」とする元ドイツ軍戦闘機パイロットの証言を伝えた。
■元パイロットは、ホルスト・リッペルトさん(88)。44年7月31日、メッサーシュミット機で南仏ミルを飛び立ち、トゥーロン上空でマルセイユ方向へ向かって飛んでいる敵軍機を約3キロ下方に発見。「敵機が立ち去らないなら撃つしかない」と攻撃を決意。「弾は命中し、傷ついた敵機は海へ真っ逆さまに落ちていった。操縦士は見えなかった」と回想している。敵機の操縦士がサンテグジュペリだったとはその時はわからず、数日後に知った。リッペルトさんは、「あの操縦士が彼でなかったらとずっと願い続けてきた。彼の作品は小さいころ誰もが読んで、みんな大好きだった」と語っている。
■サンテグジュペリの操縦機は2000年に残骸がマルセイユ沖で見つかったが、消息を絶ったときの状況は不明だった。仏紙プロバンスによると、その後テレビのジャーナリストとして活動したリッペルトさんは友人に、「もう彼のことは探さなくてもいい。撃ったのは私だ」と告白したという。
(3月16日、読売新聞)

ソフィー・マルソーが団長で来日!フランス映画祭2008が開幕 
■16回目を迎えるフランス映画祭が開催した。今年は映画祭の団長として、わずか13歳で映画『ラ・ブーム』にスクリーンデビューし、清純派女優として日本でも根強い人気を誇るソフィー・マルソーが来日。その来日記者会見が、六本木ヒルズで行われた。(続きはタイトルをクリック)
(3月15日、nikkei TRENDYnet)

シルヴィ・バルタンの日本公演
■ブルガリアからの移民だった母の死の悲しみから一歩踏み出すための3年ぶりのツアーで、今月末に東京でもコンサートを行う。「ヌーヴェル・ヴァーグ」という新しいアルバムも発表していて、自分の持ち歌以外の60年代のヒット曲ばかりをカバーしている。仏語版の「風に吹かれて」(ボブ・ディラン)、英語そのままの「ドライブ・マイ・カー」(ビートルズ)など。
(3月15日、朝日新聞朝刊)

アラン・ロブグリエが死去
★ちょっと前のことだが、2月15日にアラン・ロブグリエが死去。85歳だった。ル・モンド紙が「20世紀後半に海外で最も有名で、国内で最も愛されなかった小説家」と評した。海外の中には日本ももちろん含まれる。「消しゴム」でデビュー。ミシェル・ビュトールやクロード・シモンらとヌーボー・ロマンの旗手として注目を浴びた。この前亡くなった市川崑監督と親交があり、ロブ・グリエ脚本、市川崑監督という幻の企画もあったという。バルザックを嫌い、物語を重視する若手を認めなかった。
(3月15日、朝日新聞朝刊)

【動画】<08/09年秋冬パリ・コレクション>ジョン・ガリアーノ、新作を語る
■フランス・パリ市内で3月1日、「ジョン・ガリアーノ(John Galliano)」が08/09年秋冬コレクションを発表した。ケネス・アンガー(Kenneth Anger)のアートフィルム『快楽殿の創造(The Inauguration of the Pleasure Dome、1954)』からインスパイアされた鮮やかな色彩で、東洋趣味いっぱいの享楽的な世界を繰り広げた。バイアスカットやローウエストのシフォンドレス、ふわりと揺れるシルクのスカート、シースルーのシフォンドレスにはボクサーショーツを合わせる。オリエントなプリント、テーラリングジャケットなど、ガリアーノらしさが随所に表れた。羽根や毛糸の帽子はスティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)によるものだ。コレクションに際し、ジョン・ガリアーノが新作について語った。
(3月7日、AFP)
ケネス・アンガーなんて懐かしい名前。ガリアーノは英国のロマン主義の詩人、コールリッジにも言及している。コールリッジの「クーブラカーン」は麻薬の吸引によって生じた陶酔状態のなかで見た幻覚を、目覚めてから急いで文章にしたものと言われている。

フランスで人気のバンド「東京ホテル」
★TF1によると、フランスで「東京ホテル」というバンドが凄い人気なんだそうだ。「東京ホテル」といっても日本のバンドではなく、ドイツのバンド。フランスの若者のドイツ語履修者が増え、プチ・ドイツ語ブームをもたらしているようだ。何で東京なのかというと、バンドのメンバーが東京好きで、大都市の混沌を想起させ、ホテルは、ホテルを泊まり歩くツアーのイメージだそうだ。サイトを見ると、去年来日するはずが中止になったみたい。
□公式サイト http://tokiohotel.pop24.de/
Schrei / Tokio Hotel

カンヌで話題になった『コントロール』が15日から公開
■昨年の第60回カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品として上映され、カンヌ国際映画祭カメラドール/スペシャル・メンション賞を受賞したことで話題になっていた『コントロール』がいよいよ日本公開される。英国が誇る伝説的なバンド、ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストであり、23歳という若さで自らの命を断ったイアン・カーティス。監督・プロデューサーには、U2、デヴィッド・ボウイ、ビョーク、ローリング・ストーンズをはじめとしたレコード/CDジャケットのスリーブ写真や、デペッシュ・モード、ニルヴァーナ、ニック・ケイヴといったミュージックビデオでもお馴染みの写真家/映像作家のアントン・コービン。
■イアン・カーティスを演じるのはUKのインディーズ・バンド“10000 Things”のヴォーカリストであり、本作が映画初出演となるサム・ライリー。イアンそのものが憑衣したかのようなレプリカぶりは目を見張るものがある。またジョイ・ディヴィジョンの残されたメンバーで構成されたニュー・オーダーが、本作品のために楽曲を提供しているのも話題のひとつ。
(Groovin High web magazine)

□公式サイト http://control-movie.jp/indexp.html
Control-trailer(フランス語の字幕)
Joy Division / She's lost control(本物)

今週のiPod
"あじさい"
サニーデイ・サービス
in 「東京」(1996)
★ストリングスの軽やかなイントロが春の到来を告げるようだ。あじさいの季節はもう少し先だが、VCは春先の風景がイメージされている。この曲が入っているアルバム「東京」も桜のジャケットだし。何かの雑誌に曽我部惠一(サニーデイ・サービスは解散し、リーダーが曽我部惠一BANDとして活動を継続)は「平成の昭和」と書かれていたが、それはサニーデイ・サービスについても言える。平成の時代に再構成された昭和。歌詞を聴いていると、複数の昭和的なクリシェをうまく組み合わせているとか、昭和以上にストレートに昭和を打ち出すとか、かなり技巧的なんだが、それが自然な形で歌われている。昭和っぽい雰囲気だけど、全然古い感じがしない。フォークっぽい雰囲気だけど、音の方は確実にロックのグルーブを感じる。「MUGEN」も名盤。「・・・なんです」という言い方なんか、「はっぴいえんど」を思い出させるが、細野晴臣の「恋は桃色」のカバーもしている。
SUNNYDAY SERVICE / あじさい


東京
東京
posted with amazlet on 08.03.16
サニーデイ・サービス
ミディ (1996/02/21)
売り上げランキング: 26189
おすすめ度の平均: 5.0
5 20代のあの頃を蘇らすアルバム
5 10年遅れで聞きました
5 本当にいいアルバム



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2008年03月14日

『微熱少年』 松本隆

A LONG VACATION 20th Anniversary Edition作詞家松本隆の唯一の長篇です。映画化もされました。微熱といっても闘病生活の話ではなく、ビートルズ来日の年に16歳だった少年の恋とロックンロールの自伝的小説です。大滝詠一の『 ア・ロング・ヴァケイション』に収められた情景がいくつも出てくるので、このアルバムを聴きながら読むと、一層楽しめます。

『微熱少年』とは、少年らしい熱い血潮を燃えたぎらせることなく、かといって覚めきっているわけでもなく、静かな情熱を保って生きる少年を意味します。早くに妹を亡くし、東京の変貌をまのあたりにした松本隆は、喪失の予感のなかで生きていました。その淋しさは、当然ながら、恋愛によって解消されるどころか、かえって増幅され、少年はさらに傷ついていきます。吉本隆明はこの小説を「著者の鎮魂の物語」と評しました。それはロックンロールの魂、つまり少年の魂を鎮めるということです。


微熱少年
微熱少年
posted with amazlet on 08.03.13
松本 隆
新潮社 (1985/11)
売り上げランキング: 349024
おすすめ度の平均: 4.5
5 本屋で偶然・・・見つけた。。
4 青春だね


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2008年03月12日

大学でフランス語を履修しよう!

このブログはフランス語を学んでいる人たちにフランス関連情報を提供しようという目的で運営していますが、もちろん、大学でフランス語を履修している学生さんたちも重要なターゲットです。

ディコ仏和辞典 プチ・ロワイヤル仏和辞典 実用フランス語技能検定試験 仏検合格のための傾向と対策5級

大学入試も終わりつつあり、大学がすでに決まった学生さんの中には、第二外国語を何にしようかと悩んでいる人も多いかと思います。大学によってはあまり考える時間もなく(トライヤル期間のある良心的な大学もありますが)、適当に選んでしまう学生さんも多いようです。また選ぶ時点であまり情報がないというのも現実のようです。少なくとも大学で1年以上付き合わなければならない科目ですので、フランス語を通して何が学べるか、どんな情報を得られるのかを、このブログを読んで参考にしてみてください。

読者の皆さん、もし、親類やお知り合いに新しく大学生になる方がいらっしゃったら、こういうブログがあると口コミで伝えていただければ幸いです。

ときどき学生さんにブログのアンケートを取るのですが、中でも多いのが「大学の先生がやっているブログなんてどうせつまらないのだろうと思ったが、意外に面白かった」(もちろんこのブログは大学教師だけでなく、いろんな人が参加しています)という意見で、それなりに好評のようです。このブログはフランスのブログと言いつつ、日本のことを書いたり、アメリカのことを書いたり、よくフランスとは別の方向にも脱線します。ときどき混乱する学生さんもいるようですが、そちらの方が良いって言ってくれます。昔と違って、今は何がフランス発なのか、はっきりしていませんし、文化もハイブリッド化、雑居状態なので、その方がリアリティーがあるのかもしれません。

かつての文化大国の威光は色あせ、EUの中に埋もれつつありますが、メディア露出度の高い新大統領のおかげで良くも悪くも以前よりは話題に上ることも多くなりました。また日本人にとってフランスは相変わらずオシャレな憧れの国のようです。一方で、マンガやアニメ、J-ROCKなんかが、逆にフランスの若者の憧れの対象になっています。またグローバル化が進んだ状況では、フランスと日本は同じ現実や問題を共有することになります。フランスのことを書いていたとしても、それは日本のことや、世界全体のことに何かしら通じているのです。逆もまたしかりです。

「4月からフランス語をやってみよう」という人たちへのささやかなアドバイスになるような記事(アンケートで学生さんたちに人気のあった記事でもあります)やサイトなどをピックアップしておきました。

★言葉を学ぶとはどういうことか
□「フランス語を話せれば」(bird dog)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/27923622.html
□「メトロの中の日本語」(bird dog)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/23335530.html
□「パリのカフェ的コミュニケーション」(cyberbloom)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/29258434.html
□「アウェイで戦うために」(cyberbloom)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/19644800.html

★フランスは今どんな感じ?
□「フランスの日本ブーム」(動画 from youtube)
http://jp.youtube.com/watch?v=fzvI-4oMWBo
□「コカコーラ・レッスン」(bird dog)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/23405871.html
□「さらばシベリア鉄道」(黒猫亭主人)
http://frenchbloom.seesaa.net/article/25273152.html
□「自転車でパリは美しくなる」(cyberbloom)
http://cyberbloom.seesaa.net/article/46632579.html
□「フランスのオタク文化-子供の発見」
http://cyberbloom.seesaa.net/article/20389300.html
□「フランス文化の死」(cyberbloom)
http://frenchbloom.seesaa.net/article/73039018.html

★フランス語検定試験(文科省後援、5級から)
http://www.apefdapf.org/


  


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2008年03月11日

豊田市美術館

surrealismto.jpg私の名付け親は絵の先生で、幼い頃、アトリエに遊びに行っては山積みにしてある色々な画集をひっぱりだして眺めているのが好きでした。子供心に惹かれたのは、印象派のような色彩の美しい絵よりも、ミロやダリやエルンストといった「何だかわけのわからない」絵でした。落書きのような奔放なミロの作品を見ていると愉快になってくるし、写真のようにリアルで、しかも人の手足が伸びたり縮んだり、トラだの蟻だの溶けたような時計だの出てくるダリの絵は、怖くて仕方がないけれど、しばらくするとまた見たくなってそーっと本を開いてしまうのでした。


今でもシュルレアリスムの絵画を見ると、その頃に覚えたのと同じ気持ちになります。何を言いたいのか意味が探し出せない不安と、同時に心の奥底を覗かれたかのような当惑、そしてあまりにもの突拍子の無さに逆にこみ上げてくるおかしさ・・ この芸術運動が芽生えてから80年以上が経過しているのに、その作品は今なお新鮮です。


普段見慣れたものも、思いも寄らぬ状況下に集められると、我々はとまどってそれらの関係を理解しようとします。そのように何でも合理的に解釈しようとする我々を笑い飛ばすかのように、シュルレアリスムは次から次へと不思議な作品を提供してきました。そして合理性や「こうでなければならぬ」といった偏見から解き放たれた自由な想像力が存在することを、教えてくれたのです。


今年はシュルレアリスムに関する展覧会が日本各地の美術館で多く開催されています。現在は愛知県の豊田市美術館「シュルレアリスムと美術ーイメージとリアリティーをめぐって」と題された企画展が催されていて、先日見学してきました。


決して大規模ではありませんが、シュルレアリスム、およびその周辺の芸術家たちの作品がまんべんなく集められ、この芸術運動の流れがコンパクトにまとめられています。なかでもルネ・マグリットの作品は、有名な「大家族」をはじめ、注目すべき絵画が多く見られました。ダリの3点からなる大きな連作には圧倒されましたし、メレット・オッペンハイム(写真中)やジョゼフ・コーネルのオブジェは小さいながらも印象的でした。


toyotam.jpg豊田市美術館は、ニューヨーク近代美術館の新館を設計した谷口吉生による建築自体をも楽しめる美術館です。緑と水に囲まれて静かにそびえている建物の外観、そして開放的で繊細な内部空間の設計を、展示作品とともにぜひ味わっていただきたいです。現代美術を中心とした常設展示もなかなか面白いので、この夏休みにちょっと遠くまで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


「シュルレアリスムと美術」展は9月17日までの開催です。9月15日からは、姫路市立美術館「シュルレアリスム展 謎をめぐる不思議な旅」展が始まります。こちらはまた別の企画展で、違った観点でまた他の作品が集められています。この美術館も、れんが造りの素敵な建物なので、建築ともども展示作品を楽しんできたいと思っています。




exquise(2007年8月24日)

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2008年03月10日

週刊フランス情報 3 - 9 MARS 後編 世界的インフレと日本の低自給率

ECB当局者が商品価格の危険性を相次ぎ警告、金融市場を注視
■欧州中央銀行(ECB)当局者は7日、食品・エネルギー価格がもたらすインフレの危険性に相次いで警告を発した。さらに振れが大きい金融市場を引き続き注視する姿勢を示した。前日に金利据え置きを決めた欧