2008年02月29日

養老天命反転地

yoro1.jpg家から日帰りで行ける範囲内には、面白い美術館や施設がいろいろあることを発見し、休みを利用して美術館に行く機会がこのごろ増えました。先日は、荒川修作がマドリン・ギンズと共同で設計した養老天命反転地(岐阜県養老郡養老町)へ行ってきました。


入り口ではヘルメットが貸し出され、「今日は風が強いので、足下にお気をつけ下さい」と注意書きがあるのに少々ビビりながら中へ入ってみると、カラフルな建物がまず現れます。「オフィス」とされているものの、内部は迷路のように区切られ、起伏が激しくデコボコした通路が広がっていて、いわゆる「オフィス」のイメージとはほど遠い作りになっています(写真上)。天井も同じような仕様になっているので、上下が逆さまになったかのような錯覚に陥ります。



yoro2.jpg「オフィス」を抜けると、またもや異様な光景が(写真中)。「極限で似るものの家」と名付けられたこの建物の内部は、人ひとりが入れるくらいの通路が交錯し、その通路を仕切る壁が、ところどころに置かれたソファーやガスレンジといった家具を分断しています。



さて圧巻はこちら(写真下)。楕円形にくりぬかれた土地に木々が植わり、日本地図だの屋根瓦だのが埋め込まれ、私たちはほとんどすべての部分を通ることができます。決まった順路も無いので、歩き方は自由。外側を、英語、中国語、フランス語、ドイツ語で表記された街路図が覆い、その外壁づたいに行けば、周囲の山並みも含めて壮大な風景を一望できます。



yoro3.jpgこの施設には平らな部分はほとんどといって無く、気をつけていないとよろめくし、転ぶし、不自然な姿勢を取らされるし、頭をぶつけることもあるし、全く「人にやさしくない」作りになっています。けれども、地を踏みしめて進んでいくうちに、普段使っていない筋肉の存在を感じたり、目や耳を使って周囲に注意を払ったりすることになり、生きている自分の肉体を実感することになります。


桜の花びら舞う心地よい天気のもとで、芸術作品を身をもって存分に体験することができた一日でした。自分の体力の無さも同時に痛感したけれど・・



exquise(2007年4月12日)

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2008年02月27日

『人間失格』 太宰治

人間失格 (集英社文庫)冒頭付近の「恥の多い生涯を送って来ました」は落語の出だしにつかえるんじゃないでしょうか。この一文は取り扱い次第ではかなりユーモラスです。おそらくは自身の人間的な深層部分をもちあぐね、死にまで至った作者には申し訳ないのですが、この一文のあと、周囲の人々を笑わそう=楽しませようとした自身の失敗談&醜態の開陳が続くわけで、つまり周囲に気を配りまくって笑いをとろうとする自意識過剰なあほさ加減をさらに自嘲的に書き連ねていくわけですから、「笑い」の分野ではかなり高級なジャンルに相当するんじゃないでしょうか。この作品を通じてぼくも健康的に自己批判できました。「笑う」ってのは申し訳ないような気がしますが、笑ってしまうほうが太宰治の心にも近づけるんじゃないかとぼくは思っています。暗い深刻さとはべつの次元で読むほうが、故人も喜んでくれるんじゃないかな。津軽の新興資産家でなく大阪下町の商人の家で生まれていれば、太宰治は、ユーモアたっぷりの事業家にもなれたし、生粋のストーリーテラーとして上方落語の名人にもなれたんじゃないだろうか…。


人間失格 (集英社文庫)
太宰 治
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5 重い・深い・・・


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2008年02月26日

仏熱狂!48年ぶり米アカデミー賞主演女優賞で

■25日の第80回米アカデミー賞で、フランス人のマリオン・コティヤールさん(32)が「エディット・ピアフ 愛の讃歌」(オリビエ・ダアン監督)の熱演で主演女優賞を獲得したことで、フランスは喜びに包まれた。仏人女優の同賞受賞は故シモーヌ・シニョレさん以来、48年ぶり。
■主演女優賞獲得の朗報が飛び込んできたのはパリ時間の同日未明。フィガロやルモンドら主要紙が一面で報じたほかテレビも感激の受賞風景を終日、放映。サルコジ大統領、フィヨン首相、アルバネル文化相らが次々祝電を打った。
■コティヤールさんは同日付けのフィガロ紙との会見で、「私には常に大きな夢があった」と述べ、その夢の1つの実現に期待感をにじませていた。すでに2本の米映画の出演交渉を受けていることも明らかにした。
■コティヤールさんは国内での主演作品数も少なく、注目度も低かったうえ不世出の伝説の歌手、ピアフを演じるとあって当初、失敗が懸念されたほどだ。予想外のヒットで出演料も最終的に値上がりした経緯がある。
(2月26日、産経新聞)
★「国内での主演作品数も少なく、注目度も低かった」とあるが、リュック・ベッソン製作の「TAXi」シリーズの主人公ダニエルの恋人、リリー役と言えばピンと来ないだろうか。また『アメリ』で有名なジャンピエール・ジュネ監督の『ロング・エンゲージメント』(2004年)で第30回セザール賞助演女優賞も受賞している。

□「エディット・ピアフ―愛の讃歌」公式サイト
□映画『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(予告編 from youtube)
Edith Piaf - Hymne à L'Amour(from youtube)


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2008年02月25日

週刊フランス情報 18 - 24 FEVRIER 後編

サルコジ仏大統領の暴言ビデオ、ネット上で話題に
■フランスのサルコジ大統領が、一般人の男性に向かって「消え失せろ」と言うシーンが写った動画が、インターネット上で話題になっている。この動画は、パリジャン紙の記者が23日、パリで行われた毎年恒例の農業イベントで撮影。サルコジ大統領は、手を差し伸べた相手から「触らないでくれ。汚らわしい」と言われたのに対し、笑顔のまま「消え失せろ、ばか野郎」と答えた。
■パリジャン紙のスポークスマンによると、動画は同紙電子版(www.leparisien.fr.on)に掲載され、24日昼までに35万人以上が閲覧。「(動画が)かなり議論を呼んでいる」という。 サルコジ大統領の支持率はこのところ急落。ジュルナル・デュ・ディマンシュ紙の世論調査では、支持率は過去1カ月で9%ポイント低下し38%となっている。
(2月24日、ロイター)
★TF1でもこの映像が流れていた。"pauvre con"なんて大統領が人前で使う言葉じゃないですね。ちょっと前にもブルターニュの猟師たちのストの現場に行った際にも、暴言を吐いて問題になっていたところだった。フランス語のやりとりは、こんな感じ。
"Ah, non. Touche-moi pas…"
"Casse-toi alors !"
"Tu me salis…"
"Casse-toi alors, pauvre con !"
★大統領選挙でもフランスは真っ二つに割れたわけだし、最近は支持率も下がっているというから、大統領に反感を抱いているという人は多いのだろう。
□TF1「Dérapage verbal de Nicolas Sarkozy au Salon de l'Agriculture

サルコジ2世 県議選出馬
■フランスのサルコジ大統領の二男、ジャン・サルコジ氏(21)は20日、3月の統一地方選でパリ郊外オードセーヌ県の県議会選挙に出馬すると表明した。ジャン氏は21日付のフィガロ紙との会見で「熟知し、愛している町のために奉仕するときが来た」と出馬理由を説明。「地方選だし、大統領は度量が大きい」と父親に迷惑をかけることにはならないと指摘。大統領一家による「選挙君主制」との批判に対しても「フランスでは民主主義がうまく機能している」と反論した。
(2月22日、産経新聞)

ソシエテ・ジェネラル、赤字33億ユーロ
■フランスの銀行大手ソシエテ・ジェネラルは21日、07年10~12月期決算で、米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の損失が20億ユーロ(約3200億円)に上ったと発表した。トレーダーによる巨額損失事件もあり、同期の最終損益は33億5100万ユーロの大幅赤字となった。ソシエテ・ジェネラルの経営陣は独立路線を主張しているが、他の欧州系銀行は買収の標的にしている。
■サブプライムローン絡みで保有する証券化商品に損失が発生したほか、巨額損失事件による損失が49億ユーロに上っていることもあり、前年同期の約12億ユーロの黒字から一転して赤字に陥った。ソジェン(ソシエテ・ジェネラルの通称)は、トレーダーの不正による損失や、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を受けた20億ユーロの評価損計上を受けて、55億ユーロの株主割当増資を行う。既存株主に対し21日、大幅なディスカウントで新株が割り当てられる予定。ソジェンは、株主割当増資を受け1株利益が希薄化されるため、その影響を緩和するために自社株買い戻しを継続すると明らかにした。ソジェン株は今年に入ってこれままで、30%近く下落している。
(2月21日、毎日新聞)

【動画】独立反対派に放火され炎上する検問所、コソボ自治州
コソボ自治州の独立宣言から2日後の19日、独立に反対するセルビア系住民がセルビア-コソボ自治州間の境界にある2つの検問所を放火した。放火のあった検問所はBanjaとJarinje。住民1000人以上が検問所内で略奪行為を働いた上、放火して逃走したという。この暴動により、独立宣言以来初めて国際治安部隊が介入した。
(2月20日、AFP)
コソボ問題について(wikipedia)

イスラム金融がもたらす多様性、金融システムの安定性高める点に期待=日銀総裁
■福井総裁は、イスラム金融の発展は「基本的に金融市場や金融取引の多様性を増すものだ」と指摘。金融市場の発展やビジネスチャンスの拡大を促すことや、金融による資源配分機能向上を通じて、実体経済にも良い影響を与えることに期待感を示した。さらに「多様性が高まることは、一様な市場参加者や取引形態だけの場合と比べて、ストレス時における金融市場や金融システムの頑健性を高める」として、国際金融システム全体の安定性を高める観点からも重要だ、との認識を示した。
■一方で「現在広がりをみせているような姿のイスラム金融は、グローバル化した金融市場の中でのストレス時の経験が、まだあまりない」とも指摘。「金融市場や金融システムのストレスへの耐性は様々な危機を乗り越えていく中で培われていくものだけに、この点は今後も注意深く見守っていきたい」と注視していく姿勢も示した。
(2月23日、ロイター)
★原油価格の高騰で膨らみ続けるオイルマネー。福井総裁の言うように、サブプライム問題にゆれる欧米の金融機関の増資に応じて、存在感を示し、世界金融の混乱を救った感がある。カタールの首相が19日、米欧の銀行株の購入に今後1年で最高150億ドル(約1兆6,200億ドル)を投じる方針を示し、現在進行中の2012年のロンドン五輪のインフラ整備にもオイルマネーが大活躍していると聞く。
★そしてオイルマネーは日本にも興味を示している。ドバイ政府系ファンドのドバイ・インターナショナル・キャピタル(DIC)の幹部も19日、東京都内で会見し、現在投資しているソニー以外にも日本株への投資を模索していることを明らかにしている。
★東京証券取引所は格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)と共同でイスラム投資家向けの株価指数「S&P/TOPIXシャリア指数」を開発し、12月3日から算出・配信を開始している。イスラム諸国では、豚肉やアルコールを摂取したり、お金を貸して利子を取ることが教義に反するので、このような事業を行なう企業への投資ができない。そこで「広告・メディア、酒類、金融、ギャンブル、豚肉、ポルノ、タバコ、金銀取引」など不適合業態や、財務状況などをチェックした上で日本株の銘柄を選定し、イスラム諸国の投資家が売買可能な銘柄の値動きの目安として「S&P/TOPIXシャリア指数」を算出。「オイルマネー」を呼び込みやすい環境を整えている。



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2008年02月23日

週刊フランス情報 18 - 24 FEVRIER 前編

ジョニー・デップが結婚しない理由
GOSSIPS PRESS (ゴシップス・プレス) 2008年 04月号 [雑誌]■フランス人女優で歌手のヴァネッサ・パラディとの間に、8歳の娘と5歳の息子がいるジョニー・デップ。ヴァネッサと2人の子どもをこよなく愛する家族思いな俳優として知られる彼だが、ヴァネッサとデップは、いまだ結婚をしていない。それはなぜか? 過去にデップ本人が明かした理由は「美しいヴァネッサ姓を変えさせたくない」というものだったが、結婚しない理由はどうやらほかにもあるようだ…(続きはタイトルをクリック)
(2月19日、BARKS&ゴシップ・プレス)

いのちの食べかた
■誰もが毎日のように食べている肉や野菜が食卓に並ぶまでの過程を追い、世界中の映画祭で大反響を呼んだドキュメンタリーがある。監督は、ドキュメンタリーを中心に活躍するオーストリア出身のニコラウス・ゲイハルター。現代社会の食を支えるべく、大規模な機械化によって生産・管理される食料生産の現場の実態に迫っている。効率を徹底して追求し機械化された農業や、淡々と映し出される食肉処理の光景に、あらためて食や生きることの意味を考えさせられる。
■ストーリー: 誰もが毎日のように食べている大量の食品は、どのような過程をへて消費者の手に届くのか? 現代人の命を支えながらも、ほとんど知られていない食料生産の現場に密着。ベルトコンベヤーに注ぎ込まれるヒヨコの群れ、自動車工場のように無駄なく解体される牛など、大規模な機械化により生産・管理された現場の実態が映し出される。
(シネマトゥデイ)
□「いのちの食べかた」公式サイト
□「いのちの食べかた」英語版サイト
★この前、映画「ファストフード・ネイション」の紹介記事の中でフードファイターを批判したが、世界的に活躍するフードファイター、小林尊がこういうメッセージを発している。説得力があるような、ないような。いずれにせよ、日本で廃棄される食料の多さは有名で、メッセージにあるように年間約200万トン(CO2換算で約50万トン)にもなる。それで世界の飢餓の半分以上が救えるというデータもある。一方で日本の食料自給率は40%と著しく低い。金に任せて世界中の食料を買い漁れる時代はとっくに終わっていて、小麦の値上がりに象徴されるように世界の食料の需給はすでに逼迫している。そうなると買い手の立場は非常に弱くなる。買いたくても売ってもらえない、食の安全なんて贅沢を言ってられない、そういう時代が来るのはそう遠くないかもしれない。

エスプレッソ片手に1本いかが?
■今年1月に全面禁煙となったパリのカフェ。愛煙家には大迷惑な話だが、キャンディ・メーカーは笑いが止まらないようだ。口寂しい人たちのお供にと、各社が駅の出口でサンプルを無料配布するなど、販促活動に鎬を削っている。
■なかでも目を引くのが「チュッパチャプス・リラックス」だ。タバコの代用品というコンセプトをデザインに取り入れ、パッケージはタバコの箱そっくりに作られている。本来なら健康への悪影響が書かれている位置には、「リラックスして気持ちよくなる恐れがあります」と明記するなど、遊び心も満載だ。こうした禁煙キャンディは、バー併設のタバコ屋でも売られている。
■この禁煙騒動に反応したのは、キャンディ・メーカーだけではない。大手ガム・メーカー、フリーデントはバー併設のタバコ屋1500店にある「喫煙コーナー」という表記を「ガム噛みコーナー」に変更してほしいと本気で要請したほどだ。ガム・メーカーの調査によると、「チューインガムが禁煙に効果的」と回答したフランス人は52%にも上ったという。
(2月18日、COURRiER Japon + hitomedia)

ヒップホップ界のスターと手を組むルイ・ヴィトン(FBN-main blog)
■ルイ・ヴィトンは今月、ヒップホップ界の売れっ子プロデューサーチーム、ネプチューンズの片割れ、ファレル・ウィリアムズのデザインによるジュエリー”Blason”(「紋章」)を発表しました。アフリカ美術、アール・ヌーボーからデザイナー本人の刺青まで様々なインスピレーションから作り上げた26点は、まだ一部しか公開されていませんが、石座がリバーシブルになるしかけの指輪など、ゴージャスかつ凝った仕上がりです。(続きはタイトルをクリック)
ルイ・ヴィトンとファレル・ウィリアムス、コラボジュエリーを制作
(1月7日、AFP)
ルイ・ヴィトン新作ジュエリー「Blason」発表記念パーティー
(1月24日、AFP)

今週の1冊
父ボース―追憶のなかのアジアと日本父ボース―追憶のなかのアジアと日本』 樋口哲子/中島岳志編・解説
■「中村屋のボース」で知られる、インド独立運動の闘士R・B・ボースの実娘が語る、父の肖像。磊落な家庭人でありながらアジア解放を懸命に模索した革命家とその時代がよみがえる。解説は「パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義」で注目を集める中島岳志氏。同氏の前著が「中村屋のボース―インドの独立運動と近代日本のアジア主義」である。
□「中村屋のボース―インドの独立運動と近代日本のアジア主義」(by 黒猫亭主人)

今週のiPod
"Bluestocking"
Momus
in Hippopotamous (1991)
■好んで読んでいるブログの人がモーマスのこのアルバムのことを書いていて聴きたくなり、アナログから iTunes に落とした。アコースティック一辺倒からエレクトロニカ路線へ完全に移行した頃の作品だが、なかでもとぼけた味わいのこの曲がいちばん気に入っている。サド、バタイユ、三島などといった文学的素養を下敷きに、さまざまな愛の形が歌われていても、卑猥、というよりも何かユーモラスでドライな感じがするのは、バリバリのテクノではなく全体的にどこか牧歌的なところを残した音によるものだろうか。最後に聞こえてくるささやくような女性のフランス語のナレーションも素敵だ。最近の彼の作品はほとんど知らないのだが、オフィシャルサイト(http://imomus.com/)なども見つけてまた聴いてみたくなった。(exquise)
I am a kitten★モーマスは日本の女性アーティストたちと共演しているが、カヒミ・カリイもそのひとり。パリで「I am a kitten」(フランス語で歌われている)をレコーディングしている。カヒミ・カリイは小山田君とのコラボもいいが、モーマスも彼女の魅力をうまく引き出している。淡々としたボサノバ風の音がウィスパー・ボイスと合っている。もうひとりは、モーマスの2nd「ポイズン・ボーイフレンド」にインスパイアされ、ポイズン・ガール・フレンドというユニットを作った Noriko というアーティスト。モーマスが93年に彼女を全面的にプロデュースしたのが「シャイネス」。こちらは浮遊感のあるエレクトロな音だったと記憶している。1曲目のタイトルが「マダム・ド・サド」。
★個人的に印象深いモーマスの曲は、金子修介の映画にインスパイアされたという「1999年の夏休み」。こちらは抑揚のない日本語のナレーションが余計。
Kahimi Karie & Momus / I am a kitten(Je suis un chaton)
Kahimi Karie & Momus / Good Morning World
Momus / Summer Holiday 1999




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2008年02月21日

カナダ・ケベック州の早春 メープルシロップの里を訪ねて(2)

quebec04.jpgメープルシロップには、まず、サトウカエデの幹にドリルで穴を開け、5センチ長さの差込口のある直径1センチの透明な青色のチューブを差込む。チューブは、落葉樹の森を縦横に縫い、太陽の光を透かしている。樹液は重力によって連結した太いチューブに流れ、運搬用樽に収穫される。また、砂糖小屋に直結しているチューブもある。この方法には傾斜が必要なため、砂糖小屋は森の低い場所に建っている。採取されるのは1本の木の糖分の10分の1で、寿命を縮めたり、成長を妨げる量ではなく、幹の穴の数も制限している。シーズンが終われば、穴は、ゆっくりと自然の力で塞がる。

平均的に、1シーズンに1本から35〜50リットルの樹液が採取され、1〜1.5リットルのメープルシロップが出来上がる。この砂糖小屋の1日の収穫量は、少ない日で600リットル、通常は1200リットルで、4000リットルまで対応できる。集められた樹液は、まず浸透膜によってシロップと純水が50%対50%に分けられる。かすかに黄色味を帯びたシロップは、口に含むとうすい砂糖水のよう。ステンレス水槽の中で青く澄む水は、瓶詰めにして酒類を割る水として出荷される。

そして砂糖水は104℃で時間をかけて煮詰められ、最終的に、水分の95%が除かれ、糖度は66%以上になる。煮詰めることで独特の風味と色が加わり、琥珀色の液がドラム缶に溜まっていく。辺りはカラメルの様な香ばしさに包まれる。テイスティングと称して木のヘラをかざし、熱いシロップを受けて口に運ぶ。大人も子供も、その場所から離れられない。


quebec03.jpg外のテーブルでは昼食の準備。持参したサラダ、マリネ、何種類ものチーズ、ハム、フランス風のパン、ワインが並べられた。出発前に生地を仕込んだ、そば粉のクレープを交代で焼く。17世紀フランスからケベックに渡来した移民のふるさとブルターニュ風。半量が焼きあがったころ、メープルシロップの出来立てが中央に置かれた。熱々を贅沢にかけたクレープは、ケベックの味。

作業場の端では、このメープルシロップを、さらに別の電気鍋で111〜117℃に上昇するまで、かき混ぜないで煮詰めている。そして、きれいな雪を固めて敷いた台(仏語:Palette)に窪みをつけて、この濃いメープルシロップを落とす。鼈甲飴のようなトフィー(仏語:Bonbon au caramel dur)である。ガイドブックで見たのは、観光客が横に並び、アイスキャンデーの棒状のもので巻き取っている写真だった。ここでは、ご飯しゃもじ大のサイズ。わんこそばのように次々に落としてもらい、豪快に巻き取って口に運ぶ。皆の幸せな笑い声が森に響く。

そして、その濃い液を急速に冷やしながら撹拌すると、クリーム状のメープルバターの出来上がり。メープルシロップは糖分、カリウム、ナトリウム、カルシウム、ビタミンB1・B2を含み、脂肪を含まない。「バター」という言葉は、アップルバター(ジャムより濃いもの)と同じく、単に濃縮されたものを指す言葉でもあるようだ。最近はメープルスプレッドとも表示されている。

お腹が満たされると、アイヌの楽器ムックリに似た口琴、縦笛、ミニのシンバル、蛙の形の打楽器が取り出され、即興の合奏。楽器を手にしない人は踊る。友人達は、腰にサッシュを巻いていたり、帽子を被っていたり、どこか民族衣装っぽい格好に見える。長い冬を抜けて、春を迎える祭事を心から楽しんでいる、ケベックのフランス系の人達。彼らケベコワの合言葉 ”Joie de vivre”(生きる喜び…人生を楽しく!)は、ここにも健在である。



Sophie

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2008年02月20日

カナダ・ケベック州の早春 メープルシロップの里を訪ねて(1)

北米最大のフランス語圏であるカナダのケベック州は、世界のメープルシロップ(仏語:Sirop d’érable)の80%を出荷している。州都ケベックシティ(正式名はケベックであるが州の名前との混同を避ける意味で、こう呼ばれることが多い。)周辺は、サトウカエデの豊かな森が広がり、「砂糖小屋」(仏語:Cabine à sucre)と呼ばれるメープルシロップの作業所が点在している。マイナス35℃という厳しい寒さを越して色鮮やかなカエデなどの紅葉の雄大な景色は、ケベックの秋の風物詩で日本人観光客もツアーに多く訪れる。先ごろ3月末から2週間この地に滞在した私は、プレシスビルにある砂糖小屋に遠足に出かけた。

quebec01neige.jpg今季(2007年)のケベック州は2月になってから大雪が続いて、ケベックシティの旧市街周辺も、まだまだ雪国の佇まいだった(写真、上)。前日のボタン雪の嵐が止んで一転、澄み切った青空が広がり、風は冷たいものの、春を思わせる陽光の射す朝を迎え、車に食料を積み込み出発した。1時間あまりの後、アスファルトの高速道を降り、雪解けでぬかるんだ小道を進むと、木立の中に、煙突から蒸気が空に向かって勢いよく上がる緑の屋根、白い壁の建物が現れた(写真、下)。2年前に電気系統の故障から火災にあって、その後に新築されたという、友人の実家の真新しい砂糖小屋である。


この辺りのメープルシロップ農家は、毎年1月末から準備を始める。夜は氷点下で、昼の気温が、ようやく0℃を上回る2月下旬に、冬の眠りから覚めたサトウカエデの樹液は、芽吹きに向けて活発になる。そして、昼間の気温が3〜5℃の日が数日続く3月中旬から4月中旬に繁忙期を迎え、5月14日に仕事納めとなる。気温が上昇し、新芽が出てからは、味の良い樹液は採れない。友人の実家では、28000本のサトウカエデから樹液を採取している。自然林で、幹の太さ、高さも様々で、樹齢は150年から200年のものが多い。樹液が取れるまでに約40〜60年かかっている。春の雪解けの頃、成長期に幹に蓄えられた澱粉が酵素の働きによって糖分に変わる。そして、糖分は根元から吸収された水分に溶けて樹液となり、成長エネルギーとして導管内を流れる。それを採取して濃縮したものがメープルシロップである。色や品質によって5段階3等級がある。

quebec02maple.jpgサトウカエデは、カナダと合衆国の一部に生育する。昔、この地の先住民であるアメリカインディアンは、サトウカエデの樹液をリスが吸っていたのを見た。さらに、戦闘用の斧でサトウカエデの木を伐った時、樹液がしたたり落ちたので、それを容器に集め、焚き火にかけた鍋で煮詰め、メープルシロップを作った。1534年フランスの探検家ジャック・カルチエがセントローレンス河をたどって上陸以来、フランスの植民地内で先住民とフランス人は毛皮貿易などを通して友好関係を保ちながら暮らしてきた。メープルシロップの製法も先住民から伝えられた。

19世紀後半になって道具の改良、牛から馬車へと運搬手段の変化、さらに1970年代初めの技術の大幅な革新によってカナダのメープルシロップ産業は活性化した。しかし、シロップを煮詰めて作る基本の工程は今も同じである。ケベックのフランス系の人々にとっては、まだ雪の残る砂糖小屋に友人親戚が集って、メープルシロップの収穫を祝い楽しむのは早春の風物詩であり、恒例の伝統行事となっている。



Sophie

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2008年02月19日

週刊フランス情報 11 - 17 FEVRIER 後編

EU、旅行者審査を厳格化へ
■欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会(European Commission)は13日、EU加盟国に域外から外国人が入国する際、指紋採取や写真撮影などを義務付け、入国管理を厳格化する方針を明らかにした。「シェンゲン協定(Schengen)」に基づく域内での人の自由な移動を保障するためだという。このほかEU予算でカメラやセンサー、無人偵察機などの監視設備を整備することも検討される。
■新方式では、短期滞在ビザの申請には申請者の本国にある渡航予定国の領事館に生体認証情報などを提出しなければならない。この情報はビザ情報データベースに登録される。このデータはEU加盟国間での出入国時に確認され、出入国日時と場所の情報が加えられる。ビザの有効期限が切れた後に出国記録がない場合は、警告が発せられる。入国許可を受けた旅行者は「登録旅行者」となり、EU加盟国間を移動する場合の出入国手続きを担当官でなく機械で行えるようになり、手続き時間が短縮される。新制度は加盟27か国から承認がえられた場合、7年以内に実施される。
■EUでは2004年のスペイン・マドリードの列車爆破事件、2005年の英国ロンドンのバス・地下鉄爆破事件以来、フランコ・フラティニ司法・自由・治安副委員長を中心にセキュリティ対策を強化してきた。
■EUによる入国管理強化について、プライバシー・人権保護団体、難民支援団体などは、市民の自由を侵害し、紛争地帯からの正当な難民でも難民申請が不可能になるとして反発している。
(2月14日 、AFP)
★日本もアメリカも同じシステムを採用している。日本で指紋押捺問題が議論されてきたが、指紋を取られる立場になって初めて、その気持ちがわかる(仕事でアメリカによく行く友人は慣れてしまったと言っていたが)。一時、頻繁にフランスに行っていたころ、よく自分だけ別室に連れて行かれで荷物検査を受けた。パスポートにハンコが多かったからだろう。それとも格好が怪しかったからか。いずれにしろいい気分はしない。次のニュースもとんでもない話だが、おそらく何らかの偏見が入りこむからこういうことが起こるのだろう。ユーロ高だけでなく、ヨーロッパの敷居がだんだんと高くなっていく気がする。

全裸にむかれ、老舗デパートと警察、新婚夫婦を犯罪者扱い!
■2008年2月14日、楽しいはずの新婚旅行が一転、悪夢のような事件に巻き込まれた中国人夫婦の話を「中国新聞網」が伝えた。
■2月11日、欧州ツアーに参加した浙江省の新婚夫婦は、フランスのパリにある有名老舗デパート「ギャラリー・ラファイエット」でショッピングを楽しんでいた。だが彼らが支払ったユーロを同店員は偽札と判断。夫婦を地下の保安室へ連行し、ツアーの添乗員やガイドと連絡を取ることも許さぬまま、現地の警察当局に引き渡した。
■警察は2人の持ち物すべてを調べ、指紋押なつに写真撮影、全裸での身体検査を強要、妻の下着まで切り裂いて調べた。そのうえ2人に手錠をかけ、他の犯罪者と一緒に留置所へ。5時間以上拘留されたあげく、偽札ではないことが判明したため2人は釈放された。
■せっかくの新婚旅行を台無しにされた夫婦は、デパート側に猛抗議。駐仏中国大使館の職員が交渉に当たり、次の日にデパート側の責任者が2人に会うことに。翌12日、大使館職員と被害にあった中国人夫婦らは「ギャラリー・ラファイエット」の責任者と話し合いを持ち、文書による謝罪表明と損害賠償、中国大使館が現地警察に交渉する際の全面的協力を取りつけた。
(2月16日、Record China)

仏大統領の支持率4割切る、再婚報道に国民が反発か
■フランスの世論調査会社IPSOSは11日、サルコジ仏大統領の支持率が初めて4割を切って39%に低下、不支持率は58%に達したと発表した。
■支持率低下の理由は明らかではないが、昨年秋以降、インフレが進行する中、大統領が国民生活改善に無策との見方があることが、これまでの調査で浮き彫りになっている。カーラ・ブルーニさんとの再婚が派手に報じられたことへの国民の反発も指摘される。
■大統領の求心力低下により、3月の地方選を控える与党・民衆運動連合(UMP)の候補らは「これでは戦えない」と悲鳴を上げている。これを象徴するように、大統領の落下傘候補としてパリ西隣ヌイイの市長選に出馬していたエリゼ宮(大統領府)のダビド・マルティノン報道官(36)が11日、不人気を理由に選挙戦からの撤退に追い込まれた。
(2月12日、読売新聞)
★BBCのニュースを聞いていたら、パリのバンリューの若者がインタビューに対し、俺たちは諦めの境地にいるのに、いい暮らしをして、きれいな女性と結婚して、いい気なもんだぜ、と答えていた。

仏公共放送2局職員、34年ぶりスト
■フランスのサルコジ大統領が打ち出した公共放送「フランス・テレビジョン」と「ラジオ・フランス」の改革案が波紋を広げている。改革案は「英BBCにならい、公共放送から広告をなくし、番組の質を高める」という内容だが、広告収入は現在、局収入の約3割を占めており、職員が反発。両局の労組は13日、34年ぶりとなるストを行い、主催者発表で約4000人がパリ市内をデモ行進した。両局傘下のテレビ、ラジオ局では同日、生中継番組が一切なくなる異例の事態となった。
■現在、公共放送全体の予算は年間約30億ユーロ(約4800億円)で、そのうち約3分の2が受信料で賄われている。広告収入は8億ユーロ(2006年実績)を占める。局労組は大統領の改革案に対し、「将来の人員削減や民営化を招く」と反発。「政治的に左寄りの公共放送局の弱体化が狙いではないか」との政治謀略説も飛び出している。
■大統領は新たな財源として、インターネット・プロバイダーや通信会社などに対する1~2%の売上税導入や視聴料値上げを提案。だが、それで埋められるのは、失われる広告収入の約3割と見られている。
(2月14日、読売新聞)

07年のフランスGDPは2%に上方修正の見通し
■ラガルド仏経済財務雇用相は、17日に放映されるテレビ番組の中で、2007年の国内経済成長率が2%に上方修正されるとの認識を示した。先週発表された07年の国内総生産(GDP)伸び率速報値は1.9%だった。
■経済相は「確報値は5月に発表されるが、速報値は2%に修正されるだろう。その理由は第4・四半期に在庫が大幅に減ったからだ」と述べた。政府の07年成長率見通しは2.0─2.5%だった。
(2月18日、ロイター)
★ヨーロッパの景気は底堅いようだ。「米国の影響でユーロ圏経済が減速している証拠はない」=マルタ中銀総裁(12日)とか、「欧州経済、現在の金融市場混乱を乗り切れる」=オランダ財務相(11日)とか、強気の発言が相次いだ。また17日に、イギリス政府が、金融市場を早期に安定させるために、経営危機に陥っている英中堅銀行ノーザン・ロックの一時国有化を発表している。



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2008年02月16日

週刊フランス情報 11 - 17 FEVRIER 前編

日仏の論客が「オタク文化」を分析
動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)■「インターネット会議「オタク世代」」と題したセミナーが、15日、批評家の東浩紀氏、哲学者のマルク・クレポン氏、東氏の本を出版するHACHETTE社の編集者ギョーム・アラリ氏をパネリストとして迎えて東京日仏学院で行われた。 
■東氏は「機動戦士ガンダム」、「エヴァンゲリオン」などのアニメ作品についての評論活動を行い、『動物化するポストモダン』では、フランス現代思想を踏まえて日本のサブカルチャー(オタク系カルチャー)に耽溺する人々、「オタク」の文化を中心に、その起源、考え方、自由とそのあり方などを事例として「ポストモダン」における社会システムを分析している。当日は、東氏が著書に表した思想についてフランス人パネリストと討論が行われた。
(2月14日、MarkeZine)

高級ブランドチョコの案内役、ショコラ・コンシェルジュが大忙し
■バレンタインデー前の3連休の初日9日(土)、百貨店の特設売り場はチョコレートを買い求める女性たちでにぎわった。最近の高級ブランド志向を受け、世界中から集めた話題のブランドチョコレートが販売される中、東京・銀座三越では「何を選んだらいいのかわからない」「どんな味なのかわからない」といった声に応える “ショコラ・コンシェルジュ”が評判を呼んでいる。 銀座三越では1月22日、特設売り場を8階、1階、地下1階に大小合わせて3か所設け、海外ブランドのチョコレートを中心に、前年より30多い、100ブランドを展開。
マリー・アントワネット (初回生産限定版)■目玉は、ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』に登場したパリの老舗「ラデュレ」のマカロンやチョコレート。1日150箱〜200箱を用意しているが、連日行列ができる人気ぶりで、開店30分後には1日分の整理券を配り終えてしまうという。
■このように、世界中からハイクオリティ、ハイグレードのチョコレートブランドがバレンタイン限定で販売されるのが最近の“定番”になりつつあるが、一方で専門的になりすぎて、「何を選んだらいいのかわからない」「どんな味なのかわからない」といった声も高まっていた。 同店では今年初の試みとして、売り場にショコラコンシェルジュを常駐させた。昨年秋からフランスやベルギーなどに出かけ、チョコレートに関する勉強を重ねてきた社員2人が、女性客のさまざまな相談に乗っている。
■ショコラコンシェルジュによると、「今年の注目はサレ・エ・エピス系(salé et épicé?)、塩・香辛料などを使用したチョコレ−トのことです。ゆずやしょう油、さんしょうなどを使ったチョコもあります。海外のパティシエは日本の食材、バレンタイン文化に注目しているんです」。昨年に引き続き、カカオの産地や含有率が異なるテイスティング系も人気という。
■世界中のチョコレートが揃うのはバレンタインの時期だけ。チョコ選びに迷ったら、ショコラコンシェルジュを頼ってみてはいかがか。
(2月12日、オリコン)
★数年前から、ショコラティエ chocolatier 、ショコラトリ chocolaterie というフランス語が日本に定着しているが、今度は chocolat concierge 。こちらは和製仏語だろう。

日本とフランスの自転車事情
■フランス・パリ市はヴェリブとよばれる自転車貸し出しシステムを昨年7月から開始。市内約1500カ所で約2万台の自転車を事前に登録した市民に24時間・年中無休で貸し出すもので、市が広告代理店と契約し、運用コストの大半を広告費でカバーする仕組みで、大都市を抱える各国から注目されている。
(2月14日、産経新聞)
□関連エントリー「自転車でパリはより美しくなる
★産経新聞にひどい日本の自転車事情が書かれている。モラルの欠如も当然あるのだろうが、街をうまくデザインできていない行政の問題でもある。日本は都市部に人口が集中しすぎ。ヨーロッパでの様々な試みをそのまま日本に導入することはやはり無理がある。現在、道州制の導入が議論されているが、フランスや北欧をモデルにするには、人口と権限を分散させ、行政単位をコンパクトにする必要がある。

スイスの名画一斉盗難、被害額は約175億円
■スイス・チューリヒ(Zurich)の警察当局は11日、セザンヌ(Paul Cezanne)、ドガ(Edgar Degas)、ゴッホ(Vincent Van Gogh)、モネ(Claude Monet)の絵画4点、総額1億8000万スイスフラン(約175億円)相当がビュールレ美術館(Buehrle Foundation Museum)から一斉に盗まれたと発表した。
■警察が発表した声明によると、絵画は10日の午後4時半(日本時間11日午前0時半)ごろ、武装した3人の男によって盗まれた。犯人は銃で美術館スタッフを脅し、白い車両でチューリヒの南東Zollikon方面に向かったという。
■盗まれた作品は、モネの「Poppies near Vetheuil」(1879)、ドガの「Count Lepic and his Daughters」(1871)、ゴッホの「Blossoming Chestnut Branches」(1890)、セザンヌの「赤いベストを着た少年(Boy in a Red Waistcoat)」(1888)の4点。美術館の館長は、「どれも有名な作品で、公開市場で売却することは不可能」としている。
(2月12日 、AFP)

□今週の新刊
アレッサンドロ・バリッコ Alessandro Baricco 『絹』 鈴木 昭裕訳、白水社
絹■1861年、男は愛する妻と別れ、世界で最も美しい絹糸を吐く蚕を求めて、最果ての地、日本へ旅立つ。そしてそこで美しい謎と出会う。映画「シルク」原作、待望のUブックス化。
■19世紀半ばのフランス。絹が唯一の産業である町は、蚕の伝染病のため危機に瀕していた。蚕の卵の仲買人エルヴェ・ジョンクールは、世界中の卵が病に冒されている中で、最近まで鎖国状態にあった日本の蚕だけが無事であると知らされる。
■世界で最も美しい絹糸を吐く蚕を求め、若妻を残してひとり「世界の果て」の島、日本へ旅立った彼は謎の男と出会い、ようやく卵を手に入れるのだが、彼の目も心も、男の膝元にはべる少女の美しいまなざしに捉えられてしまう。旅をかさね富を得て、別の日本人女性と愛を交わしても、謎の少女への思いを満たすことはできない。そんなある日、フランスの自宅で彼は、日本語で書かれた手紙を受け取る─。愛と官能と謎の物語を、独特の音楽的な文体で綴った小説。映画『シルク』原作。
(白水社HP)
□映画「シルク>」公式サイト http://www.silk-movie.com/

□今週の ipod
"www.com"
Arthur H
in Pour Madame X (2000)
Pour Madame X■以前某シャンプーの CM で印象的な音楽が流れてきて、調べてみたらアルチュール・アッシュの曲だった。あいにくそれは CM 用に制作されたもので全貌を知ることができなかったのだが、名前だけしか知らなかったこの人の音楽世界に触れるきっかけとなった。聴いていると「いやらしい」という形容詞が頭をよぎるその声、挑発的な歌詞、そしてセルジュ・ゲンズブールの流れを受け継いだ音からして、彼の曲は真夜中という時間帯が似合う。これは深夜のネット上でのアバンチュールがテーマになっており、ときおり聞こえてくる日本人女性の声が悩ましい。それも日本語よりもフランス語で « Je suis là... pour toi (あなたのためにここにいるの…)»と語るときがことのほか官能的だ。(exquise)



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2008年02月15日

森茉莉 『記憶の絵』

kiokunoe.jpg「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し・・」と謳ったのは詩人の萩原朔太郎です。この「旅上」という詩が収められた『純情小曲集』が発表されたのは1925年(大正14年)のことですが、当時は今と違ってヨーロッパへ行くのは物理的にも経済的にも大変な時代でした。しかし幸運にも憧れの洋行を実現した日本人たちもいたわけで、ろくなガイドブックもなく、言葉もおぼつかないなかでも、刺激的な滞在を送り、興味深い記録を残している者も少なくありません。今回は森鴎外の長女で稀代の文章家である森茉莉についてご紹介しましょう。


1903年(明治36年)生まれの彼女が、先に留学していた夫に合流すべく渡欧したのは1922年(大正11年)のことで、まだ19歳という若さでした。嫁ぐまで靴のひもを結ぶのも人にやってもらっていた(!)というお嬢育ちの彼女が、夫と二人だけのパリ暮らしをやっていけるのかと思いきや、この花の都に到着すると間もなく「毛虫が蝶になるようにしてなんとも面白い巴里女(パリジェンヌ)に孵化した」というのです。


夫が外へ出ている間はホテルの中にいるだけ(一人きりで外出したのはたった一回だけだったと言います)だったにもかかわらず、彼女はパリでの生活を心の底から満喫し、(滞在中父親である鴎外の死を知らされたときは別として)日本を恋しがることもほとんどありませんでした。百貨店で買い求めたつるしの洋服を嬉々として着こなし、夜な夜なオペラや芝居を見に出かけ、街中のレストランでおいしいものを食べ歩く毎日を楽しみました。ことのほか食いしん坊の彼女にとっては、レストランで味わうビフテキや牡蠣はもちろんのこと、ホテルで出されるカフェとパンという簡素な朝食でさえ、「胸が一杯になるほど楽しいもの」でした。


ソルボンヌ大学近くの安ホテルに下宿した二人を取り囲むのは、若いツバメを連れた婆さんや商売女たち、若い恋人のいるフランス語の先生などどこかいかがわしい人々ばかり。そしていくらぼんやりとした性格の彼女でも、つまらないことで議論したり、浮気っぽかったり、少しのお金でも出すのを惜しみ「貰うものはスリッパ片方でも喜ぶ」(!)くらいケチだったりする、パリジャンたちの様々な側面がわかってくるのですが、それに幻滅するどころか、彼らの自由で、粋で、人生を謳歌する姿に共鳴して「パリが自分のほんとうの国であり、自分のほんとうのいる場所である」と感じるまでになるのです。


滞在を終えて1923年に帰国した彼女が、1987年に84歳の生涯を終えるまで「自分のほんとうの国」に戻ることは二度とありませんでした。しかし、約一年半のパリでの生活はその後彼女の人生に大きな影響を与えたのは間違いありません。彼女がパリでの思い出を『記憶の繪』と題して文章にまとめたのは実に60歳を過ぎてのことですが、40年以上も前の出来事がまるで昨日あったことのように鮮明に語られています。またお金は持っていなくとも、「貴族」的な精神をもち、上等な生活をする術を披露した「贅沢貧乏」など、彼女の珠玉の文章そこここに、パリで培われた感性が花開いています。


記憶の絵 (ちくま文庫)
森 茉莉
筑摩書房 (1992/02)
売り上げランキング: 225621
おすすめ度の平均: 5.0
5 明治・大正時代に思いをはせました



exquise

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2008年02月13日

マイ・ファニー・バレンタイン My Funny Valentine

バレンタイン・デーにまつわる音楽と言えば、やはり思い出すのは「マイ・ファニー・バレンタイン My Funny Valentine」。ロジャーズ&ハートによるミュージカル、「ベイブス・イン・アームズ Babes in Arms」(1937年)の中で歌われていた曲だが、それがジャズのスタンダード・ナンバーになり、すでに600人ものアーティストによって歌われ(あるいは演奏され)、1300ものアルバムに収められているという。

チェット・ベイカー・シングス Cookin'

大御所ではフランク・シナトラやビング・クロスビー、ジャズ・アルバムでは、マイルス・デイヴィス率いる最強のクインテットによる「マイ・ファニー・バレンタイン」(「Cookin'」収録)や、アンニュイでメロウなチェット・ベイカーの「マイ・ファニー・バレンタイン」(「チェット・ベイカー・シングス」収録)などが思いつく。

個人的に思い出深いのは、NICO が歌うヴァージョン。地の底から響いて来るような、神がかった、この世のものとは思えない声で歌われる「マイ・ファニー・バレンタイン」(彼女の死の3年前に出た「Camera Obscura」に収録)。その声にはイアン・カーのトランペットと共振するような、メタリックな質感さえあるが、長年のヘロインとタバコとアルコールの賜物なのだろうか。

The Velvet Underground & Nico Camera Obscura

NICOは伝説のグループ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground (1967年)に参加したことで知られているが、1950年代にパリでモデルをしていて、ココ・シャネルに雇われていたという話もある。ヴェルヴェツもいいが、彼女のソロアルバムも素晴らしい。どのアルバムにも彼女の人生が醸成した壮絶な内面のドラマが映し出されている。強いて挙げれば「The End」(ドアーズにインスパイアされ、イーノがプロデュース)、「The Marble Index」あたりだろうか。

My Funny Valentine-Nico(from youtube)
Femme Fatal-The Velvet Underground & Nico(from youtube)


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2008年02月11日

週刊フランス情報 4 - 10 FEVRIER 後編

世界経済、不確実な環境に直面
■東京で開かれていた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は9日夕、共同声明を採択して閉幕した。声明は世界経済について「より不確実な環境に直面している。7カ国すべての成長が短期的に幾分減速する」とし、03年以降続いていた世界経済の力強い成長が、5年ぶりに減速に転じたとの認識を示した。声明は「経済の安定と成長を確保するため、個別にあるいは共同して適切な行動を取っていく」ことを確認したが、金融・財政政策で具体的な協調策は示さなかった。
■世界経済の減速をもたらすリスクとしては、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題を受けた「米国住宅市場の更なる悪化、金融市場の混乱長期化による(金融機関の)貸し出しの厳格化」に加え「原油や一次産品の価格高騰、いくつかの国におけるインフレ懸念」を挙げた。
(2月10日、毎日新聞)

ECBのトリシェ総裁、ユーロ圏の経済成長の不透明さ強調
■欧州中央銀行 ECB のジャンクロード・トリシェ総裁は7日、ユーロ圏の経済成長見通しについて不透明さが「非常に高い」との見解を示した。これを受けて、ECBが利下げに踏み切るとの観測も強まっている。トリシェ総裁は、主要政策金利の据え置きを決定したECBの政策理事会後の記者会見で、経済見通しの不透明さの高さとともに、経済成長の下振れリスクが増していることも指摘した。
■トリシェ総裁は、政策理事会では利上げや利下げを求める意見は出ず、全会一致で据え置きが決まったとしているが、ECBの姿勢は、インフレ抑制を強く打ち出し同じく据え置きを決定した前回よりトーンダウンしているといえる。
■トリシェ総裁は、中長期的なインフレ期待の抑制が最優先事項だとしているが、専門家の多くは、1月現在で3.2%を記録しているユーロ圏のインフレ率が下落傾向に向かえば、ECBは2、3か月内に利下げに踏み切るとみている。ECBは、インフレ率の目標を2%未満に置いている。
(2月8日、AFP)
★ECBは7日、ユーロ圏でのインフレ懸念の高まりを背景に、主要政策金利を年4.0%に据え置くことを決定している。一方、イングランド銀行 BEは同日、景気の減速懸念を受けて、政策金利を0.25%引き下げ、年5.25%とすることを決めた。インフレ抑制よりも景気の下振れの方が重要になってきているようだ。
★インフレといえば、”Wheat rose to a record for a third day on the Chicago Board of Trade as the U.S. forecast its lowest inventories in 60 years.” (Feb. 8, Bloomberg)というニュースもあった。原油に代わって、今度は先物市場で小麦が記録的な急騰を見せている。今年に入って21%の上昇だ。砂糖やコーヒーも上がっている。そのうちパンが食べられなくなるかも。

EU「リスボン条約」を仏が批准、5か国目
■仏上院は8日未明(日本時間同日午前)、欧州連合(EU)の新たな基本条約「リスボン条約」の批准を賛成多数で可決した。下院も7日に可決しており、フランスの同条約批准が決まった。AFP通信によると、EU加盟27か国中、批准を決めたのはハンガリー、スロベニア、マルタ、ルーマニアに続きフランスが5か国目。シラク前大統領は2005年、リスボン条約の前身である「EU憲法」批准の是非を国民投票にかけたが、オランダとともに大差で否決され、EU統合の停滞を招いた。
(2月8日、読売新聞)

単一通貨ユーロ10周年、記念硬貨発行へ
■欧州連合 EUは6日、欧州単一通貨ユーロ導入から10周年を記念した2ユーロ硬貨について、審査を通過したデザイン案5点を公開し、EU圏内の国民・在住者に人気投票への参加を呼び掛けた。最も人気の高かったデザインを選んだ人のなかから抽選で1人に、数千ユーロ(数十万円)相当の金貨セットが贈られる。ユーロに参加しているかどうかに関わらず、EU加盟27か国の住民に投票権があるという。
(2月7日、AFP)

サルコジ氏、前夫人に未練? Si tu reviens, j'annule tout.
■フランスのサルコジ大統領の弁護士は7日夕(日本時間8日未明)、大統領が仏週刊誌「ヌーベル・オプセルバトゥール」を訴えたと明らかにした。同誌電子版に6日正午(日本時間同夜)、「セシリアへの固執」との題名で記事が登場。大統領がイタリア出身の元歌手、モデルのカーラ・ブルーニさんと今月2日に挙げた結婚式の1週間前に、セシリア前夫人に「もし君が戻ってくるなら、すべてを中止する」とメールで復縁を迫ったというもの。弁護士によると、この情報はまったくの「虚偽」だという。
(2月8日、産経新聞)
★メールに書かれていた文は、"Si tu reviens, j'annule tout."
★カーラ・ブルーニは現役のアーティストではあるが、名実ともにファーストレディー la premiere dameとして、今後、政治に関わらざるを得なくなる。例えば、前大統領夫人、ベルナデット・シラクさんは慈善事業を今も続けている。元ミッテラン大統領夫人は初めて政治に積極的に関わったファーストレディーとして知られ、その熱の入れようは元大統領が迷惑がるくらいだった。ところで、新しいファーストレディーは新しいアルバムのレコーディングに入ったようだ。

楽天ヨーロッパが設立
■楽天は2月7日、ルクセンブルグを中核拠点とした現地法人「楽天ヨーロッパS.a r.l.」を3月末までに設立すると発表した。資本金は1億円。今後2〜3年以内に、イギリスやフランスなどヨーロッパ数カ国でインターネットショッピングモール「楽天市場」事業を展開する。三木谷浩史社長は、最終的に日本の数倍の流通総額にしたいとした。
(2月7日 、ITmediaエンタープライズ)

遺伝子組み換えトウモロコシ禁止=仏政府、米と新たな論争も
■フランス政府は9日、米農業バイオ大手モンサントが開発した遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「MON810」の仏国内での栽培を当面禁止すると発表した。GM作物の規制緩和を唱える米国との間で、新たな論争の種になる可能性がある。 
(2月9日、時事通信)
★フランス政府が重要な決断をした。マクドナルド解体で知られるジョゼ・ボヴェの反(正確には anti- ではなく、alter-)グローバリゼーションの運動の影響も大きいのだろう。GM 問題も全く他人事ではないのだが、日本ではほとんど議論されない。
モンサントという会社の名前は覚えておいて損はないだろう。「モンサント」で検索をかけると同社をめぐるいろいろな問題が出てくる。

欧米から見た「ギョーザ事件」
■中国製ギョーザ中毒事件は、欧米ではどう伝えられているのか。食品をはじめとする中国製品の安全性への疑問が一段と強まったなどと報じられてはいるものの、それは、春節(旧正月)の帰省客の足を直撃した中国東、南部の大雪被害をめぐる報道の影に隠れてしまっている。欧米メディアは大雪の問題を、北京五輪を控えた中国の交通インフラのもろさや同国政府の危機管理能力の低さといった観点から盛んに取り上げている。
(2月6日、産経新聞)


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2008年02月10日

「ファストフード・ネイション」を見る前に

ファストフードが世界を食いつくす数年前に書いたエントリー「ファストフードが世界を食いつくす−BSE問題の背景」へのアクセスが急増している。アマゾンで本もボチボチ売れている。この本はリチャード・リンクレイター監督によって「ファストフード・ネイション」として映画化(2006年のカンヌに出品)されているのだが、これが2月16日から日本でも上映される。アクセス急増の原因はこれのようだ。この映画でミッキーズというハンバーガーショップが出てくるがもちろんマクドナルドを暗示している。「ビッグワン」なんて、ビッグマック以外の何ものでもない。

ところで、タイミング良く日本マクドナルドホールディングス(HD)が2月7日に2007年12月期連結決算を発表した。最終利益が約5倍の78億円となり、大幅な増収増益を達成した。ビッグマックならぬ、メガマックが収益に大きく貢献したようだ。コスト高で逆風の吹く外食産業の中で独り勝ちが鮮明になった。さらに08年12月期は最終利益が27・9%の100億円と予想し、大台突破を狙っている。シュローサーの警告なんてどこ吹く風で、日本人のマクドナルド依存度はさらに高まっているようだ。

去年、子供を連れて某企業がバックアップしている産業博物館を訪れる機会があった。そこでコンビニ弁当が作られる過程を展示していて、弁当のほとんどの食材が輸入品で、それを世界から集めてくる物流システムがいかに素晴らしいか自画自賛していた。これも極端な合理性の追求が非合理性に反転しているマック・システムと同じではないだろうか。

おいしいハンバーガーのこわい話アメリカにはマックジョブ mcjob という言葉がある。文字通りマックのバイトのことで、それは「夢も希望もない低賃金の仕事」の象徴になっている。一方でマックの魅力は手軽さと低価格にあるのだが、それを消費する多くはマックジョブに従事する若者たちだったりする。そこには、ワーキングプアな若者たちが、その生産と消費のサイクルの中で徹底的に搾り取られるという構図が見えないだろうか(これは日本にもあてはまりつつあるだろう)。マックジョブのさらに下には食肉の解体に従事する不法移民たちがいる。

日本では「ギョーザ事件」が起こったが、これを単に中国バッシングで終えてしまっては全く意味がない。食をグローバル化やマクドナルド化に委ねることや、食料自給率が低いことがどんなにリスキーなことか、改めて考える必要がある。ギョーザ事件の真相はまだわからないが、中国には同じようにギョーザを作る低賃金の労働者がいるわけだ。低賃金でこきつかわれ、しかも自分の共同体の外に出荷されるギョーザを作っている彼らに一定のモラルを期待できるだろうか。「ファストフード」の予告編にあったような、パテを汚い床に落としたバイトの若者が「焼けば同じだ」と言っている光景が普通に起こっていることなのだろう。これはシステムの問題なのだ。

バンズの原材料である小麦が記録的に高騰しているというニュースも流れている。世界的に食料の需給が逼迫し、インフレの時代がすでに始まっている。正月のテレビでフードファイターが復活していたのには愕然とした。以前ブームになったとき、フードファイターの真似をした中学生が死亡したことが原因でその手の番組がテレビから姿を消したと記憶しているが、ほとぼりが冷めたのでOKってことなのか。日本人の頭の中はいまだにバブリーな飽食の時代らしい。

□「マック最終利益5倍、外食独り勝ち鮮明に」(2月8日、フジサンケイ)
□「ファストフード・ネイション」公式サイト
□「ファストフード・ネイション」(予告編)
FAST FOOD NATION‐trailer in English
□シュローサーは「ファストフードが世界を食いつくす」をわかりやすく書き直した「おいしいハンバーガーのこわい話」も上梓している。


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2008年02月09日

週刊フランス情報 4 - 10 FEVRIER 前編

次世代高速列車AGVを公開、最高時速は360キロ【画像】
■仏重電・輸送機器大手アルストム Alstomは5日、次世代高速列車AGVを公開した。日本、ドイツの高速列車より速く、クリーンで、大きいという。公開式典には、財務相時代の2004年にアルストムを経営難から救ったニコラ・サルコジ仏大統領が主賓として迎えられた。式典にはこのほか、フランス、ドイツ、ロシア、イタリアから鉄道界の重役らが出席した。
■AGVは高速列車を意味するフランス語 Automotrice Grande Vitesseの頭文字を取って命名され、最高時速は360キロ。現在運行しているTGVの時速を40キロ上回るに過ぎないが、アルストムは鉄道界の超大型旅客機エアバスA380だとしている。AGV の主な革新点はモーターシステムが前後だけでなく、各客車の下にも導入されたことだ。これによりエネルギー消費量が15%抑制でき、保守費用も削減できるという。重量もTGVより軽く、98%がリサイクル可能だという。
(2月6日、AFP)

フランスで中国語、中国の占星術が大ブーム
★フランスで中国語の学習が増えていることをキャベ男さんがメイン・ブログのエントリー「フランスで中国語」紹介してくれたが、TF1でも同じニュースを伝えている。日本の中華街もそうだが、パリの13区の中華街でも旧正月(春節)が祝われている。キャスターは「今年はねずみ年です」と言い、ねずみ年の由来が説明されているが、フランスでは中国の占星術もブームになっていて、フランス人が「うさぎ」とか、自分の生まれた年の動物をちゃんと答えているのには驚き。
フランスに浸透する中国占い(en francais)
フランスでの中国語の授業の風景(en francais)

オーガニックブームでうるおうブルキナファソの女性たち
■西アフリカのブルキナファソは最貧国の1つに挙げられるが、一部の国民は経済的にうるおいつつある。同国で生産されるオーガニック・コットン(有機栽培綿)と肌に優しいシアバターの需要が先進国において飛躍的に伸びているためだ。これら2つの新しい主要産品の担い手は、村の女性たちだ。
■米女性下着メーカーのヴィクトリアズ・シークレット Victoria’s Secret は前年7月、初めて同国の業者にオーガニック・コットン600トンを発注した。ブルキナファソ綿製造業者組合(UNPCB)の Athanase Yara 氏は、こうした大型受注を「わが国の持続可能な発展に寄与するもの」と歓迎する。「社会で最も弱い立場にある女性たちの、生活水準や子どもたちの養育・教育の向上にもつながる」
■同国のオーガニック・コットン・プロジェクトを支援するスイスの開発援助組織「ヘルヴェタス Helvetas」によると、同国のオーガニック・コットン生産者の半数以上は女性だという。同組織の地元コーディネーターは、オーガニック・コットン産業の活況を「偶然でも一過性のものでもなく、数々の大企業が追従しているれっきとしたトレンドだ」と説明する。
(2月5日、AFP)
★コットン(綿)は最も良く使われる素材のひとつだが、実は最も農薬を使う農産物のひとつなのだ。特に肌着などは直接肌に触れるので、オーガニックが望ましいと言われている。
★このニュースを理解するもうひとつの重要なキーワードは CSR だ。企業の社会的責任を意味する。企業は利益のみを追求していれば済むわけではなく、近年、消費者から環境への配慮や取引における公平さを求められるようになった。しかし、これは欧米中心の動きで、日本ではまだ馴染みのない言葉である。
□関連エントリー「スターバックスコーヒー(3) Corporate Social Responsibility

ヨーロッパ・コープがフランス製ファンタジー小説を3Dアニメ化
La Mecanique du Coeur■リュック・ベッソン監督の製作会社ヨーロッパ・コープが、昨年10月にフランスで発売されたファンタジー小説 “La Mecanique du Coeur” (機械仕掛けの心臓)の映画化権を獲得した。3-Dアニメーション作品として製作する。
■Mathias Malzieu 原作の“La Mecanique du Coeur”は、1874年を舞台にしたファンタジー小説で、生まれた時、心臓に時計を移植された若者のラブストーリー。青年は、その心臓のため強い感情を持たないようにしなければならず、とりわけ愛情などはもってのほか。だが、恋に落ちてしまった時、感情をコントロールできなくなってしまう。
■フランスで刊行された際には、フランスのロックバンド「ディオニソス」によるイメージアルバム La Mecanique du Coeur が同時発売されている。
Tais Toi Mon Coeur / Dionysos(from youtube)

絵画のルノワールVS映画のルノワール
■印象派を代表するフランスの画家ピエール=オーギュスト・ルノワールと、彼の次男で映画監督のジャン・ルノワールの偉業に焦点をあてた展覧会「ルノワール+ルノワール展」が現在、東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている。その関連企画としてジャン・ルノワールの貴重な作品を上映する特集上映『ジャン・ルノワール映画の世界』も開催中。
(2月8日、@ぴあ)

潜水服は蝶の夢を見る【予告ムービー】
潜水服は蝶の夢を見る★Main Blog のエントリー「今年のアカデミー賞」で exquise さんがこの映画を紹しています。右の本は映画のもとになった雑誌「ELLE」の元編集長の壮絶な自伝。潜水服とは全く自由が利かなくなった重い肉体を意味している。

レミーのおいしいレストラン
★パリを舞台にした話題のアニメ作品。原題はラタトゥイユ Ratatouille で、野菜の煮込料理のことだが、英語圏の人にはネズミ rat の音が真っ先に聞こえ、料理にしてはいい響きではないのだろう。子供と一緒に見たが、けっこう楽しめた。料理のうんちくに偏らない巧みなエンターテイメントに仕上がっている。フランスを舞台にしているとはいえ、銃の乱射が日常化しているのもいかにもアメリカ産らしい(またそういう事件が起こってました)。それにしても、ディズニーは侮れない。アニメ作品だけでなく、子供用に買った英語教材も非常に良くできていた。しかも安価なのだ。子供にディズニーキャラを刷り込みつつ、ディズニーランドへと引き込もうという作戦なのだろうが。

レミーのおいしいレストラン
ウォルトディズニー(2007/11/14)
売り上げランキング: 211
おすすめ度の平均: 4.5
5 やられた!アニメなのに。
5 ここまでアニメも進歩しているのですね!